クラウド移行(インフラ・DB)

クラウド化への壁 300件以上のクラウド導入実績が語る企業が直面した課題

メーカーの保守期限が迫り、社内システムのクラウド化を検討する企業が増えています。オンプレミスからクラウドに移行するまでにはさまざまな壁もありますが、実際にクラウド化を実行した企業はどのような課題に直面し、いかにしてそれを乗り越えてきたのでしょうか。この記事では、各企業のクラウド導入実績を紹介します。

クラウド化への壁 300件以上のクラウド導入実績が語る企業が直面した課題

クラウド移行 まるわかりガイド

悩みながらクラウド化を実現した事例4社を紹介

初期投資や運用コストを削減できることから、社内システムをクラウドに移行する企業が増えています。しかし、クラウド化には当然課題も存在するのです。ここでは、実際にクラウド化を実現した企業が直面した課題と、いかにそれを乗り越えたのか、4社の事例から紹介します。

まず3ヶ月以内で移行完了のゴールを設定 ガリバーインターナショナル

中古車の買取・販売で知られる業界最大手のガリバーインターナショナルでは、自社サーバー上で稼働していた販売総合サイト「221616(ブーブーイロイロ.com)」(以下、221616)のクラウド化と運用を丸ごとアウトソーシングし、運用コストの大幅な削減を実現しています。

同社は2005年の「221616」の立ち上げに合わせてサーバーを増強し、大規模な基幹システムを運用していました。しかし、2008年ごろより画像データの増加によってシステムに負荷がかかり、ビジネスニーズに対応し切れない事態が発生。サーバーの容量不足時にはホスティングサービスで対応していたため、コストもかさんでいました。

そこでシステムの効率的な運用を目的に着目したのが、サーバー設備をオンデマンドで利用できるプライベートクラウドの導入です。

同社が採用したのは、クラウド化するリソースを細かく決めていくのではなく、既存システムをまるごとクラウド化するという大規模な移行手法です。また、移行の途中でも既存システムに復帰して迅速にリカバリできる体制で臨むなど、通常のビジネスに支障が出ないよう配慮。移行期間は3ヶ月という短期間でしたが、インフラ基盤の構築・運用に実績豊富なTISによるサポートを受けることで、スムーズなシステム移行を予定通りに実現しています。

クラウドへの移行後は、サーバー台数やCPUリソース、ストレージを必要に応じて30分で用意できるようになり、新規サイトの迅速な立ち上げが可能となりました。課題だったコストは従来と比較して約50%削減。データセンターに保有するサーバーの数は以前の8基31台からクラウド環境では1基8台に集約され、省スペースと省電力にも成功しています。

低コストか信頼性かで悩みながらのクラウド導入 株式会社ACCA

株式会社ACCAが運営するトータル・ライフ・コミュニティサイト「365すぽーつでぃ」では、スポーツを楽しみたい個人やチームをつなぐ機能をはじめ、プロのアスリートが実践するトレーニング方法を解説する有料の映像配信サービスなどを展開しています。

2010年のサイト開設当初、「365すぽーつでぃ」では多数の人気アスリートの参加が予定されていたため、集中的なアクセスが想定されました。このような事情から、アクセスの急増に対応できるよう柔軟性のあるシステム環境を構築しなければならない一方で、新事業であることから低コスト・スモールスタートでの実施が求められていました。

当初ACCAでは、コスト面で優れる海外の大手パブリック・クラウドサービスの導入を検討していましたが、膨大な数の個人情報を取り扱うコミュニティサイトを運営するにあたっては、システムの安定性や信頼性、堅牢なセキュリティが欠かせない条件です。そこで国内ベンダーによるクラウドサービスを探したものの、当時はクラウドサービスの選択肢が限られており、同社の要件を満たすサービスを提供しているベンダーは数社しかありませんでした。

そうした状況でACCAは、コストと機能面の両方で要件を満たすクラウドサービスの構築について実績豊富な国内ベンダーのTISに打診。コストやスペック面ではTIS側も努力を重ね、ACCAと折り合いを付けながら最終ローンチに至っています。最終的に導入されたクラウドサービス「T.E.O.S」では、プロモーション活動に合わせてサーバーを増強し、さらにアクセスの伸びに応じてリソースを増減できるなど、低コストでシステム環境を構築することが可能となりました。

