エンジニアに必要なスキルを確実に習得するためには、プログラミングの実践学習が欠かせません。実践学習を成功させるうえで鍵となるのが「IDE(統合開発環境)」です。そこで本記事ではIDEの基礎知識や、おすすめIDEを紹介します。プログラミング初心者の方でも読みやすい内容なので、ぜひご一読ください。
IDEとはなにか
IDEとは、プログラム開発に必要となるさまざまなツール(機能)がまとめて搭載された開発環境のことです。Integrated Development Environmentの頭文字を取って、このように呼ばれます。開発効率を高めるうえで今やIDEは欠かせず、IT分野を問わず多くのエンジニアが利用しています。
IDEが搭載している主なツールは、次の4つです。
- エディタ(プログラムの記述)
エディタを用いることで、プログラムの記述が行えます。通常のテキストエディタとは異なり、プログラミングを効率化するための便利な機能(詳細は後述)を備えており、作成したプログラムファイルをIDE上で管理することも可能です。 - コンパイラ(プログラムの変換)
通常エンジニアが記述するプログラムは、人間が理解しやすい形式となっています。プログラムを実行するためには、コンピューターが理解できる形式に変換(コンパイル)しなければなりません。この変換作業を行うツールが「コンパイラ」であり、IDEにも搭載されています。ただし、プログラム実行時に1行ずつ変換する「インタプリタ型言語」の場合は、コンパイル自体が不要です。 - リンカ(実行可能ファイルの生成)
コンパイルを行うと多数の中間ファイルが生成されますが、そのままではプログラムを実行できません。これらを1つにまとめて、実行可能ファイルを生成する作業(リンク)を担うツールが「リンカ」です。多くのIDEには、リンカも搭載されています。 - デバッガ(プログラムのデバッグ)
デバッガとは、プログラムのデバッグ(バグ修正作業)を支援するツールのことです。IDEに搭載されたデバッガを使うと、プログラムを実際に動かしてバグがないか確認できます。プログラムを特定の位置で止めたり、内部データをチェックしたりすることも可能です。
なぜIDEが使われるのか
前章でもお伝えした通り、IDEは多くのエンジニアに使われています。なぜIDEが使われるのか、その3つの理由について解説します。
素早く開発環境を整えられる
仮に、エディタやコンパイラなどのツールを個別に導入しようとした場合、ダウンロードやインストール作業が逐一発生します。また、プログラミングで使える状態にするためには、各ツールを連携させるための設定なども必要です。初心者だと手間がかかるどころか、環境構築で挫折することも考えられます。
その点、IDEは、さまざまなツールを兼ね備えています。多くの場合IDEのインストーラを実行するだけで、大半の環境構築が完了するのです。複雑な設定などの負担も少ないため、初心者でも素早く環境構築できるのは大きなメリットといえます。
作業を効率化できる
IDEを使えば環境構築だけでなく、プログラムの開発作業も効率化できます。プログラムの記述やコンパイル、リンクといった作業をすべて1つの環境で実施でき、複数のツールを使い分けるよりも効率的です。また多くのIDEは、コンパイルとリンクをまとめて実施できる「ビルド」機能を持ちます。
プログラミング初心者にとって何より大きいのは、プログラムの記述作業を効率化できる点です。例えば、大半のIDEには「自動補完機能」が搭載されています。数文字入力しただけで、候補となるプログラム構文がリストアップされ、選んだ構文が自動で入力される機能です。この機能によってプログラムの記述量を大幅に削減できます。
また、プログラムの構文を書き間違えた場合でも「構文エラーチェック機能」が文法ミスの位置や内容を教えてくれます。この機能によって文法ミスを早期発見でき、後から問題調査に費やす時間を減らせるでしょう。
プログラミング言語の広い知識がなくても扱いやすい
IDEを使えば、プログラミング言語の広い知識がなくても比較的容易に扱えます。例えば、うろ覚えの構文があっても、自動補完機能を使えば、多くの場合カバーできるでしょう。また、構文エラーチェック機能は細かいエラーの原因も教えてくれるため、使いながら構文の学習ができます。
プログラミング言語にはさまざまな構文があり、それぞれ多くのルールがあります。熟練したエンジニアでもない限り、これらルールをすべて完璧に把握しているケースは多くありません。そのためIDEは、プログラミング言語を学んでいる初心者はもちろん、現役エンジニアにも重宝されるのです。
IDEの特徴とは
ここでは下記3つの観点に分けて、IDEの特徴について解説します。
- 対応する言語
- 対応するOS
- 拡張性
対応する言語
プログラム開発で使われるプログラミング言語は、今では200種類以上も存在します。当然ながら、これらの言語すべてに対応しているIDEは存在しません。IDEによって対応する言語は異なるため、自分が用いる言語に対応しているか、導入前に必ず確認しましょう。
対応するOS
IDEの種類によって、対応するOSの種類もさまざまです。プログラム開発に使うパソコンのOSは、WindowsやmacOS、Linuxなどが挙げられます。トップシェアのコンピューターOSであるWindowsには多くのIDEが対応していますが、その他のOSについては製品によります。
またIDEによって、開発したプログラムを動かせるOSも変わってきます。例えば「Xcode」と呼ばれるIDEを使うと、iOS対応のスマートフォンアプリを開発することが可能です。その一方で、XcodeではWindows対応のパソコンアプリは開発できません。
使っているパソコンのOSだけでなく、開発したいプログラムの動作OSにも対応しているか、IDEの導入前に確認しましょう。
拡張性
多くのIDEは「プラグイン(拡張機能)」を提供しています。これによって、エンジニアが任意の機能をIDEに追加でき、使いやすいようにカスタマイズすることが可能です。提供されるプラグインはIDEによって異なるため、どのような機能を追加できるかも確認しましょう。
おすすめツール、IDE Visual Studioを紹介
昨今では、非常に多くのIDEが存在します。IDE選びに失敗すると使いこなせず、プログラミングの効率がかえって低下しかねません。プログラミング初心者の場合は、信頼性の高いIDEを選ぶと失敗しにくいでしょう。
特におすすめであるIDEは「Visual Studio」です。トップシェアのコンピューターOS「Windows」の開発元であるMicrosoft社製のIDEで、高い信頼性があります。Windowsに対応しているのはもちろん、macOS対応のインストーラも提供されているため、大半のパソコンで使えます。
主要なプログラミング言語のほとんどに対応しており、パソコンアプリやWebアプリ、スマホアプリなどさまざまなプログラムを開発可能です。歴史の長いVisual Studioは根強い人気があり、学習書も多数出版されています。プログラミング初心者でも、少ない学習コストで使いこなせるのも魅力だといえるでしょう。
Microsoft社はVisual Studioだけでなく、プログラム開発に役立つさまざまなソリューションを提供しています。こうしたソリューションを活用することが、あらゆるプラットフォームや言語を用いるすべてのエンジニアにとっての最適解となるでしょう。
まとめ
今回はIDEの基礎知識や、おすすめIDEとしてVisual Studioを紹介しました。IDEとは、プログラム開発に必要となるさまざまなツール(機能)がまとめて搭載された開発環境です。開発を効率化する多くの機能を持ち、プログラミング初心者はもちろん現役エンジニアにとっても欠かせません。
これからIDEを導入するなら、信頼性の高いVisual Studioがおすすめです。幅広い言語やOSに対応しており、多くのエンジニアが利用しているため参考情報も豊富にあります。迷ったらVisual Studioを導入してみてはいかがでしょうか。