クラウド移行と運用改善では「アセスメント(assessment)」が重要になります。IT業界に限らず使われている用語ですが、「アセスメントとはいったい何だろう?」と疑問があるかもしれません。クラウド移行や改善では、アセスメントにより業務にフィットしたシステムを設計できます。
クラウド移行と改善の基礎知識として、アセスメントの概要と考慮すべきポイントを解説します。さらに、創業から50年以上の歴史があるJBCC株式会社が提供するアセスメント関連のサービスを紹介します。
クラウド移行で重要な「アセスメント」とは
アセスメントは日本語では「評価」「査定」の意味になります。
クラウドのアセスメントでは、現状のオンプレミスやクラウドの利用状況から情報を収集して、クラウド移行の範囲や適切なシステムを事前に予測し、評価および概算費用などを査定します。既にクラウドを活用している場合は、課題やボトルネックを特定し、改善点とコストを洗い出します。
具体的には必要な仮想マシンやストレージのスペックやサイジング、アプリケーションなどを明らかにした後、目標に合わせた優先度を定め、費用対効果を最大限にします。クラウドといっても、災害復旧(DR)の対策と仮想デスクトップの運用ではまったくシステムが異なります。ニーズに合わせて最適化することが必要です。
アセスメントの次のフェーズとしては、PoC(Proof of Concept)があり、概念実証(実証実験)という意味になります。アセスメントをもとにしたクラウドの設計を検証し、技術的課題を発見するとともに、効果を測定します。
小規模のテスト運用による検証でリスクを回避し、問題がなければ本稼働に移行して開発工程の短縮化が可能です。しかし、PoCの準備段階としてアセスメントをしっかり行うことが重要になります。
そこで、クラウド移行のアセスメントのポイントですが、IaaS設計の側面はもちろん、移行後に次の3つの効果があるかどうか確認することが大切です。
- コスト削減
- 最適化
- 効率化
それぞれ概要を解説し、JBSSのアセスメント関連サービスを紹介します。
クラウド移行で「コスト削減」
クラウド移行の大きなメリットは、コスト削減です。オンプレミスの環境からクラウドへ移行する場合、ハードウェアの運用保守を軽減できるため、管理者の負荷も含めてコストを削減が期待できます。ただし、現場の業務を見据えて、アセスメントを行う必要があります。
クラウド移行によるコスト削減のポイント
営業部門、経理部門、研究開発部門では、利用用途が違うため、必要な仮想マシンやストレージのスペック、SaaSなどが異なります。
クラウドは従量課金制によって柔軟に拡張できる一方で、利用していない環境をそのままにしておくと課金され続けることになります。重要度の低いものはスリム化するとよいでしょう。災害対策の活用では、災害時に起動するようにしておくと通常のコストを抑えられます。
Cloud Fitness
JBSSの提供する「Cloud Fitness」は、コスト削減の可視化を行う自己診断サービスです。クラウドのメリットを最大限に引き出すプランや構成を作成し、5営業日以内で最適な提案を無料で行います。JBSSの豊富な導入実績から試算が可能です。
試算はWebサイト上のフォームに入力するだけで、参考としてWindowsサーバー(CPU:2core、メモリ:8GB、ディスク:100GB)20台および40台の場合は、リンクからすぐに結果が得られます。
表示された画面で、仮想・実サーバー台数、CPUのコア数合計、メモリの容量合計、ディスクの割り当て容量または使用容量などの数値を変えて確認できます。詳細な結果を依頼することも可能です。
クラウド移行で「最適化」
アセスメントを行うとき重要になる観点が最適化であり、最適化によってコスト削減や効率化を実現します。
クラウド移行による最適化のポイント
まず、どのような最適化を行うかによって異なります。たとえば、クラウドとオンプレミスの最適化、仮想化環境の最適化、基幹システムをクラウドに移行することによる最適化などがあります。またクラウド移行の目的から、ワークロード削減、災害対策、セキュリティ効果、コスト削減などから最適化することも重要です。
