近年、社内システムをクラウドへと移行する企業が増えていますが、使い慣れたオンプレミス型を手放すことに不安を感じている方は少なくないでしょう。そこで本記事では、クラウド移行の成功事例をはじめ、クラウド移行が失敗する原因とその解決策、おすすめのクラウドサービスについて紹介します。
クラウド移行の事例
まずは、オンプレミス型の社内システムをクラウド移行した企業事例について見ていきましょう。
マイグレーションでコストを抑えたクラウド化|金融業A社
既存システムの保守サポート満了に伴い、クラウドへの移行(マイグレーション)を成功させたのが、某金融業のA社です。
移行にあたり、ブラックボックス化したシステムや不要なシステムが多いことに加え、クラウド基盤の制約によって、文字コードの変更などを要することが課題でした。システムを有効活用することで、開発費用・移行期間を最小限にとどめた移行に成功しています。最適なクラウド基盤へと移行し、開発費用50%削減を実現しました。
BCP対策を実現するクラウド化に成功|株式会社JA福岡県協同情報センター
福岡県のJAの情報システムを担う「株式会社JA福岡県協同情報センター」は、JAにおけるICT戦略のトップリーダーとなるべく、オンプレミス型の延長線上で使える、仮想化プラットフォームをベースにしたクラウドサービスを導入しました。
コストカットにつながることをはじめ、システム・ネットワーク・運用保守の一貫したサービスが導入の決め手です。災害時の早期復旧が可能などのメリットもあり、各県のJAから多数の問い合わせが入っています。
信頼できるベンダーに任せてクラウド化に成功|株式会社セキノサイトネット
新薬の治験支援業務を行う「株式会社セキノサイトネット」では、既存のサーバーが老朽化に伴い動作不安定となり、しばしば業務が滞ることがありました。そのため、治験に関する膨大な量のデータを安全かつ効率的に保管・管理するため、オンプレミス型のファイルサーバーをクラウド環境に移行しました。
それまでは資料の編集などに際し出社を要していましたが、社外からも資料にアクセスできるようになったことで業務効率が向上。これにより、各従業員は本来の治験支援業務に集中して取り組めるようになりました。
テスト運用で最短クラウド移行|株式会社講談社
出版物・コンテンツのデジタル化に注力する「株式会社講談社」も、今後のグローバル戦略に基づいて、従業員がより快適に働けるような環境を構築するために、クラウドサービスを導入しています。
Microsoftが提供する「FastTrack for Azure」などのプログラムを使いながら、内製でシステム構築を行い、半年という短期間で環境構築を実現させました。セキュリティにこだわって構築されたこのシステムは、リモートワークをはじめグローバル展開への足がかりとなっています。
既存ライセンスで導入コスト大幅減|Osaka Metro
「大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)」は民営化を機に、老朽化が進み日々の運用に課題を抱えていたオンプレミス型のシステムを、クラウドへと移行しました。
選択したのは、鉄道事業に特化した機能を備えるクラウドサービスです。コスト面に優れるうえ、使い勝手もよいことが大きな決め手となっています。既存システムと同じように運用できるため、約半年という短期間でスムーズな移行が実現しました。パンデミック下では社内スタッフがリモートで運用・保守に当たれるほか、サービス提供先がリモートでサポートを行ってくれる点も大きなメリットです。
クラウド移行を失敗する原因とその解決策
続いては、クラウド移行が失敗する原因と、その解決策について解説します。
クラウドの導入目的が定まっていない
クラウド移行が失敗する原因としては、「クラウドの導入目的が定まっていないこと」がまず挙げられます。クラウドサービスに限らず、新システムを導入すると、少なからず現場は混乱します。その際、現場職員がシステム導入に対して抱く心証は、「事前にクラウドサービスの導入目的や導入後のメリットが、どれだけ共有されていたか」によって変わります。
実際に運用する従業員の士気が下がると、スムーズな運用につながらないばかりか、導入を進めたクラウドサービスが有効活用されず、コストだけ増える恐れすらあります。従業員の士気を上げるためにも、導入計画はもちろんクラウド移行する目的やゴール、メリットを移行に関わる主幹部署だけでなく、全社的にしっかりと共有しましょう。また、新しいクラウドサービスを使いこなすためのトレーニング期間を設けることも大切です。
コストシミュレーションが不十分
老朽化してコストがかさみ、レガシー化したオンプレミス型の既存システムを使っている場合は特に、「クラウドを導入すれば、保守・運用コストが削減できるだろう」と感じるかもしれません。しかし実際は、クラウド移行が必ずしも大幅なコストカットにつながるとは限らず、企業のニーズや既存システムの状況によって変わってきます。
クラウドサービスは初期費用を抑えやすい一方、既存システムが複雑だった場合などでは、移行費用がかさんでしまうというケースが少なくありません。また、クラウドサービスは一般的に、利用人数・使用する機能の数などによって月額料金が増えていくため、やみくもに運用するとかえってコストが増す恐れもあります。
初期費用だけでなく自社のクラウド移行にかかる費用や、利用権限を付与する従業員の範囲などをよく検討してから、クラウドサービスを選ぶようにしましょう。
クラウドサービスの選定ミス
せっかくクラウドに移行しても、導入したクラウドサービスに過不足があっては、「多機能のわりに使い道が少なく、月額料金のみ払い続けている」「必要な機能が足りず、結局は既存システムと併用している」といった無駄が生じる可能性もあります。
クラウドサービスを選定する際は、実績・セキュリティの堅牢さ・障害への耐性・サポート体制といった点だけでなく、提供されているサービスが自社にフィットしているかどうかもしっかりとチェックしましょう。
クラウド移行を簡単に行うなら「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」
ここまで見てきたように、クラウド移行は簡単なことではありません。また、使い慣れたオンプレミス型の既存システムを、突然パブリッククラウド(一般的なクラウド環境)に移行させるのに抵抗がある方も少なくないでしょう。
そのような場合は、株式会社インターネットイニシアティブ提供の「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」の導入がおすすめです。これは、クラウドならではの柔軟性を備えつつ、オンプレミス型のような感覚で使えるサービスです。VMwareを採用したホステッド・プライベートクラウド環境で、既存システムを活かしたクラウド移行が可能なため、「なるべく設計を変えたくない」といったニーズにも適うでしょう。
自由にVM(バーチャルマシン:仮想マシン、仮想コンピュータ)を作成でき、VMwareとハードウェアの管理を手放せる「フレキシブルサーバリソース」と、オンプレミス型でよく使われるvCenter Serverの継続使用に適した「デディケイテッドサーバリソース」の2タイプが提供されます。前者は最小「1vCPU/4GBメモリ」から契約できるため、スモールスタートにも適しています。
移行環境・新環境の構築や移行テスト、移行作業は専任チームがワンストップで行ってくれるため、既存システムからスムーズに移行できるのもポイントです。クラウド移行でお悩みの際は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
システムをオンプレミスからクラウドへ移行する場合、全社的に導入目的・メリットを共有し、コスト面も考慮しつつ自社に合ったサービスを選ぶことが大切です。使い慣れたシステムを手放すことに抵抗がある方は、オンプレミス型の延長線上のような感覚で使える「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」もおすすめです。