多くの企業でITシステムの老朽化が問題となっています。レガシーシステムは管理費用の増加やセキュリティリスクを高める原因であり、経営戦略上の足枷にもなりかねません。そこで重要となるのが、システム刷新によるモダンクラウドの構築です。
本記事では「Azure」を活用し、モダンクラウドを実現するポイントについて解説します。
DX時代に重要なモダンITインフラの実現
近年、さまざまな産業において「DX」(デジタルトランスフォーメーション)の実現が重要な経営課題となっています。DXとは、デジタル技術を活用することで企業経営やビジネスモデルそのものに変革をもたらし、市場における競争優位性を確保することです。DXを実現するためには時代の変化に合わせた、新たな市場価値の創造が求められます。そのためにはITシステムのモダナイゼーション、つまりモダンITインフラの構築が不可欠です。
DXの推進が急務とされる背景には、レガシーシステムの存在があります。経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」にて「2025年の崖」という問題を提起しました。このレポート内で、多くの企業においてITシステムの老朽化やブラックボックス化が進み、いわゆるレガシーシステム化することが、DX実現の足枷になっていると指摘しています。
めまぐるしく変化するビジネス環境へ、柔軟に対応可能なモダンITインフラを構築すること。これは、DXを実現するために、焦眉の急を要する経営課題と言えるでしょう。
Microsoft Azureとは
「Microsoft Azure」とは、Microsoftが提供するクラウドサービスです。サーバーやストレージといったITインフラや、システム運用の土台となるITプラットフォームを提供します。
Azureは「IaaS」と「PaaS」という2種類のサービス形態を持つクラウドサービスです。IaaSとは、ベンダーが提供するサーバーやストレージといったITインフラをクラウド上に構築するサービス形態を指します。PaaSはITインフラに加えて、ハードウェアやミドルウェア、OSやランタイムなどを提供するクラウドサービスです。
Azureは非常に汎用性に優れたサービスであり、ビジネスを効率化するさまざまな機能を備えるソリューションです。例えば、ソフトウェア開発を支援する「Azure DevOps」、ストレージサービスの「Azure Storage」、仮想マシンを提供する「Azure Virtual Machines」、サーバー不要でプログラムを実行可能な「Azure Functions」などが代表的な機能として挙げられます。
ほかにもAIによる機械学習や認証システムの構築、ビッグデータの分析基盤やIoTのシステム管理など、幅広い用途に利用可能です。
Azureが多くの企業に支持される理由は、Microsoftの強大なネットワークを利用できる点にあります。世界中に「リージョン」と呼ばれるデータセンターが点在しており、グローバルなサービス展開や、膨大なファイルへの高速アクセスを実現します。コンプライアンス対策やセキュリティインシデント対策にも優れ、堅牢なモダンクラウド環境を構築可能です。
また、初期費用無料の従量課金制を採用しているため、導入コストを安く抑えられることも大きな魅力でしょう。リソースの利用量に比例してコストが上昇するものの、エンタープライズ向けの割引制なども用意されています。自社の企業規模や事業戦略に沿ったプランを選択することで、運用コストの最適化が可能です。
モダンクラウド実現へ導く「SoftwareONE AzureSimple」
近年、多くの企業で進んでいるのがITシステムのクラウド化です。DXの実現には優れたITソリューションの導入が不可欠であり、そのためには運用基盤となるITシステムにも相応の性能が求められます。
しかし、オンプレミス環境でのシステム強化は、サーバーやネットワーク機器の増設に多額の費用を要します。サーバーの増設に伴い、システム管理施設の拡充も必要です。クラウド環境であればサーバー機器や管理施設の拡充は不要であり、管理業務も軽減されます。このような背景から、オンプレミス環境からクラウド環境への移行が普及しつつあるのです。
システム環境をオンプレミスからクラウドへ移行する際、これを契機としてAzureを導入する企業が増加しています。そこでおすすめしたいのが、モダンクラウド実現へと導く「AzureSimple」の利用です。AzureSimpleとは、SoftwareONE社が提供する、Azure環境への移行をサポートするソリューションです。Azureを初めて利用するユーザーはもちろん、サービス加入契約の有効期限が切れたユーザーにも対応しています。
また、エンタープライズ契約を結んでいるが「CSP」(クラウドソリューションプロバイダー)に移行したいユーザー、CSPがあるがSoftwareONEのサービスを利用していないユーザーなども利用可能です。AzureSimpleを利用することで、Azureへのスムーズな移行とビジネスの最適化を実現できます。
4つのステップでAzureの利用を促進
AzureSimpleはAzureへの移行をシンプルにし、ビジネス環境への最適化を行うソリューションです。具体的には「アドバイザリー」「サーバーの移行」「SQL移行」「最適化」という4つのソリューションパックから選択し、Azureの利用環境を最適化へと導きます。
アドバイザリー
モダンクラウド環境の構築には、障害となるさまざまな課題が存在します。なかでも、コストやライセンス、セキュリティ管理などに関して、課題は浮上しやすいでしょう。
「アドバイザリー」では、クラウドのエキスパートによる専門チームを結成し、プロのアドバイスを用いて、課題解決への時間と費用を節約します。
サーバーの移行
オンプレミス環境からAzure環境へと移行するには、実装までに相当な時間とコストを要します。「サーバーの移行」はダウンタイムを最小限に抑えながら、確実なサーバー移行をサポートするサービスです。
SQL移行
システムの移行時にはSQLデータベースに対する環境の見直しも必要です。「SQL移行」は、SQL環境のリフトとシフト、および再考によって、クラウド移行におけるリスク軽減とコストの削減に寄与します。
最適化
「最適化」は、SoftwareONE独自のPYRACLOUDプラットフォームを使用します。これは、仮想マシンのサイズやAzureの請求書など、クラウドコストの最適化を支援するサービスです。過去のクライアントに対し、20〜50%のコスト削減という形で寄与してきました。
AzureSimpleの活用事例
ここからはAzureSimpleによってモダンクラウド環境を構築した企業「PRMG社」(Paramount Residential Mortgage Group Inc.)の活用事例を紹介します。
同社は米国49の州で事業を展開する、住宅ローン融資業界のリーディングカンパニーです。しかし、その巨大な企業規模ゆえに、事業拡大によって生じたシステムの脆弱性を危惧していました。
金融業界において情報セキュリティインシデントは、万が一にも起こってはならない事態です。そのため、PRMG社ではセキュリティの信頼性と堅牢性に優れる、モダンクラウド環境への移行が重要な経営課題となりました。
そこでSoftwareONE社が提供するAzureSimpleを活用し、Azure環境を構築したのです。その結果、Azure上にてITシステムを一元管理することで、セキュリティの信頼性と事業継続性が向上しました。また、業務管理の効率化によって作業時間を大幅に短縮し、さらにはインフラストラクチャの簡略化と支出削減も実現しました。
まとめ
ITシステムの主流はオンプレミス環境からクラウド環境へと移行しつつあります。レガシーシステムはDXの実現を阻む障壁です。SoftwareONE社のAzureSimpleは、システム環境を最適化し、モダンクラウド構築を強力にサポートします。ITシステムのクラウド移行を考慮している企業は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。