ビジネスにおいてデータ活用が重要視されるようになった近年では、自社の経営方針を定めるためのデータアナリストが注目されています。データアナリストとは、具体的にどのような仕事なのでしょうか。今回は、データアナリストの業務内容や必要なスキル、資格についてご紹介します。
データアナリストとは
「データアナリスト」とは、「集めたデータを分析するプロフェッショナルのこと」を指しています。顧客情報や販売データ、ECサイトのアクセス分析など、社内で集めたあらゆるデータを分析し、その結果を用いてクライアントの問題や課題を解決するのが目的です。
データは分析しなければ単に数字の羅列でしかありませんが、分析し活用することによって経営方針を定めたり、マーケティングの方向性を決めたりすることが可能になります。ビジネスを有利に進めて自社の成長性を高めるために、データアナリストは重要な役割を果たすのです。
データサイエンティストとの違い
データアナリストと似た言葉に、「データサイエンティスト」があります。データサイエンティストは、データアナリストとは役割が少々異なり、収集したビッグデータから自社にとって必要な情報を抽出・解析するのが主な仕事です。
現代においては日々の業務のなかで無数のデータが集まるため、玉石混交のデータのなかから有用なデータを導き出す役割が重要になります。データアナリストの最終目的は「クライアントの課題解決」ですが、データサイエンティストの最終目的は「データの抽出と解析」であり、クライアントの課題解決にはありません。
サイバーセキュリティを強化しないと何が起こるのか
サイバーセキュリティを強化せずに企業運営を行うと、社内のネットワークに不正アクセスされて機密情報を窃取されたり、データを改ざんされたり、端末にロックをかけられて業務の進行が著しく困難になったりするリスクがあります。
情報漏えいが起これば顧客からの信頼は失われ、トラブルの規模が大きければ訴訟問題などに発展する可能性もあるでしょう。サイバーセキュリティが脆弱な状態を放置するということは、自社にとって重大な損失につながるリスクを背負うということでもあるのです。
データアナリストの主な仕事
ひと口にデータアナリストといっても、その仕事内容は「エンジニア型」と「コンサル型」に分けられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
エンジニア型
エンジニア型のデータアナリストは、データの分析結果をもとにある規則性を導き出し、システムやビジネスモデルの機能改善や新規提案を行う役割を担います。例えば、優良顧客の購買データを分析した結果「商品Aと商品Bの併せ買いが多い」と判断されれば、セット販売を提案するなどの例が挙げられます。
また、データ分析で売上の低下傾向が明らかになったときは、何が原因となっているのか導き出して改善策を提案することもあるでしょう。エンジニア型は自社のデータを中心に分析し、KPIやKGIなどの具体的な数値改善を担うケースが多いといえます。
コンサル型
コンサル型とは、クライアントや自社の課題解決に向けて必要と思われるデータを推測し、ビッグデータを解析して具体的な解決策を導き出す役割を持っています。例えば、「ECサイトに十分なアクセスがあるものの、なかなか購入率が上がらない」という課題を抱えているクライアントに対して、ECサイトの訪問データを分析して課題解決のための方法を導き出して提案するといった仕事です。
エンジニア型との違いは、「データを分析する前に課題が明らかになっていること」といえるでしょう。明らかになっている課題を解決するためにデータを分析するのがコンサル型であり、データを分析した結果課題を見つけるのがエンジニア型であるといえます。
データアナリストの年収
データアナリストの年収は、500万円~の高収入が多い傾向にあります。あくまでも傾向であり、実務経験や企業規模、勤続年数、スキルなどによっても年収は変動しますが、なかには1,000万円以上の収入を得ている人もいます。
国税庁の調査によれば、令和2年の平均年収は433万円となっており、データアナリストの給与水準は総じて高いといえそうです。
データアナリストになるために必要なスキル
データアナリストになるためには、次にご紹介するさまざまなスキルを身につける必要があります。
統計学やデータベースの知識
