データ連携を考える際には、連携システムの概要や種類などを詳しく理解しておくことが大切です。さまざまな種類のデータやシステムを活用してビジネスを効率化させていくなかでは、いかに連携を行ってそれぞれのデータを扱いやすいものにしていくかが鍵となります。
そこで今回は、データ連携とは何かという点をチェックしたうえで、連携システムの種類やシステム導入における注意点、さらに連携のメリットを事例とともに紹介していきます。
データ連携システムについて
データ連携とは各種データを複数のアプリケーション間で連携させることを意味します。一つのアプリケーションで蓄積されたデータをその場所で使うだけでなく、ビジネスに活かすために、ほかのアプリケーションに連携させて活用することを示します。
現代の情報社会におけるスムーズな企業経営のためには、データ活用は欠かせません。例えば売上や商品在庫のデータ、顧客データ、社内の人事に関わるデータなど、企業は自社で保有するありとあらゆるデータを使用して経営判断に活かしていく必要があります。
そのためには、販売部は販売データだけを活用するのではなく、必要に応じて顧客や人事のデータも組み合わせて活用するなど、臨機応変な連携が必要不可欠です。
そしてこのデータ連携を行うのに必要になってくるのが、データ連携システムです。システムにはいくつかの選択肢・方法があるため、自社の業務効率化にはどのような方法でのデータ連携が適切なのか、慎重に判断していくことが大切です。
データ連携システムの種類
上でも触れてきたとおり、データ連携を実現するにはシステムを使用する必要があります。まずは、データ連携システムの種類やその他の連携方法の種類について整理していきましょう。
- スクラッチ開発
- EAIツールを使う
- ETLツールを使う
主な方法・連携システムの選択肢としては以上のようなパターンが挙げられます。
スクラッチ開発はデータ連携システムをはじめから設計し開発することをいいます。自社に合ったかたちで柔軟な開発が可能となる点はメリットといえますが、運用していくにあたってのコストは少々高くなりがちです。
EAIツールは異なるシステム同士をつなぐ役割を果たしてくれるツールで、ETLツールはデータの管理や加工を行えるツールになります。これらのツールの特徴や具体的な違いについては、次で詳しく解説していきます。
EAI・ETL・ESBの違いとは
データ連携には必要なツールを見極めて有効活用することが欠かせません。
まずEAIツールは、種類の違うシステムを統合・連携させる機能を持つツールです。社内で使っている異なるシステム同士をくっつけることはもちろんのこと、例えばクラウドサービス提供会社が提供しているサービス・システムと連携させることも可能になります。
これに対してETLツールは、主にデータの管理や変換、加工などをするためのツールです。それぞれのシステムで保管されているデータは形式が違うなど、連携して活用するには使いにくさが目立つこともあります。そんなときETLツールを利用すれば、適宜変換や加工を行えるため連携がスムーズになります。
このように、EAIツールはシステム同士の連携によるスピーディーなデータ共有、ETLツールは一つの場所でのデータの一元管理をそれぞれ目的としているといった違いがあります。どちらを重視するかで、導入すべきツールは決まってくるといえるでしょう。
ちなみにこれらと同様に混同されやすいものとして、ESBツールがあります。ESBツールはアプリケーション同士の統合をサポートするツールですが、EAIツールはデータを集中処理する一方で、ESBツールは分散処理を実現するのが大きな違いとなります。
データ連携におけるシステム導入の注意点
データ連携には、主に以下のような注意点があるためシステム導入の際には慎重に検討することが大切です。
- 開発や導入、運用にあたって大きなコストがかかる
- 最適化対象は社内におけるすべてのシステムになるため連携には時間を要する
- 拡張性の確保が必要
- クラウドの場合はセキュリティに関して課題がある
- 連携によってシステムがより複雑化する可能性がある
データ連携システムの開発や導入、そして運用にはある程度コストがかかるため、費用対効果を考えた場合、結果として連携は不要と判断されることも少なくはありません。
また、連携にあたってシステムを最適化する場合は時間がかかると予想されます。そのため迅速な連携は難しい場合を加味し、完了までのスケジュールは余裕を持って立てることが大切です。
また、さまざまなデータを扱う分、拡張性を備えておく必要や、クラウドの場合は情報漏洩などのセキュリティリスクに備える必要があります。さらなるシステムの複雑化にも注意が必要です。
事例から見るデータ連携のメリット
ここからは、データ連携システムを導入すべきかどうかの判断に役立たせるポイントとして、連携のメリットや事例を紹介していきます。
システム間のスムーズな連携
異なるシステム同士でも、データ連携システムによってまとめることができれば、複数のシステムに入力したり異なる場所で逐一タスク管理を行ったりする手間が省けます。
社内システムとコミュニケーションツールを連携した事例は多く、その結果、多重入力の手間は一気に解消されたといいます。
データ連携システムならアプリケーションをシームレスに連携できるため、業務効率化を妨げる原因解決に向けて効果的なアプローチが可能です。また、BIツール導入による経営判断の効率化にもつながります。
システムの属人化解消
データ連携システムの導入では、システムの属人化を未然に防ぐという利点も感じられます。
個別的な対応をしなければならないシステムは柔軟性に欠け、さらには煩雑な業務を生む原因となります。この状態からユーザーフレンドリーなシステムへと変更できれば、多くの人が使いやすさを感じられるようになり、業務効率化につながります。
こうした課題に対しては、社内ポータルサイトを構築し、多くの機能を管理できるようにした事例があります。データをサイト内で一元管理することで、利便性が大きくアップしたのです。
メンテナンス・管理にかかるコスト削減
例えば、顧客一人ひとりに合わせた個別的なシステム構築を行うと、システム開発やメンテナンスの工数が多くなってしまいます。従来の業務環境に見られるデータの手入力や、紙ベースでのやり取りも、工数が増える原因です。
しかしデータ連携システムを取り入れれば、こういった状態から業務効率化へつなげることが可能となります。それぞれのPCにソフトウェアをインストールしなくても良い状態になり、データの破損も防げます。
このように手間だけでなくインストールにかかるコストも削減できたという事例があるため、システムの管理やメンテナンスの負荷が多く困っている場合にも、連携は必要になるといえるでしょう。
まとめ
データ連携は、データ活用が重要といわれる現代のビジネス環境において、欠かせない役割を持っています。システム同士をシームレスな状態で連携できれば、垣根を超えてあらゆるデータを組み合わせて活用することができます。
連携における注意点なども整理したうえで、生産性の向上やコスト削減という点で多くのメリットを生み出すデータ連携システムの導入・活用は積極的に検討していきましょう。
Microsoft社のAzureは、高いセキュリティ性能を持つクラウドサービスです。データ連携にあたっての導入ならさまざまな機能の利点を感じられることでしょう。連携による業務効率化をお考えの際には、Azureでのクラウド基盤構築をぜひご検討ください。