テレワークでは、社員がオフィスから離れて仕事を行います。そのため、それぞれが円滑に仕事に取り組めるよう、テレワークのためのツールが必要です。そこで、本記事では、企業が用意したいテレワーク用のツールの特徴を分類別にご紹介します。
リモートアクセスツール
リモートアクセスツールとは、インターネットを通じて社内のPCを遠隔で操作するためのツールです。テレワークでは、社内のデータやソフトウェアに外部からアクセスする必要があるため、このツールは必須だといえます。
リモートアクセスツールは、リモートデスクトップ方式、クラウドアプリ方式、VPN方式などいくつかの種類に分かれます。リモートデスクトップ方式は、社内PCの画面を外部端末に転送し操作するもの、クラウドアプリ方式はデータをクラウド上に保管することで社内・社外問わずデータにアクセスできるもの、VPN方式は会社のLANに接続して、外部端末から操作を行うものを指します。安全性の高さでいうと、外部端末に情報が残らないリモートデスクトップ方式、クラウドアプリ方式が人気です。
リモートアクセスツールのメリットは、やはりどこにいても社内と同じデスクトップを見て、仕事ができる点です。リモートデスクトップ方式のように、転送するのが画面だけなら、情報の紛失・漏洩のリスクも少なくなります。
リモートアクセスツールの製品例
代表的なリモートデスクトップ方式のリモートアクセスツールを3つご紹介します。
MagicConnect
NTTグループが提供する信頼のおけるリモートアクセスツールです。2004年の発売開始から国内で10,000社以上が導入しています。
Splashtop Business
高速リモートアクセスが特長のリモートアクセスツールです。ベーシックバージョンとProバージョンがあります。スプラッシュトップ株式会社が提供しています。
RemoteView
オンライン決済をすれば、即時利用可能なスピード感のあるリモートアクセスツールです。低回線(128kbps)でも利用でき、さまざまなOSからアクセス可能。自社開発のエンジンを使用し、高速性を維持しています。
情報共有ツール
情報共有ツールとは、チャットツールに代表されるような、社員がコミュニケーションを取るためのツールです。
情報共有には会話だけでなく資料や画像の共有も含まれるため、ドキュメント管理ツールやクラウドストレージも情報共有ツールの1つといえます。さまざまな情報を1つのツールでやり取りできる、幅広い機能を持った製品がおすすめです。
情報共有ツールをテレワークに活用するメリットは、メールより迅速にそして気軽にコミュニケーションが取れる点です。また複数人に向けて漏れなく情報共有ができるため、仕事の効率化が期待できます。また情報共有を行う中で、会社のノウハウが蓄積されていき、次世代の社員でも履歴を参考にしながらすぐに業務に取り組めます。
情報共有ツールの製品例
では、代表的な情報共有ツールを3つ紹介します。
Microsoft Teams
Microsoft社が運営する情報共有ツールです。チャット、テレビ会議、通話を行えるほか、Word・PowerPoint・ExcelといったMicrosoft社が提供するアプリケーションのファイルにリアルタイムでアクセスし、共有や編集ができます。業務でMicrosoft製品をよく利用しているなら、Microsoft Teamsがおすすめです。
Chatwork(チャットワーク)
Chatwork株式会社が提供する情報共有ツールです。絵文字などを利用した気軽なコミュニケーション、タスク管理、ファイル共有などを行えます。導入企業は26万社を超えており、テレワークだけでなく、通常勤務の企業でも取り入れているほどです。
Dropbox
Dropboxは、ファイル管理を行えるオンラインストレージサービスです。社内全体で共有したい書類やファイル、画像などの保管場所として機能します。容量によって料金プランが異なります。Dropbox社が提供しています。
ペーパーレス化ツール
ペーパーレス化ツールとは、資料や納品書など、紙媒体の書類を電子データ化するツールです。
紙媒体で書類を保管していると、どうしてもその書類を確認するために出社しなければなりません。円滑にテレワークを行うためには、書類を紙媒体から電子媒体へ変換し、どこからでも書類を確認できるように環境を整えましょう。既存の書類を電子データ化するのはもちろん、今後の書類も基本的に電子書類として管理する必要があります。
ペーパーレス化ツールのメリットは、やはりどこからでも書類を確認できる点です。ただし、社内の大切な情報なので、サーバーやクラウド上で安全に保管しましょう。アクセス権限を設けるなど、情報漏洩対策も必要です。
ペーパーレス化ツールの製品例
ここでは、代表的なペーパーレス化ツールを3つ紹介します。
Adobe Document Cloud
書類をPDFにし、共有を行える「Adobe Acrobat DC」と電子サインに特化した「Adobe Sign」が含まれるAdobe Document Cloud。さまざまな端末からドキュメントを閲覧できます。またハワイ州政府でも活用されているなど、信頼と実績があります。アドビシステムズ株式会社による提供です。
Handbook
Handbookは、書類や画像、動画などをクラウド上で管理できるツールです。モバイル端末向けのシステムなので、リモートでスマートフォンやタブレットからアクセスするのに最適です。アステリア株式会社より提供されています。
SmartDB
株式会社ドリーム・アーツが提供するSmartDBは、ペーパーレス化はもちろん業務全体のデジタル化を助けるツールです。大企業向けに作られており、業務連絡から文書管理、見積依頼などさまざまな場面で活用できます。1つのシステムで一括管理したい場合におすすめです。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールとは、出勤・退勤を管理したり、給与計算を行うためのツールです。テレワークでは、社員が出勤・退勤をしているかどうかが判断しづらいため、専用の勤怠管理ツールが必須です。最近では、位置情報を利用してどこから出勤をしているかがわかる「プレゼンス機能」が搭載されたものもあり、導入する際は機能をよく比較してから選ぶ必要があります。
