テレワーク環境を実現し、働き方改革を推進しようとする企業にとって、「VDI(仮想デスクトップ)」は有効な選択肢のひとつといえます。本記事では、その理由について解説するとともに、VDIのメリットをご紹介します。テレワークを自社でどのように実現すべきかお悩みの際は、ぜひ参考にしてください。
VDI(仮想デスクトップ)で働き方改革は可能である理由
育児や介護など、さまざまな事情で働きたくても働けない人は少なくありません。働き方改革では、そうした人たちのために働く機会と環境を確保し、少子高齢化で不足する労働者人口を補うことも目指しています。そして、その働き方改革を解決する手段として注目されているのが「テレワーク」です。
テレワークを実現する手段として、多くの企業では「VDI(仮想デスクトップ)」を採用しています。簡単にまとめると、企業がVDIを導入することによってテレワークを実現し、それにより働き方改革も推進できるのです。
それでは、企業がテレワーク環境を用意する際、なぜVDIを選んでいるのでしょうか。以下では、その理由を1つずつ見ていきましょう。
どこからでも端末があれば仕事ができる!
近年、コロナ禍の感染予防対策として、テレワークを導入する企業が増えています。VDIはインターネット接続環境と接続用の端末さえあれば、どこからでもアクセスできるため、テレワークへの対応に最適です。VDIの利用にあたり高性能な端末は必要なく、会社が用意したPCでなくても、自宅のPCで十分に業務を実行できます。
つまり、VDIが可能な環境と端末があれば、自宅でも会社にいるときと同じように業務が行えるわけです。もちろん、自宅ではなくカフェやサテライトオフィスなどでも同様です。端末とインターネット環境があれば場所は問わないため、わざわざオフィスに出勤せずとも好きな場所で仕事できるようになります。
これにより従業員のモチベーション向上につながるほか、育児・介護などの家庭の事情を抱えている人や、遠方に住んでいる人なども雇用しやすくなります。このように企業がVDI環境を用意することで、従業員が選べるワークスタイルの幅が広がるのです。
在宅ワークでもセキュリティも安心!
VDIを導入すれば、在宅ワーク中でもセキュリティを保てるようになります。
企業がテレワークを導入する際、IT管理者が特に不安に感じるのは「セキュリティを維持できるか」でしょう。セキュリティ対策が十分でない従業員の私物PCを使われ、トラブルが起こらないか、端末が紛失して情報漏えいに発展しないかなどの不安があります。こういった心配も、VDIであれば解決可能です。
まずVDIであれば、データはすべてサーバー側に保存されます。従業員のPCには、サーバー側で稼働しているデスクトップ環境の画面だけが転送され、データが残ることはありません。仮に紛失・盗難などが発生しても、情報漏えいのリスクを軽減できます。
またVDIの場合、デスクトップ環境のOSやソフトウェアのデータに関しても、従業員のPCに保存されるわけではありません。VDIを利用する全従業員分のそれらデータが、すべてサーバー側に保存されています。そのため、管理者が一括でOSやソフトウェアをアップデートできるわけです。従業員PCのように、それらのアップデートがおろそかになり、脆弱性が見逃されてしまうといったリスクが生じないのです。
さらに、指紋やワンタイムパスワードなど複数の要素を組み合わせた「多要素認証」も併せて導入すれば、より強固なセキュリティを構築できます。VDI環境を利用する際、セキュリティ的に不安視されるのが、認証に関する問題です。仮にIDやパスワードが漏えいした場合、悪意ある第三者によって不正にVDI環境へアクセスされかねません。そこで多要素認証を導入することで、ID・パスワードだけではログインできなくなるため、リスクの軽減が可能です。
そもそもVDI(仮想デスクトップ)とは?
VDIは「Virtual Desktop Infrastructure」の略で、日本語では「仮想デスクトップ」「仮想デスクトップインフラ」などと呼ばれます。文字通り仮想化したデスクトップをサーバー上に集約し、ユーザーが手元の端末から利用できるようにする仕組みのことです。
VDI利用時、ユーザーPCにはサーバーにある仮想デスクトップの画面イメージが映し出されます。そのうえで、手元のキーボードやマウスで操作した内容がサーバー側に転送され、それがデスクトップに反映されるわけです。このように、本来のデスクトップ環境とは異なるものの、ユーザー側の操作性に関していえば、基本的には手元のPCを操作しているのと変わりません。
またVDIでは、サーバー上でOSやソフトウェアの処理が行われることから、手元の端末に高いスペックは要求されません。必要最小限のスペックさえ備えていれば、サーバー上の仮想デスクトップが利用可能です。
VDI(仮想デスクトップ)を利用するメリット
VDIの導入は、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。ここでは、VDIの主なメリットをご紹介します。
セキュリティ強化につながる
VDIの大きなメリットとしては、まずセキュリティ強化につながる点が挙げられます。従業員にPCの管理を任せていると、OSやセキュリティソフトなどのアップデートが漏れたり遅れたりすることがあり、その分だけセキュリティリスクが高まってしまいます。
仮に更新イメージをバッチで配布するにしても、PCの電源が切れているなどの理由で失敗する例も少なくありません。チェックする端末数が多ければ、管理者の負担も大きくなります。
その点、VDIであればデスクトップ環境をサーバー側で一元管理できるため、OSのアップデート漏れなどによるセキュリティリスクが軽減されます。端末ごとに個別の対応をする必要がないことから、管理者の負担も大幅に低減できるでしょう。
またVDIでは、データがサーバーに保存されるのもポイントです。従業員のPCにはデータが残らないので、仮に外出先などで端末の紛失・盗難が発生しても、情報漏えいのリスクを比較的軽微に抑えられます。
災害発生時にBCP対策になる
VDIは、BCP対策を実現する手段としても有効です。新型コロナウイルスのようなパンデミックをはじめ、大地震や台風などの自然災害でオフィスが使えなくなる可能性はゼロではありません。
BCP対策ができていないと、こうした事態になるたびに業務が停止してしまいます。その結果、取引先や顧客からの信頼を失うなど、大きな損害にもつながりかねません。また、災害によってオフィスそのものや、オフィスにある従業員のPCが破損し、大事なデータが失われる可能性もあります。
一方、VDIなら自宅のPCからでも業務を継続できます。万が一、災害によってオフィスにある端末が破損しても、VDIを運用するサーバーさえ無事であれば、データが消えてしまうことはありません。
テレワークに対応できる
先述したように、VDIならインターネット環境と端末さえあれば、どこからでも業務ができるため、テレワークを実現する手段として有効です。また、自宅の私物PCで業務を行っても端末側にはデータが残らず、PCとサーバー間の通信も暗号化されるため、端末の紛失や盗難、通信の盗聴といったセキュリティリスクも抑えられます。
これらの点から、企業側は管理負担を減らしつつセキュリティを確保でき、従業員側も安心してテレワークに集中できるようになります。安全かつ快適なテレワーク環境を構築できれば、業務効率化や生産性向上、雇用促進といったメリットにもつながるため、より働き方改革の推進に貢献できるでしょう。
このようにVDIはテレワークを実現し、働き方改革の推進に効果が期待できます。テレワークをどのように実現すればよいか迷っている企業担当者の方は、一度VDIの導入で自社の課題を解決できないか検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
VDIは、必要最小限のスペックをもった端末とインターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも利用できるため、自宅からテレワークを行う手段として有効です。中でも「Azure Virtual Desktop」なら、コストを抑えてVDIを導入できます。使用分に応じた従量課金制ゆえ、無駄なコストも発生しないのでおすすめです。