収集したデータを正しく分析するための統計学やデータベースの知識は、データアナリストとして活躍するうえで必要不可欠です。データを分析した結果、そのデータがどのような傾向を持つのか導き出すために統計学がよく用いられており、収集したデータを蓄積しておくためにはデータベースの知識が必要になります。
MySQLやOracleなど、データベースは少なからずプログラミングに近い要素もあるため、プログラミングに抵抗のない人に向いています。
コミュニケーション能力
特にコンサル型のデータアナリストに重要な能力のひとつとして、コミュニケーション能力が挙げられます。
データアナリストは、クライアントや自社の課題をデータ分析によって解決する仕事であり、「どのような分析結果が出たのか」「なぜこのような解決策をとるべきなのか」を詳しく説明する能力が必要になるためです。
もちろん、エンジニア型だからといってコミュニケーション能力が不要なわけではなく、どちらであっても円滑に業務を進めるためには身につけておきたいスキルです。
論理的な思考力
データ分析によって導き出される結果から課題の改善策を見つけるためには、論理的な思考力が重要になります。「データ分析の結果から〇〇のような傾向がみられるため、解決策として△△を実施する必要がある」といった流れで、物事を筋道立てて解決に導く必要があるためです。
収集したデータが膨大であればあるほど、どのデータを活用し課題解決を図るかが重要になります。このことからも、データアナリストには論理に基づいたデータ分析を行うことが求められます。
新しい知識を学び続ける継続力
データアナリストとして活躍し続けていくためには、常に統計学やデータベースの新しい知識を学び続けたり、自社が参入している市場の動向についてアンテナを張り続けたりする継続力が重要です。
いつまでも古い知識のまま業務を続けていると、データ分析の精度が下がってしまうおそれがあります。「学び続ける姿勢」を持ち続けられる人こそ、データアナリストに向いています。
データアナリストになるためにおすすめの資格
データアナリストになりたいと考えている方は、次の5つの資格を取得すると就職に有利になる可能性があります。
統計検定
「統計検定」とは、統計に関する知識や応用力を証明するための検定試験です。1級、準1級、2~4級の5つのランクがあります。これから統計学の基礎知識を身につける段階なら3級、実務経験がある人はそれ以上の級数から挑戦してみるとよいでしょう。
Oracleマスター
「Oracleマスター」とは、Oracle社が提供する「Oracleデータベース」についての理解度を認定するための資格です。ブロンズとシルバーの2種類があり、ブロンズは基礎的な知識を、シルバーは応用的な知識を問う試験となっています。
Oracleデータベースを活用する機会が多いようなら、取得しておくことをおすすめします。
OSS-DB技術者認定試験
「OSS-DB」とは、「オープンソースデータベース技術者認定資格」のことで、オープンソースで提供されているデータベースの知識理解を問うための認定資格です。「PostgreSQL」と呼ばれるデータベースに関する知識を問う問題が出題されるため、オープンソースのデータベースを活用してデータアナリストの業務を行う予定の人に適しています。
情報処理技術者試験
「情報処理技術者試験」とは、IPAが主催している情報分野の国家試験のことです。基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、高度試験があり、高度試験はさらに複数の専門分野に分かれています。
データアナリストとして働くのであれば、基本情報技術者と応用情報技術者を取得した後に高度試験の「データスペシャリスト」の取得を目指すとよいでしょう。
Microsoft Azure認定資格
「Microsoft Azure認定資格」とは、Microsoftが提供しているクラウド基盤の「Azure」に対する理解度を認定する資格試験です。データ分析をAzureのクラウド基盤上で実施する企業への入社を検討しているのであれば、取得しておくのがおすすめです。
まとめ
データアナリストは、集めたデータを分析するプロフェッショナルです。自社やクライアントの課題を解決するために重要な役割を担い、利益改善や顧客満足度の向上を図ります。
データアナリストとして働くために必須の資格はありませんが、統計やデータベースに関する資格を取得しておくと、就職活動に有利に働く可能性があります。今回ご紹介した5つの資格も参考にしながら、自分に合った資格の取得を目指してみることをおすすめします。