IT Modernizationクリニック
JBCCがソリューションを提供した企業は18,000社にもなり、公共団体から流通、製造、金融、医療など幅広い業種と事業領域の導入実績があります。アプリケーション開発、基盤系のエンジニアが所属し、企業の多様なニーズに対応しています。
このようなJBCCのスペシャリストがITドクターとして提供するのが、IT Modernizationクリニックです。用途や状況に合わせて最適なIaaSを設計し、TCO削減レポートと性能分析、今後のリソース利用状況の可視化など改善点を抽出します。
「クラウド(IaaS)クリニック」では、オンプレミスの環境からクラウド移行を検討している企業に移行のグランドデザインやシナリオを策定します。
「仮想化/Storageクリニック」は、オンプレミスやハイブリッドクラウドの仮想化環境を最適化したい企業に、サーバーとストレージの統合、システム監視およびTCOの削減、複数のクラウドの連携、バックアップとリカバリ、災害復旧(DR)などを提案するサービスです。
クリニックは、プリセッションとして事前にヒアリングを行い、現在の課題と期間を確認します。目的と範囲を明確にして、移行の方向性を確実にするためです。得られた情報は分析してレポートとして提出し、具体的な提案を行います。
プリセッション後は、医療にたとえて「問診」段階のヒアリングと現状分析、「診察」段階の期待される効果の可視化とソリューションのデザイン、「処方」段階のプラットフォームやスケジュールなどのロードマップ作成を行います。
クラウド移行で「効率化」
クラウドによる効率化で最も注目されているのが、仮想デスクトップの導入です。仮想デスクトップ移行に絞り込んで効率化を解説します。
仮想デスクトップ移行による最適化のポイント
仮想デスクトップの導入に関しては、事前情報の収集と可視化が重要なポイントです。ITリソースの把握とともに、日常的に従業員がどのようにPCを利用しているのか利用実態をデータで収集することが決め手になります。
ITリソースの把握では、組織が利用しているオンプレミスのサーバーやストレージ、個人が利用しているPC、ストレージ、ネットワーク環境などのIT リソースを可視化します。従業員の利用実態としては、個別ユーザーの利用状況や時間帯による繁忙度、アプリケーションごとの利用状況などの詳細を調査します。
クライアント仮想化アセスメントサービス
クライアントPCを仮想デスクトップに移行する場合は、入念なアセスメントを行うことがポイントです。構想・計画フェーズ、調査フェーズ、アーキテクチャ策定フェーズの3つのフェーズでアセスメントを行います。
構想・計画フェーズでは、ディスカッションとヒアリングを行います。次期デスクトップ環境の構想、現在の構成と課題のサマリーを作成します。
調査フェーズでは、まず要件の確認と現在の環境のヒアリングを行います。企業のネットワーク環境に、利用状況のログを収集するSysTrackを導入します。ユーザーエクスペリエンスをスコアで追跡することが可能になります。
続いてIT環境の可視化と棚卸しをします。顕在化および潜在化の両側面から課題を抽出し、5大阻害要因として整理、分析します。アプリケーションの利用状況を可視化し、リソースの消費が激しいアプリケーションなどを明らかにします。
アーキテクチャ策定フェーズでは、企業の課題に対する解決方針を検討します。ユーザー環境の設計を見直し、利用状況に合わせて性能別ユーザーを階層化、アプリケーション構成の見直し、仮想デスクトップやクラウドを利用するPCの時間などの設計を行います。
最終的なアーキテクチャデザインでは、最適化方針の検討、VDIインフラストラクチャーのサイジングと最適化、GPU構成などを具体化します。
まとめ
IT環境と利用実態の側面から現状を調査してアセスメントを行うことが、クラウド移行を成功させる秘訣です。Cloud Fitnessのような無料ツールで簡易的に調べることも可能ですが、仮想デスクトップの導入など大規模なクラウド移行は、JBSSのスペシャリストのアドバイスを利用するとよいでしょう。