AVDは「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)」の略であり、Microsoftが提供するDaaS(Desktop as a Services)です。AVDの導入によって、リモートワークにおいても会社のパソコンと同じデスクトップを利用できます。また、機密性の高いファイルにはアクセス制限をかけるなど、セキュアな環境を実現します。
しかし、十分な検証を行わずにAVDに移行した場合、導入から運用に渡って問題が生じ、せっかくの機能を活用できない場合があります。
Microsoftのパートナー企業であるレイクサイドソフトウェア株式会社では、AVD移行に際して問題がないか調査とレポートを発行する無償のアセスメントサービスを提供しています。AVDの導入から運用まで「SysTrack」という一貫したソリューションで、IT資産の最適化と生産性の向上を支援します。
ここでは、AVDの導入時に発生する問題、アセスメントサービスを利用するメリット、そしてAVDを導入から運用までサポートするSysTrackの概要を解説します。
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AVDの導入時に発生する可能性の高い3つのトラブル
働き方改革のひとつとして注目されていたリモートワークですが、COVID-19によって通勤が制限されたことから、さらに必要性が高まりました。アフターコロナにおいて、リモートワークのメリットやデメリットを検証した上で、AVDのようなDaaSを検討する企業も増加するのではないでしょうか。
したがって、AVDのメリットとデメリットを把握し、導入時の問題の把握と効果的な運用方法の検討は、アフターコロナの働き方改革を考えるリーダーとして急務といえます。
一般的にAVDに移行したときに発生するトラブルには、パフォーマンス低下、ソフトウェアの動作に関する問題、デバイスに関する問題の3つがあります。
1. マルチセッションによるパフォーマンス低下の問題
AVDではWindowsマルチセッションが利用可能です。AVD限定のWindows 10 Enterpriseの機能として提供され、Windows 10を複数ユーザーで利用する方式です。
従来、仮想化されたデスクトップを利用するには、サーバーOSを複数のユーザーで利用するSBC(Server Based Computing)方式、単独のユーザーにクライアントOSを提供するVDI方式がありました。この両方のメリットを兼ね備えた方式がWindowsマルチセッションです。Edgeやコルタナなどのアプリケーションが利用可能になるとともに、仮想マシンの台数を削減できます。
しかし、セッション単位でリソースを制限できないため、ヘビーユーザーがリソースを専有すると、他のユーザーのパフォーマンスを低下させることがあります。
2. アプリ、ドライバー、アドオンの動作の問題
AVDをWindows 7のOSで利用する場合、64ビットのアプリケーションに限定され、32ビットのアプリケーションは動作しません。また、複雑なドライバー環境が必要なセキュリティソフトウェアやハードウェアに依存したソフトウェアでは、動作するかどうか検証が必要です。OfficeやIEなども更新によって、アドオンの動作が不明の場合があります。
3.プリンターや外部デバイスの動作の問題
AVDでは印刷のためのプリンターや、外部デバイスが対応しているかどうか動作不明の場合があります。業務によっては大きな支障になり、導入および移行では事前に検証しておくことが大切です。
AVDの導入をスムーズにする無償のアセスメントサービス
AVDの導入を成功させるためには、移行後のアプリケーションやデバイスに関する問題を移行前に把握しておくことが重要です。
このときAVDを利用するユーザーに関してヘビーユーザーとライトユーザーの行動を把握し、効率のよいリソースプランを考慮することがポイントになります。同時にマルチセッションの集約率も検討します。
株式会社レイクサイドソフトウェアは「SysTrack」を使って、AVDの移行を支援するアセスメント(調査による評価)サービスを無償で提供しています。使用中のデスクトップ環境からデータを収集して検証します。オンプレミス版のSysTrackに加えてクラウドサービスからも利用できます。
アセスメントサービスの主な内容は以下の通りです。
- OSバージョンごとのデバイスの台数と利用時間
- ユーザーのリソース使用量をもとにした分類、分類ごとの平均リソース使用量
- 曜日ごとのアクティブユーザー数(1時間単位)
- アプリケーションサーバーの通信状況によるVDI適合性分類
