昨今のクラウド環境の普及に伴い、情報セキュリティの課題は各所で見受けられます。データ連携は異なるシステムをシームレスでつなぎ、データ共有をスムーズにするという特性上、やはりデータ連携を行う場合においてもセキュリティ課題は少なからず指摘されています。
そこで今回は、データ連携におけるセキュリティ課題について知るためのポイントとして、連携のメリットとデメリットを紹介していきます。
データ連携を行うメリット
組織内で扱うさまざまなデータを、部門やシステムの垣根を超えて利用できるようになれば、業務効率は大幅にアップします。そこで注目しておきたいのは、専用のツールなどを使用して実施されるデータ連携です。
データ連携を行えば、売り上げや在庫、原価、顧客や人事といったあらゆる種類の大量データを、必要に応じて組み合わせることで有効活用ができるようになります。
もちろんこのためには情報漏えいなどの重大セキュリティ事故を防ぐための対策と、リテラシーが必要不可欠となりますが、組織にとって多くのメリットをもたらすのは確かでしょう。まずは、メリットについて詳しく解説していきます。
分散化されたデータの統合
現状、散らかった状態で扱いきれていないデータばかりが多く存在し、いわば”宝の持ち腐れ状態”になってしまっている企業は少なくありません。さまざまなコア業務があるなかでは、それだけ大量のデータをまとめ上げて柔軟に活用することは、非常に難しいのです。
しかしながら連携を進めれば、分散して扱えない状態になっていたデータを有効活用できるようになります。膨大なデータを集めれば、これからの経営判断に役立つインサイトを得ることにもつながるでしょう。
データ統合による見える化
さまざまな部門のデータを、連携によって一元管理すれば、あらゆるビジネス環境をふかんから見てコントロール可能となります。例えば販売データが見える化することで、店舗の状況をリアルタイムでいち早く確認できるようになります。
また、業務プロセスなどの最適化を意識したデータとしても活用できるため、分析の迅速化にも貢献します。
情報管理のコスト削減
データ連携は大幅なコスト削減などのメリットももたらします。クラウド型で利用できるタイプのソフトウェアなら、アウトソーシングにして管理を委託することでコスト削減につなげることも可能です。リモートワーク環境を整えれば拠点維持の全体的なコストも抑えられるでしょう。
また、同じくクラウド運用が可能なものならサーバー維持のインフラコストも料金に含まれます。そのため導入は気軽になり、オンプレミスと比べると初期コストは非常に少なくなります。
データ連携のデメリット
多くのメリットがあり利便性を非常に高めてくれるデータ連携ですが、連携にあたっては課題も少なくないため、特に「セキュリティ面のデメリット」にはしっかりと目を向けておく必要があります。
特にクラウドサービスでのデータ連携には、十分に注意を払う必要があります。重大な情報漏えい事故などを起こさないためにも、以下のようなデメリットはあらかじめチェックしておきましょう。
連携プログラムのスパゲッティ化
連携プランは基本的に、専用の連携ツールなどを使用する方向で進めていくことになりますが、場合によっては独自にプログラムを開発することでデータ連携を行うこともあります。つまり連携を検討・進展させていく中で、「システムやアプリケーションのタイプ的によりマッチする、連携プログラムが新たに必要になる」というケースも発生するのです。
しかしこれはスパゲッティプログラムによる属人化を進める要因にもなり得るため注意が必要です。より技術力のある担当者しか扱えないツールとなり、ブラックボックス化することでセキュリティリスクを高める可能性が生まれてしまうということです。
結果として、「どこにどのデータがあるのか、誰に聞いてもわからない…」といった問題に多くの従業員は直面することになります。これではデータ連携をするにしても本末転倒です。
サービスにより連携できないものもあること
「使用しているすべてのアプリケーションが、連携に対応しているわけではない」という事実も認識しておきましょう。例えば、新規導入したアプリケーションは現行システムには統合できず、その結果かえってデータの扱いが煩雑になってしまう、といったケースも課題として想定されます。
したがって連携を行うにあたっては、今後新たなアプリケーションを導入する可能性を考慮して、連携システムを選んだり開発したりする必要があります。
オンプレミスとクラウド間のデータ連携の複雑化
従来型のオンプレミスのアプリケーションとクラウドアプリケーションが、データ連携を行うことによって社内に混在することになるパターンも考えられます。オンプレミスとクラウドのサービスでデータ連携ができないわけではありませんが、連携が複雑化するのは確かでしょう。
データ活用の効率化を目指して連携を行ったものの、かえって管理業務が煩雑なものになってしまうパターンです。データ参照にあたって、クラウドとオンプレミスを行ったり来たりしなければならない状態になってしまうことも考えられます。
また、クラウド管理することでのセキュリティリスクが上がることにも注意してください。ユーザー認証システムがあるとはいえ、常に開かれたネットワーク内に重要な情報が保管されている状態は、ハイリスクと言わざるを得ません。
セキュリティの観点からデータ連携でおすすめの方法
連携にあたってはデータ管理がシームレスな状態になるため、セキュリティリスクが高まることは不安要素の一つになります。そのため少しでもリスクを抑えるためには、以下のようなサービスの利用がおすすめです。
データ転送サービスの利用
データ共有の際には、気軽に利用できるタイプのデータ転送サービスを使用するという方法があります。本格的なサービス導入にはコストもかかりますし、従業員全体のITリテラシー向上に向けた教育も必要になるため、まずは気軽に使える転送サービスの利用がおすすめです。
万が一何らかの問題が起これば、原因や危険のリスクを素早く特定することが可能です。IT知識がそこまで充実していない人でも簡単に扱えるという利点もあります。
クラウドサービスの利用
クラウドサービスを利用した連携を実践するのも有効な手段と言えるでしょう。近年はクラウド移行が著しく進んでおり、クラウドサービス提供会社も需要拡大に伴い、セキュリティ対策強化を徹底しています。クラウドサービスはあらゆる用途にあわせて使用できるのが魅力です。
クラウド型アプリケーションに入力された販売や営業、顧客や人事などさまざまな種類のデータは、SAPやOracleをはじめとしたオンプレミス環境にあるデータソースとスムーズに統合することが可能です。
まとめ
データ連携にはメリットもデメリットもあるため、連携を実施する際にはよい点にばかり気を取られないことが大切です。特にセキュリティにかかわるデメリットも懸念されます。
したがってデータ連携にはどのようなセキュリティ課題が指摘されるのか、それを解決するにはどうすればよいのか、具体的なポイントについて理解を深めることが大切です。
MicrosoftのAzureでは、セキュリティ性に優れたサーバーやネットワークといったインフラをクラウドサービスとして利用できます。データ連携にはセキュリティ対策が徹底された環境を整備することが一番です。連携の際には、Azureの導入をぜひ検討してみてください。