昨今では複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウド環境をシステム基盤に置く企業も増えていますが、その際に課題になるのが、各クラウドを緊密に連携または統合させることです。本記事では、OCIとAzureの相互接続によってマルチクラウド環境を実現する方法や、便利なサポートサービスを紹介します。
OCIとAzureの相互接続とは
Oracle Cloud Infrastructure(以下OCI)とMicrosoft Azure(以下Azure)をシームレスに連携させるクラウドサービスです。正式名称は「Oracle Interconnect for Microsoft Azure」といい、OracleとMicrosoftがパートナーシップを結んだことで実現しました。OCIとAzureを相互接続することで、低遅延かつセキュアなプライベート回線を両者のあいだに通し、統合されたクラウド環境を構築できます。
OCI & Azureの相互接続が選ばれる理由
OCI & Azureの相互接続を行うことで、ユーザーは双方の長所を活かしたマルチクラウド環境を構築し、多くのメリットを得られます。
例えば、AzureのExpressRouteとOCIのFastConnectを利用することで、OCIとAzureの間にプライベートな直接接続を確立できます。これにより、公共のインターネット回線を利用した通信よりも高速かつ安全なデータ連携を構築可能です。
また、ODSA(Oracle Database Service for Microsoft Azure)を利用することで、Oracle DBの操作・監視ができます。ODSAは、OCIのデータベースをAzure上で管理できる機能です。これを使えば、Oracle DBを操作するためにOCIのコンソールに切り替える必要がなくなるため、よりシームレスな管理ができます。
さらに、Azure ADを使用してOCI側のユーザー管理をできるのもメリットです。OCIとAzureそれぞれで別々に対処するよりも手間が軽減され、シンプルかつセキュアに管理をしやすくなります。
OCI & Azureで解決できる課題
コスト・移行面の課題
コストや移行面が課題となってオンプレミスのOracle DBをクラウド化する計画が停滞してしまう場合があります。この課題についてはOCIを利用することで、コストや以降の負担を最小限に抑えることが可能です。
スキル・管理面の課題
マルチクラウドの活用はスキル面や管理面の要求レベルが高いのではないかと心配している企業も多いのではないでしょうか。その点、OCIとAzureは連携サービスが多いため、運用監視や認証などの一元管理が可能です。また、OCI、Azure共に対応可能な保守サービスを選べば、24時間365日のサポートを受けられます。
データ連携の課題
現行のAzureとマルチクラウド化することを前提にオンプレミスのOracle DBをOCIに移行させたい場合、データ連携などがしっかりできるかは気になるところです。これについてはPoCサービスを利用することで、現行の環境下でマルチクラウドを構築できるか確認し、安全な移行計画の策定を推進できます。
ID認証管理の課題
すでにAzure-OCIを利用しているものの、ID認証管理に煩雑な手間が発生しているケースもあるかもしれません。この課題については、Azure ADを利用することで、OCIへのアクセス制御も含めてID認証の一元管理を実現できます。
クラウド移行の課題
OracleDBのみならず、PostgreSQLやSQL Serverも含めてクラウド移行およびデータ連携を希望している方もいるのではないでしょうか。これは、移行課題のDBをそれぞれ最適なPaaSへ移行するなどの対処を行うことで解決できます。また、この課題に関して経験値が高いサポートサービスを利用することで、対象DBの移行やDB間の連携などについてサポートを受けられます。
OCIとAzureのマルチクラウド導入をサポートする「マルチクラウドインテグレーションサービス for Oracle Cloud Infrastructure & Microsoft Azure(以下OCI&Azure)」とは?
OCIとAzureの相互接続は多くのメリットがある一方で、マルチクラウドの導入・運用においてはさまざまな課題に直面することが予想されます。そこでおすすめしたいのが、TIS株式会社が提供する「マルチクラウドインテグレーションサービス for OCI&Azure」を利用することです。このサービスを利用することで、OCI & Azureのマルチクラウド導入に向けたコンサルティングから導入後の運用保守まで、各フェーズの課題解決を包括的にサポートしてもらえます。
導入までのスケジュールは2~3ヶ月程度
同サービスにおけるPoC(Proof of Concept:概念実証)のスケジュールは、大まかに「PoC計画の立案」「PoC環境定義付け」「PoC実施」の3段階に分けられます。実際には顧客の要望に合わせて調整できますが、基本的なスケジュールイメージとしては、導入までおよそ2~3ヶ月です。
マルチクラウドインテグレーションサービス for OCI&Azureを導入するまでの流れ
1. コンサルティングフェーズ(アセスメント)
最初のアセスメントフェーズでは、以下の3つのメニューで導入移行計画の策定をサポートします。
- 移行方針/ロードマップ策定
どのような形でDBや基盤システムを移行したいのかヒアリングを行い、検討事項や情報を整理して、最適な移行方式や移行スケジュール案を策定します。 - To Beシステム構成定義
現行システムの構成や状況を踏まえた上で、最適なOCI&Azureシステム構成を定義します。 - コスト試算/効果算定
現行や他クラウドとの比較も踏まえて、イニシャルコスト・ランニングコスト双方の観点からコスト評価を行います。
2. コンサルティングフェーズ(PoC)
PoCフェーズでは、「移行」「性能」「運用」3つの観点からマルチクラウド導入の実現性を検証します。
- 移行実現性検証・評価
移行ツールによる環境移行ができるか、移行時間はどれくらい必要か確認する作業です。また、移行の全体規模や工数感も精査します。 - 性能検証・評価
現行環境との比較なども行いながら、OCI&Azure間で使用するアプリケーションの性能評価を実施ます。 - 運用性検証・評価
新環境での運用保守項目における各機能の動作や仕様確認を行う作業です。既存運用との違いも含めて、運用時の考慮点や制約事項の確認・整理も行います。
3. 導入・移行フェーズ
導入・移行フェーズでは、アセスメントで策定した構成に基づき、環境の定義、導入・設定、OCI & Azureへの移行・システムの切り替えまでを一貫して支援します。
- 環境設計・構築
標準パラメータシートによって迅速に導入できるようにする作業です。要件に応じた可用性構成やセキュリティツールの導入も行います。 - 移行支援
要件に応じた移行方式を選択し、実績のある移行手順で新環境への移行作業を行います。
4. 運用・保守フェーズ
移行完了後も、24時間365日体制で専門家による運用・保守サポートを実施しています。運用保守サービスの大まかなメニューは以下の3つです。
- 統合監視サービス
TISの監視サービスなどを利用して、AzureとOCIを一元監視できます。 - 運用保守サービス
東京・大阪の2拠点からオペレーター部隊のサポートを提供しています。24時間365日体制の問い合わせ窓口では、AzureとOCI両方の相談を受け付け可能です。 - スキル育成支援サービス
専門エンジニアが、OCI & Azureの運用・保守に必要な知識を提供します。
まとめ
相互接続することで、OCIとAzureのあいだで低遅延かつセキュアなマルチクラウド環境を構築できます。マルチクラウド環境への移行や運用・保守に困難を感じている場合は、TIS株式会社の「マルチクラウドインテグレーションサービス for OCI&Azure」を活用するのがおすすめです。同サービスを利用することで、スムーズにマルチクラウド環境へ移行し、専門家家チームによる24時間365日体制の運用・保守サポートを受けられます。