ITインフラを構築するうえでは、サーバーを制御するための「サーバーOS」が欠かせません。中でも、信頼性の高い「Windows Server」を利用している日本企業は多いのではないでしょうか。
本記事では、Windows Serverの移行に役立つMicrosoft Azureの概要やメリットをお伝えします。
Windows Serverの移行
Windows Serverの移行を実現するうえで、Microsoft Azureの利用がおすすめです。その理由について、下記で解説します。
オンプレミス型からクラウド型への転換
Windows Serverの移行を考える企業のほとんどが「オンプレミス型」でITインフラを構築しているでしょう。オンプレミス型とは、自社内にある物理サーバーを用いるITインフラの運用方式です。
しかし、オンプレミス型にはさまざまな問題があります。まず、サーバーの設置や構築、運用、保守といった作業を全て自社内で行わなければなりません。ITインフラの導入時はもちろん、導入後にも継続的に大きなコストを費やすことになるのです。
また、自社サーバーにアクセスできない状況では、基本的にITインフラを利用できません。今や多くの企業で取り組まれているテレワークや、出張などオフィスにいない状況が多いと非常に不便でしょう。オンプレミス型のこうした問題を解決するために、多くの企業が「クラウド型」へ移行しています。
クラウド型とは、インターネット経由で仮想サーバーを用いるITインフラの運用方式です。ベンダーのクラウドサービスを定額料金で利用する形式が一般的で、自社サーバーにかかるコストを大幅に削減できます。さらに、場所を問わないITインフラの利用が可能となります。
Microsoft Azureで実現するWindows Server移行
オンプレミス型からクラウド型への移行を実現できるクラウドサービスは、数多く存在します。その中でも有力な選択肢の1つが、Microsoft Azureなのです。Microsoft社が提供している信頼性の高いクラウドサービスで、近年シェアを大きく伸ばしています。
Microsoft Azureを利用すれば、クラウド型のITインフラを新規で構築できることはもちろん、既存オンプレミス環境からの移行も容易に可能です。Microsoft Azureには200以上ものサービスが搭載されており、Windows Serverの飛躍的なパフォーマンス向上につながります。Windows Server移行にMicrosoft Azureを利用するメリットについては、後ほど詳しく紹介します。
Windows連携機能が充実
Microsoft Azureを提供しているのは、Windows Serverの開発元と同じMicrosoft社です。そのため、Windowsとの連携機能が充実している点は大きな魅力といえます。連携機能を利用することで、ITインフラの運用コスト削減につながるでしょう。
例えば、Windows ServerにはWindowsパソコンを一元管理できる「Active Directory」という機能があります。この機能をMicrosoft Azure上で利用すれば、既存オンプレミス環境下のWindowsパソコンをシームレスに同期することが可能です。
その結果、場所を問わずシングルサインオンによる社内システムへのアクセスが可能となり、ユーザビリティが高まります。また、Microsoft Azure上で構築した仮想マシンのWindows Serverは、「Microsoft Azure Portal」というコンソールで統合管理が可能です。
Microsoft Azureのメリット
Windows Serverの移行にMicrosoft Azureを利用する主なメリットは、次の3つです。1つずつ、順番に解説します。
- 万全のセキュリティ体制
- シームレスなハイブリッド環境
- 特典が多く、コスト削減につながる
1.万全のセキュリティ体制
Microsoft AzureはITインフラを構築するレイヤーごとに、さまざまなセキュリティ対策を組み込んでいます。例えば「Microsoft Defender for Cloud」を使うことで、クラウド規模でセキュリティリスクを迅速に検知し、企業のデータを保護することが可能です。
また、Windows ServerによるITインフラ運用の自動化を支援する「Azure Automanage」も、セキュリティ対策に役立ちます。Azure Automanageのホットパッチを使えば、仮想マシン内のWindows Serverに最新のセキュリティパッチを自動適用できます。サーバー再起動などのダウンタイムなく、堅牢なセキュリティを維持できるでしょう。
2.シームレスなハイブリッド環境
Microsoft Azureは、既存オンプレミス環境とクラウドを組み合わせた「ハイブリッド環境」を構築できるのもメリットです。オンプレミス・クラウドをシームレスに連携でき、既存環境への影響を最小限に抑えつつ、より快適なITインフラの構築・運用を実現できます。
例えば「Azure Arc」を使うと、Windows Serverだけでなくオンプレミス環境上のLinuxサーバーなども含めての一元管理が可能です。どこにいても、全ての仮想マシンのライフサイクル管理が行えます。
そして、こうした機能を利用するために、既存オンプレミス環境を破壊する必要はありません。Microsoft Azureなら従来の環境をハイブリッド仕様に拡張して運用でき、少ない人的コストで移行が可能です。
3.特典が多く、コスト削減につながる
Microsoft Azureであれば、Windows Serverの移行にあたって手厚いサポートが受けられ、コスト削減にもつながります。例えば「Azure ハイブリッド特典」を適用すると、既存オンプレミス環境で利用しているWindows ServerやSQL Serverのライセンスを、追加費用なしで流用可能です。
また、Windows ServerをMicrosoft Azure上で利用する場合に限り、無料で延長セキュリティ更新プログラムが3年間適用されます。さらに、Microsoft Azure上のSQL Serverはスループット(処理能力)が高いというデータも示されており、サーバーの運用コスト節約にもつながるでしょう。
まとめ
Microsoft Azureとは、Microsoft社が提供しているクラウドサービスです。同じくMicrosoft社製であるWindows Serverとの親和性が高く、連携機能を利用して迅速なITインフラの移行が可能となります。
Windows Serverの移行をスマートに実現したい方は、ぜひMicrosoft Azureの活用をご検討ください。