新型コロナウイルスの影響から日本国内における働き方に対する意識が大きく変わろうとしています。その最も大きな変化が「テレワーク有効性の認識拡大」でしょう。外出自粛要請により緊急的にリモートワークへ取り組んだ企業の多くは、「自社ビジネスに適さない」「生産性が下がる」と言った見解からリモートワーク に消極的でした。しかし、多くの企業においてリモートワークへ移行してもビジネスは正常に運営されており、むしろ生産性が向上したと実感している企業も多いのではないでしょうか。
公益財団法人 日本生産性本部が5月中旬に実施したインターネット調査によると、「新型コロナウイルス収束後もテレワークを続けたいか?」と質問したところ、「そう思う」と回答したのが24.3%、「どちらかといえばそう思う」が38.4%となり、前向きな回答が60%を超えています。
このような中、多くの企業が新しい働き方を模索する過程で検討するのが既存システム環境のクラウド移行です。クラウドに移行することでシステムの運用管理負担を軽減しながら、ユーザーの利便性を高めるなど付加価値の増大に取り組むことができます。本記事でご紹介するのは、そんなクラウド移行で成功するための4つのポイントとAzureへの移行で気をつけたい3つのポイントです。ぜひお付き合いください。
クラウド移行で成功するための4つのポイント
既存システムをクラウドへ移行することは、決して簡単ではありません。まずは、クラウド移行で成功するための4つのポイントを確認してきましょう。
アプリケーションの動作環境を理解する
アプリケーションの稼働に必要なミドルウェアやデータベースを踏まえた稼働環境、ライセンスの準備が必要
現時点で正常に稼働しているアプリケーションも、クラウド移行後に正常稼働するとは限りません。アプリケーション固有の動作環境を理解しながら、それに必要なミドルウェアやデータベースを踏まえた動作環境やライセンスの準備が必要です。PoC(Proof of Concept/概念実証)を通じて動作環境を十分に精査し、既存のアプリケーションが継続的に動作できるかを確認しましょう。
セキュリティを理解する
クラウド特有のネットワーク、アプリケーションの保護に加えてユーザー認証を加味したシステム設計が必要
オンプレミスでのシステム環境と、クラウドではセキュリティ実装に大きな違いがあります。閉じられたネットワーク環境で運用管理されてきた従来のシステム環境では意識していなかったセキュリティも考慮しながら対策を検討しなければいけません。特に、クラウド特有のネットワークやアプリケーションの保護に加えて、高度なユーザー認証を加味したシステム設計が求められるようになります。クラウド環境が提供しているセキュリティ機能などを確認しておくことが重要です。
ネットワークを理解する
既存システムとの連携を考慮して、ネットワークの設定を変更し、必要であれば新たな回線調達を行う
クラウド移行と言っても、既存システム環境の全てをインターネット上の基盤へ移行できるとは限りません。そのため既存システム環境と新しいクラウド環境の両方を運用管理するケースが多く、ネットワークについて十分に理解する必要があります。必要に応じて新しい回線を調達しなければいけなくなるケースもあります。
クラウド特性を理解し運用する
「リソースの追加変更やミドルウェア構成の違いなど、オンプレミスとは異なるクラウド特有の運用が必要」
リソースの追加・変更の方法やミドルウェア構成など、クラウド環境はオンプレミスのそれと大きく異なるため、クラウド特性を十分に理解した上での運用計画が欠かせません。オンプレミスに比べてリソースの追加・変更が容易だからといって、計画なしの運用管理では後々必ずトラブルを引き起こします。
Azure導入に向けて気をつけるべき3つのポイント
Azureはマイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームであり、IaaS(Infrastructure as a Service/サービスとしてのインフラストラクチャ)やPaaS(Platform as a Service/サービスとしてのプラットフォーム)など多彩なサービスを提供しているのが特徴です。また、マイクロソフト製品との親和性が高くDaaSサービスであるAVDやActive Directory連携なども行えます。ここでは、そんなAzure導入に向けて気をつけるべき3つのポイントをご紹介します。
ポイント1. システム稼働に必要な要素を確認する
- クラウド化するメリットの明確化
- 既存システムを調査、クラウド移行対象の選定
- Azureへのシステム構築/移行計画・手順書の準備
- Azureライセンスの準備
- Azure共通リソース(サブスクリプション、ネットワーク、アクセス権限など)の準備
ポイント2. 移行に向けた悩みが自社で払拭できるかを検討する
- オンプレミス環境と同様にAzureでもアプリケーションやデータベースが正常稼働するか確認したい
- Azureにおけるネットワーク・セキュリティの設計や構築に関して、考慮すべきポイントがわからない
- Azureの機能や使用がわからず、Azureを運用する際の知術的なサポート窓口が欲しい
- Azureへの移行でかかるコストやスケジュールを確認・最適化したい
- Azureに精通しているエンジニアを確保したい
ポイント3. リスクを踏まえた上で、移行方法を検討する
企業によってシステム環境は異なるため、自社環境の移行に向けたリスクの洗い出しではクラウド特有の知識や技術が必要です。適切なシステム移行や完全なデータ移行を自社で実行することが難しい場合は、経験豊富な外部業者に委託することなども視野に入れた検討が必要になります。
ポイント1はつまり、「Azureへの理解度を深める」ことが重要になります。既存のシステム環境とAzureとでは異なる部分が多く、メリットも違います。それらの違いを明確にし、Azureに対する理解度を深めることで円滑な導入プロジェクトを実現します。
ポイント2では、Azure移行において生じる様々な悩み疑問を社内で解決できるものなのかどうか?を十分に検討した上で、場合によっては導入パートナーと協業しながら導入進めていくことも検討しなければいけません。
ポイント3は、Azure移行時のリスクを洗い出した上で、クラウド特有の知識と技術を持ってそれらのリスクを回避することが重要ということになります。このため、場合によっては経験豊富な外部業者に委託することなども視野に入れましょう。
いかがでしょうか?皆さんもこの機会に、既存システム環境のクラウド移行、Azureへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。