クラウド移行プロジェクトの勘所がわからず悩んだ マツモト産業株式会社

溶接に特化した産業機器や金属材料を提供するマツモト産業株式会社では、5年ごとの定期的なサーバー更新作業が大きな負担となっていました。インフラの見直しが不要なクラウド化にメリットを感じた同社は、AWS(Amazon Web Services)を基盤とするシステムへの移行を計画。しかし、クラウド化に関しては勘所がわからないうえ、ERPのアプリケーション部分の移行作業をほかのSIベンダー2社が分担するマルチベンダー体制となることから、プロジェクトの進行に不安を感じていたといいます。そこで同社は、プロジェクト全体の計画作成と進捗管理を経験豊富なTISに委託しました。

TISではオンプレミス からクラウドへのスムーズな移行を実現するため、過去のケースから想定される技術的な問題や、トラブルを防止するために適用すべき修正パッチなどを事前に確認。加えて入念な検証テストを行ったことで、データの移行作業をわずか2日間で完了させました。

その後、2度の本番移行リハーサルを行い、トラブルゼロのスムーズな移行を成功させます。移行後は、入力画面と機能は従来のERPと変わらないにもかかわらず、操作時のレスポンスが格段に改善されたほか、5年ごとのハードウェア入れ替えや日常的なメンテナンスの手間も解消され、情シス担当者の作業負荷が大幅に軽減しました。

さらに、3ヶ所以上のデータセンターで自動的にバックアップデータがコピーされるため、障害対策やBCP対策の強化にもつながりました。過去のシステム更新時には不具合に関する問い合わせが殺到することもあった中、今回は約2ヶ月間ノートラブルでの稼働を実現しています。

移行前の環境調査がクラウド移行の成否を左右した 住吉鋼管株式会社

産業機械向けのパイプ製造を手がける住吉鋼管株式会社。データベース管理システム「Oracle DB」と、開発・実行環境となるソフトウェア「Oracle Forms」をオンプレミス環境で導入していました。しかしサーバーを社内で運用していたため、障害発生時の復旧に時間を要することや、本社ビルが被災した際の事業継続性に課題を抱えていたといいます。

そこで同社は、基幹システムの基盤を全面的にクラウドに移行することを計画。クラウド基盤としてはOracle製品をオンプレミスと同じ構造のままクラウド上で展開できるパブリッククラウド「Oracle Cloud」を選択しました。

移行プロジェクトは2017年5月にスタートし、7月までに完了、8月からの本番稼働を目指して行われました。わずか2ヶ月という短期間でクラウド移行を急ぐ背景には、既存のファイアウォールや通信機器の保守期限が間もなく一斉に終了するという事情もありました。そこで住吉鋼管は「Oracle Cloud」のノウハウを持つTISに移行を依頼。TISは当時まだ国内での導入事例が少なかった「Oracle Cloud」の技術検証を終わらせており、その知見から「希望工期での移行は可能」と判断しました。

一般的には、移行先の環境でアプリケーションが動作するかどうかを事前に検証します。しかし今回のケースでは、オンプレミスと同じ構造でクラウドに移行することから、こうした事前の動作検証プロセスを圧縮し得たため、結果として工期の大幅な短縮に成功。当初の予定通り8月からの本番稼働を実現しました。

トラブルの問い合わせや速度低下の苦情が寄せられることなく、障害ゼロでの稼働を続けています。最大の目的であったBCP対策についても、サーバーの障害復旧が長時間に及ぶことがなくなり、休日の緊急対応やファアウォールの管理といった作業からも解放されるなど、担当者の負担軽減にも大きな成果を挙げる結果となりました。

クラウド導入事例からわかる課題や悩み

今回紹介した事例からわかるように、すでにクラウド化に成功した企業であっても、プロジェクトの開始前にはさまざまな課題や不安を抱えていました。各企業に共通する課題は、プロジェクトのロードマップを自社の力だけでは策定できなかった点です。しかし、いずれの企業も移行プロジェクトを社内で決定・進行するのではなく、クラウド導入支援実績の豊富なベンダーを見つけ、二人三脚で進めることで、スムーズなクラウド化を実現しています。

また、クラウド化にあたってまずは既存環境を調査し、導入計画を綿密に立案したうえでゴールを設定している点も、各社に共通している点と言えます。

まとめ

クラウド移行をスムーズに実現するためには、導入実績豊富なベンダーの協力が不可欠です。これまでに300件以上のクラウド導入実績を有するTISでは、導入計画の策定から構築作業、導入後の運用まで、各フェーズに合わせたコンサルティングサービスを実施しています。クラウド化をご検討の際は、ぜひTISにお任せください。

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