勤怠管理ツールのメリットは、離れた場所で働く社員の管理ができることです。社員の働きがわかることは、企業はもちろん社員にとっても「サボっていないことをわかってもらえて安心」という声があります。また、勤務時間を可視化できるため、長時間労働の防止にも役立ちます。
勤怠管理ツールの製品例
では、代表的な勤怠管理ツールを3つ紹介します。
cyzen
レッドフォックス株式会社より提供されている勤怠管理ツールです。出勤・訪問・休憩終了・移動・退勤などの内容をGPSとともに記録できます。とくに営業マンにおすすめのツールです。
KING OF TIME
クラウド型の勤怠管理ツールで、シンプルでわかりやすいUIが特長です。勤怠管理はもちろんワークフローやスケジュール管理も行えます。株式会社ヒューマンテクノロジーズによる提供です。
MITERAS
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社のMITERASは、労働時間の申告とPCの利用状況自動取得ができる勤怠管理ツールです。申告した時間と利用状況から、隠れ残業がないかを自動で検知します。
コミュニケーションツール(Web会議システム)
コミュニケーションツールとは、離れた場所にいる社員が端末を使って会議やチャットを行うためのツールです。メールやチャットもコミュニケーションツールに含まれますが、とくに重要なのがWeb会議システムです。Web会議システムでは、ビデオ越しに社員が集まり会議を行います。実際に会話ができるため、メールやチャットよりも細かいコミュニケーションを取ることが可能です。
Web会議システムは、テレワークで不足しがちなコミュニケーションを補うのに役立ちます。パソコンやスマートフォンなど手持ちの端末で利用できるため、低コストで済むのもメリットの1つです。
コミュニケーションツールの製品例
ここでは、代表的なWeb会議システムを4つご紹介します。
Microsoft Teams
上記でもご紹介しましたがMicrosoft社が運営する情報共有ツールです。チャット、テレビ会議、通話を行えるほか、Word・PowerPoint・ExcelといったMicrosoft社が提供するアプリケーションのファイルにリアルタイムでアクセスし、共有や編集ができます。業務でMicrosoft製品をよく利用しているなら、Microsoft Teamsがおすすめです。
V-CUBEミーティング
V-CUBEミーティングは、高品質な映像と音声、高いセキュリティを誇るWeb会議システムです。最大で50人まで会議に参加できます。株式会社ブイキューブによる提供です。
WebEx Meeting
シスコシステムズ合同会社が提供するWebEx Meeting。スマートフォンなどのモバイル端末があれば、あらゆる場所から会議に参加できます。4万人規模の会議も行え、招待を受ければ誰でも会議に参加可能です。
Skype
ホスト以外の会議参加者はサインインが必要ないため、面倒なユーザー登録をせずに会議することが可能です。そのため普段あまりビデオ会議に慣れていない参加者も比較的簡単に参加できます。自動字幕や背景ぼかし機能も備わっています。
グループウェアツール
グループウェアツールとは、情報共有やコミュニケーションをスムーズにするためのツールです。スケジュール管理・タスク管理・ファイル共有など、複数の機能が含まれます。さまざまなツールをグループウェアツールでまとめて管理できるとイメージするとよいでしょう。
クラウド型のグループウェアツールを利用すれば、ブラウザから業務で必要なツールに簡単にアクセスできます。カスタマイズできるものであれば、より利便性が増すでしょう。
グループウェアツールの製品例
では、代表的なグループウェアツールを3つ紹介します。
Microsoft Teams
株式会社Microsoftが提供するツールです。Microsoft 365と呼ばれるOfficeのツールが詰まったサービスと連携しており、ファイルの共同編集やビデオ会議などを行えます。
G Suite
Google株式会社が提供するグループウェアツールです。Gmailやドライブ、スプレッドシートなど、Googleが提供する各種ツールがまとまっています。メッセージのやり取りや会議にはハングアウトが利用できます。
Garoon(ガルーン)
中堅・大規模企業向けに、サイボウズ株式会社が提供しているツールです。基本画面はスケジュールになっており、自分宛の通知やTo Do、メール、タイムカードなどのさまざまな機能が利用できます。
仮想デスクトップサービス
仮想デスクトップ(VDI)は、デスクトップ環境をサーバーサイドに設置してエンドポイント端末から自身のデスクトップ環境にアクセスするための仕組みです。最近ではVDIをサービスとして提供するDaaSに注目が集まっています。
DaaSの製品例
それでは代表的なDaaSを2つご紹介します。
Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(AVD)
Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(以下AVD)は、マイクロソフトが提供するVDIサービスです。他のVDIサービスと比較した場合のAVDの最も大きなメリットは、「Windows 10 マルチセッション」が利用できることです。
マルチセッションに対応していない他のVDIサービスでは、ユーザーがWindows 10の仮想デスクトップ環境を利用する場合、1人のユーザーに対して1つの仮想マシンを割り当てる必要があります。対してセッションに対応していれば、Windows 10がインストールされた1台の仮想マシンに、複数のユーザーが同時に接続して利用することができます。その結果、運用のコストを大幅に抑えられます。
Amazon WorkSpaces
Amazon WorkSpacesは、Amazon.comが提供するクラウドサービス「AWS」上で動作するVDIサービスです。仮想デスクトップ環境を安価に導入できる上、自分が起動した WorkSpaces に対してのみ料金を支払う仕組みになっているため、無駄な費用を削減できます。
まとめ
テレワークで必要なツールはいろいろあります。まずは自社に足りないシステムを確認し、用途別にツールを導入しましょう。企業規模や業務内容によって必要なツールが異なるため、まずはトライアルなどで仮導入してみるのもおすすめです。