クラウド移行(インフラ・DB)

人感センサーとは?クラウドと連携するスマートな世界

現代で言うところ「センサー」が世界で普及し始めたのは1970年代初頭であり、それから40年程経過した現在では、日常の至る所でセンサーが活躍しています。中でも幅広く活用されているのが「人感センサー」ではないでしょうか?

防犯対策用に自宅の玄関先に人感センサー型ライトを設置したり、人を感知して自動的に照明を明るくしたり、オフィスビルや商業施設に備わっているトイレの多くにも人感センサーが設置されていて自動的に水を流してくれます。また、自動ドアなども人感センサーの代表的存在といっても良いでしょう。

本記事ではそんな人感センサーについて取り上げたいと思います。人感センサーが持つ機能や仕組みについて知り、また、最近のトレンドであるクラウドとの連動についてイメージを膨らませていただけたら幸いです。

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人感センサーとは?

文字通り「人を感知するセンサー」のことです。センサーには実に多種多様なものが存在しており、その中で人感センサーは赤外線を使用したものが基本です。では、「赤外線」とは何でしょうか?

地球上には人間の肉眼では捉えられない光の波長がいくつもあります。赤外線も紫外線もその1つです。赤外線というのは、人間を含め熱を持つもの全てが放出しており、熱を良く伝える性質があります。ストーブの前に立つと暖かく感じるのは赤外線がそこに存在するからです。熱を色に分類するサーモグラフィも赤外線を捉えて視覚化しています。つまり、厳密に言うと人感センサーというのは人を感知しているのではなく、人の身体から放出される赤外線を感知してるものが多いのです。

人感センサーの仕組み

次に人感センサーの具体的な仕組みを解説します。先に述べた通り人感センサーとは、多くの場合、赤外線センサーなので、正確には赤外線センサーの仕組みを解説します。赤外線センサーには大き分けて「熱型」と「量子型」に分類されます。

熱型赤外線センサー

熱型赤外線センサーの基本的な仕組みは、検知する物体が放出する赤外線を受光素子と呼ばれる装置が吸収します。その受光素子は光の強度を検出する装置であり赤外線を吸収することで温度上昇を起こします。そして、温度センサーによって温度変化を読み取って電気信号に変換することで赤外線を検知しています。量子型赤外線センサーに比べると感度では劣るものの、安価に実現できるメリットがあり大量生産に向いた赤外線センサーと言えます。

量子型赤外線センサー

量子型赤外線センサーの基本的な仕組みは、赤外線を光子(光を形成する小さな細かい粒)として捉えて、電気信号に変換することで赤外線を感知します。熱型赤外線センサーに比べて高感度かつ応答速度が速いのが特徴です。その一方で使用時には必ず冷却する必要があるので安価には開発されていません。多くは人工衛星からの環境計測や気象観測用に用いられており、一般的なシーンではあまり見られません。

以上のことから、人感センサーでは主に熱型赤外線センサーが使用されています。人感センサーの前に立つと1~数秒遅れて反応することが多いですが、これは量子型赤外線センサーに比べて感度に劣るからです。

人感センサーとクラウド連携でビジネスをスマートに実現

ここまで、人感センサーの基本と仕組みについて解説しました。ここからはビジネスシーンにおける人感センサーの活用についてご紹介します。皆さんは「人感センサー」と聞いてどのような活用方法をイメージされるでしょうか?恐らく、人感センサー型ライトによる防犯対策や照明のオン/オフ切り替えなどをイメージされる方も多いでしょう。確かにシンプルなセンサーなので、扱いやすい反面その活用シーンが限定的になりがちです。

多くの方がイメージされる通り、ビジネスにおける人感センサー活用としてまず挙げられるのが「照明の自動的なオン/オフ切り替え」です。オフィス内では電気の消し忘れてによって無駄なエネルギーを消費してしまうケースが多々あり、エネルギーコストを上昇させるだけでなく環境問題へと発展して行きます。人感センサーを設置したオフィスなら、人の出入りを感知して自動的に照明のオン/オフを切り替えてくれるようになります。

また、最近の人感センサーは単純な人感に止まらない特徴があります。例えばクラウドと連携して「会議室予約の最適化」を図ってみるのはいかがでしょうか?予約されていたはずの会議室が実際は使われていない「空予約」はほとんどのオフィスで問題になっているでしょう。会議室も企業の1つの資産なので、効率よく活用しなければビジネスパフォーマンスは低下してしまいます。

そこで、会議室に人感センサーを設置して会議室内外の人の出入りを検知し、実際に会議室が使用されているかどうかを自動的に確認できるシステムの導入がお勧めです。会議開始の予定時刻になっても人感センサーで人の動きを察知できなければ、その数分後に予約が自動的に解除され、他の社員が会議室を利用できる状態を整えます。「会議室の予約をキャンセルし忘れてしまった」というのは日常的に起こることなので、組織の運用ルールとしてこれを阻止するのではなく、人感センサーというシステムによって防止することで会議室という資産をより有効的に活用できます。また、昨今のコロナの影響で蜜を避けることの重要性が叫ばれています。例えば会議室を使っていない時にはドアを開放したりすることも可能でしょう。

オフィス内のトイレ個室に人感センサーを設置して利用状況を可視化するという事例もあります。オフィス内は日常的に過ごす場所なので、そのトイレが毎日混雑するようでは、社員はストレスを感じてしまいます。この問題を解決するために、トイレ個室に人感センサーを設置して利用状況データを収集、クラウドを通じてスマホアプリにフィードバックすることでトイレ個室の空きなどを可視化できます。ちなみに同事例は、株式会社JSOLがサービス業向けに提供した事例をご紹介しました。最初は導入効果が未知数だったため一部のトイレのみでスモールスタートを切りましたが、反響が大きかったことから2オフィスの全フロアでの導入に至ったようです。

人感センサー等を駆使してスマートオフィスを目指す

オランダ・アムステルダムに建設されたオフィスビル「The Edge」には人感センサーを含む約2万8,000個のセンサーが設置されています。同ビルでは全面的にフリーアドレス方式を採用しており、専用のスマホアプリを使用してビジネスパーソン各人がスケジュールを設定することで、最も良いデスクを案内してくれます。

また、The Edgeでは3,000人以上が働いているものの、座席は約1,000人分しか用意されていません。その代わりに、ラウンジやコーヒーバーなどの空間が様々な場所に用意されており、人と人とが自然と繋がるような空間設計が意識されイノベーションを生み出す場所としても注目されています。

人感センサーやその他のセンサーを駆使すれば、こうしたスマートオフィスと呼ばれる近代型の労働環境を用意することも可能です。オフィスビル事業者なら、競争優位な仕組みとして用いると良いでしょう。この機会にぜひ、ビジネスにおける人感センサー活用をご検討ください。

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