Microsoftが提供するデータの管理や制御を支援するサービス「Azure Purview」。本記事では、Azure Purviewの料金やサービス概要をご紹介します。自社のデータ、およびデータ管理体制を制御・運用したいと考えている方、Azure Purviewについて詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
Azure Purviewの機能とは?
Azure Purviewは、オンプレミス・クラウド・SaaS上のあらゆるデータを管理し、制御するサービスです。自動のデータスキャンやデータの整理・分類、リアルタイムのモニタリングによって、企業のデータ管理・統制を支えます。
Azure Purviewの主要な機能
Azure Purviewには、「管理」「検索」「分析」という、データを統制するうえで不可欠な3つの主要機能が備わっています。それぞれどのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。
管理
データ統制の基盤となるのが、データ自体を管理する機能です。Azure Purviewにおいては、「Data Map」という機能がデータ管理を担います。Data Mapではオンプレミス・クラウド・SaaSを問わず、さまざまなデータベースからデータをスキャンし、Azure Purviewに登録します。データのスキャン方法は、Data Mapにあらかじめ備わっている100以上の組み込みルールに従う以外に、ユーザーがカスタマイズすることも可能です。
スキャンしたデータは、データベースごとに分類して整理できます。これにより、どのデータベースから得たデータなのかがひと目で分かるうえ、Power BIでデータを分析する際などに、素早く関連するデータを見つけられます。
また、機密情報に関するデータを収集する際は、SQL ServerやAzure、Microsoft 365、Power BI間での一貫した秘密度ラベル付けが可能です。あらゆるサービス間で共通したラベルを付けておくことで、会社全体の機密情報が把握しやすくなります。収集したデータは徹底したセキュリティ体制のもと管理されるので、クラウドサービスといえども安心です。
検索
収集したデータを適切に取り扱うには、必要なデータをいつでも簡単に引き出せる状態にしておく必要があります。Azure Purviewでは「Data Catalog」を使用して、Data Mapで管理しているデータの検索が可能です。データの分類やラベルなどのフィルターを用いて、必要なデータに素早くアクセスできます。
またData Catalogには、ビジネス用語の管理が行える辞書のような機能もあります。この辞書で行えるのは、用語の意味を調べることだけではありません。用語と関連するデータにタグ付けすれば、特定のビジネス用語から目当てのデータを検索することもできます。該当のデータについて詳しい人物を表示する機能もあるので、データ発見後もスムーズに次の段階に移行できるでしょう。
分析
Azure Purviewには、データ分析や運用管理、モニタリング機能である「Data Insights」が備わっています。Data Insightsでは、管理しているデータのデータソースや分類、サイズなどが、レポート形式でわかりやすく視覚化されます。
このほか、スキャンの成否やデータに紐づけられた用語の数など、現在の運用状況に関するフィードバックもリアルタイムで確認可能です。こうして得られた分析情報をもとに、検索結果の改善をすることで、より効率的にデータが扱えるようになるでしょう。
Azure Purview各機能の料金形態
Azure Purviewは、機能ごとに時間当たりの料金が設定されており、それぞれ使った分だけ料金を支払う料金形態です。そのため利用料金は、利用方法によって一律ではありません。ここでは、各機能の概要や時間当たりの料金、どのように料金が決まるのかをご紹介します。
なお、各料金におけるレート換算は、1ドル=113.96円(2021年10月時点)で行っています。
Data Mapの料金
Azure PurviewでData Mapを利用するには、1容量ユニットあたり0.411ドル(約46.837円)/時間かかります。1容量ユニットとは、2GBのデータストレージのことです。デフォルトでは1容量ユニットのみ使用可能で、2GBを超えるデータを保存したい場合、ユニット単位での追加を行います。つまり、保存データの容量が2.1GBに達した時点で、1時間当たり2容量分(0.822ドル)のコストが必要です。
自動スキャンと分類の料金
Data Mapでデータを自動スキャン・分類するのにも、内容によってはコストがかかります。具体的には、オンラインのPower BI、およびオンプレミスのSQL Server以外のデータソースからデータの自動スキャン・分類を行う場合は、1仮想コアあたり0.63ドル(約71.79円)/時間かかります。
逆に、オンラインのPower BI、およびオンプレミスのSQL Serverからデータを自動スキャン・分類する場合、2021年10月現在は無料です。ただし、公式サイト料金ページに期間限定という記載があるので、こちらもいずれ有料になるのでしょう。
1仮想コアというのは、自動スキャン・分類にかかる要求の負荷 (操作数/秒単位) によって決まります。具体的には、スキャンされるシステムの数やデータの形式、選択する分類の数、パフォーマンスなどです。このほか、API連携の有無や地域によっても料金が変動することから、事前に料金計算ツールでコスト試算をしておくとよいでしょう。
リソースセットの料金
リソースセットとは、データレイク(収集したさまざまな形式のデータを一時的に保管する格納庫)内のデータの整理・検索を最適化するための機能です。リソースセットは、1仮想コアあたり0.21ドル(約23.93円)/時間かかります。
Azure Purview Data Catalogの料金
Azure Purview Data Catalogは、Data Map上に構築されたアプリケーションで、データの検索や参照、系列の視覚化、分析情報をユーザーが素早く行うため用いられます。C0、C1、D0という3項目があり、それぞれ機能、利用料金は以下の通りです。
- C0
機能:データ資産の検索と参照、ビジネス用語集、系列の視覚化
料金:Data Map に含まれる - C1
機能:ビジネス ワークフロー
料金:プレビュー段階では無料 - D0
機能:カタログの分析情報と機密データの識別の分析情報
料金:プレビュー段階では無料
Azure Purviewのメリット
Azure Purviewを導入することで、さまざまなデータベースから、1ヶ所にデータを集約できます。これにより、社内外に点在していたデータの管理、および管理体制の構築が容易になるでしょう。
加えて、Data Catalog に含まれる用語集を利用すれば、1つの用語に関連するデータをすぐに見つけられるようになります。すべてのユーザーが記述、タグ、その他のメタデータなどの注釈を設定すれば、用語をデータと紐づけ可能です。こうしてあらゆるデータが短期間で手に入れられることで、結果的に、これまで得られなかった洞察が得られるでしょう。
まとめ
Azure Purviewには、データの「管理」「検索」「分析」機能が備わっています。Azure Purviewを導入することで、既存のデータの価値を最大にできるでしょう。利用料金は、機能の使用に応じて変動します。無駄なコストが発生しづらい一方、事前のコスト把握が困難なので、料金計算ツールでの試算をおすすめします。