- 共通アプリケーションの利用状況
- リソース使用量をもとにしたユーザーのWiondows10マルチセッションの適合性分類と分類ごとのサイジング例
- 既存システムの健全性の分類
- 直近30日間の健全性のスコア推移
AVDの導入後に、運用を最適化するSysTrackとは
SysTrackは人工知能による「AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)」というプラットフォームを備え、AVDを運用する上で問題のパターンを自動的に認識し、解決の対応時間を短縮します。AVDを利用する従業員のあらゆる情報を一元管理し、ユーザーエクスペリエンスを最適化することによって生産性を向上させます。
SysTrackはデスクトップ、モバイル、物理的サーバー、仮想サーバーなど数万以上のITソリューションに超軽量のエージェントを配布してデータを収集します。収集したデータを格納する「DataMine」は特許取得済みで、分散データベースに対応しています。
データの収集は15秒間隔、CPUの占有率は0.5以下、日々のアップロードは平均150KBのため、エージェントを配布した従業員の業務に支障をきたすことはありません。最低限の環境構築でワークスペース分析を実現します。
組織構造に応じて階層化およびカスタマイズできるアーキテクチャー、100万ノードを超える拡張性を備え、AVDの運用を支援します。
SysTrackのコンポーネント
SysTrackは、次のような管理コンポーネントと診断コンポーネントで構成されています。
AVDの運用を支援するSysTrackの管理コンポーネント
「Visualizer」は、システム全体およびユーザーエクスペリエンスを可視化します。また、「Dashboard」によって、ビジネス要件に合わせてカスタマイズされたビューを提供します。「AIOps」は人工知能でインシデントのパターンを検出して予測を行います。
AVDの導入から運用まで支援する診断コンポーネント
AVDを導入にあたっては「VMP」があり、包括的なアセスメント、モデリング、シミュレーションを行います。
「Resolve」はトラブルのリアルタイム診断を行い、ヘルプデスクの業務を支援します。「vScape」はKPIに基づいてリアルタイムで健全性をスコアリングするコンポーネントです。Word、Excel、PDF形式で帳票レポートを作成する「Report Center」のコンポーネントも備えています。
AVDの運用でSysTrackを導入するメリット
SysTrackを導入することによって、次のようなメリットがあります。
従業員の業務を可視化し、生産性を向上
従業員のハードウェア、ソフトウェア、Webサイトの利用状況のデータを収集して可視化します。可視化は組織全体、グループ単位、個人レベルまで掘り下げることができます。ユーザーが快適かつ効率的にITリソースを活用しているかスコアリングし、生産性の向上とともにITガバナンスを強化し、ビジネスの健全性の維持を支援します。
AVDのパフォーマンスを改善、IT資産の最適化によるコスト削減
働き方の多様化を踏まえて利用状況をモニタリングし、パフォーマンスを改善します。ITリソースの有効活用のために使用パターンとリソースの使用率を把握し、稼働状況を最適化して過剰投資を削減することが可能です。
トラブルシューティング、セキュリティリスクの監視ならびに予防
物理的あるいは仮想的を問わないエンドポイントから情報を収集し、人工知能によるインシデントのパターン検出、予測の自動化によってトラブルを解決します。
組織が大きくなると、情報システムの統括部門で把握できない「シャドーIT」が生じることがあります。従業員のデバイスなどを把握できないと、盗難や紛失によるリスクの可能性が高まります。企業内のIT資産全体の活用状況を監視しセキュリティリスクを監視、問題発生を未然に防止します。
ヘルプデスクの効率化
企業内の情報システム部門のヘルプデスク業務を、自動化されたデータ収集や監視機能などによって効率化します。従業員からの多様な要望に対する煩雑さの負荷を軽減し、生産的な仕事にシフトすることが可能になります。エンドユーザーに対するサポートセンターの効率化にも活用できます。
まとめ
AVDの導入では移行前に十分な検証が必要です。さらに運用にあたっても、それぞれのユーザーがIT資産を活用しているかどうかモニタリングして、可視化やスコアリングされた結果をもとに改善することが成功のポイントといえるでしょう。
株式会社レイクサイドソフトウェアの「SysTrack」は、AVD導入時の検証から運用まで一貫してIT資産の最適化と問題解決をサポートするソリューションです。