AI、機械学習

AIの作り方|対話型AIや自立志向型AIを初心者でも分かるように解説

AIの作り方|対話型AIや自立志向型AIを初心者でも分かるように解説

DXの推進や生成AIが一般にも浸透するに伴い、AI(人工知能)の利用が急速に進んでいます。業種・業態に関わらず、多くの企業でAIの導入を進めているでしょう。

本記事では、AIが広がる背景や、自社でAIを作るために必要なプロセスや実際に開発を進めるための方法について詳しく解説します。

AIとは?AIの基礎を理解しよう

AIとは?AIの基礎を理解しよう

AI(人工知能)とは、機械が人間のように思考や学習を行う存在です。特定のルールに従って動作するだけでなく、膨大なデータからパターンや傾向を自動的に発見し、それにもとづいて予測や意思決定を行うことが特徴です。このため、AIは「データから学ぶ力」を持っており、人間が指示しなくても独自に判断を下せます。

AIは、膨大なデータをもとにパターンを見つけ出し、それにもとづいて予測や意思決定を行います。主に「機械学習」と「ディープラーニング」と呼ばれる手法が用いられており、統計的な情報から情報を生成することが得意です。

なお、「AI」といっても分野や適用範囲は非常に広く、適用範囲に応じてAIのレベルが存在します。どのようなAIが存在するのかについては、以下の記事を参考にしてください。

AIレベルとは?レベル1~5までの5段階の分類と活用例を分かりやすく解説

AIの作り方|4ステップで解説

AIの作り方|4ステップで解説

自社独自のAIを開発する場合、基本的に4つのステップで進めていきます。

ここで紹介する各ステップの中身については、AIを活用する目的や対象分野によって細かく分かれていますが、実施すべき基本的な流れは変わりません。AIの開発をスムーズに進めるためのステップを解説しますので、まずは全体的な流れを理解しましょう。

活用方法を決める

まず、AIを使用する目的と活用方法を明確にすることが最重要ポイントです。

漠然と「AIを使おう」という考え方では、AI導入は失敗に終わります。まずは、解決したい課題を定義し、それに対する具体的な解決法を定めましょう。

AIをどのような問題に適用するかによって、必要なデータの種類やモデルの選定、性能評価の基準が大きく変わってきます。例えば、顧客サポートでの対話型AIや画像分析による診断補助など、具体的なシナリオを想定することで、開発の指針が明確になります。

また活用目的の設定により、どのような成功指標(KPI)を設けるかも決めやすくなり、AIの成果を効果的に測定することにもつながります。

データを収集する

AIのパフォーマンスは、どれだけ質の高いデータを利用できるかにかかっています。目的に合わせた適切なデータを収集することで、AIモデルの学習がより効果的に進められます。

特に、AIの精度を求める場合には、非常に多くのデータが必要です。データの量が精度向上に直結するといっても過言ではありません。一方で、「ただ集めればよい」というわけではありません。AIが現実の状況に応じた判断をできるような材料となるデータを適切に収集する必要があります。

例えば、顧客対応のAIであれば、過去のチャットログや問い合わせデータを収集するとよいでしょう。また、収集するデータに個人情報保護が含まれるような場合には、データを除外したりマスキングしたりするなど、個人情報がAIに利用されない対処が必要です。このように、扱うデータの処理や適切な管理方法も考慮する必要があるため注意しましょう。

モデルを作成する

データを集めたら、次はそのデータをもとにモデルを作成します。モデルとは、AIが入力データにもとづいて予測や判断を行う中枢部分であり、モデル=AIそのもの、と考えても差し支えありません

モデルの作成は、機械学習アルゴリズムや深層学習(ディープラーニング)を活用して実施します。データをトレーニングデータとテストデータに分け、AIの学習を実施します。この際、一部のデータに偏った「過学習」が発生しないように適切に学習を進める必要があります。

このステップでは、モデルの精度を上げるために、パラメータの調整や評価を繰り返し、AIの性能が目標に達するまで改良を重ね続けることになります。場合によっては精度が上がらない場合もあるため、前のステップに戻って追加データを収集したり、AIの動作に影響を与えないようなデータを除外したりすることも必要です。

サービスに組み込む

モデルの作成が完了したら、AIを実際のサービスに組み込みます。モデルをサーバなどに「デプロイ」し、各サービスからAPIとして呼び出して利用する方法が一般的です。

特に、一般向けのサービスであるクラウドサービスとして運用する場合には、大量のアクセスが発生する可能性があり、スケーラビリティや保守性も考慮する必要があります。

また、サービスに組み込んだ後も、モデルの性能が想定通りかどうかを計測することを忘れないようにしましょう。継続的にモデルの精度を監視し、想定通りの精度が出ているかを確認します。また、AIを組み込んだサービスで新たに発生したデータも精度向上につながります。新たに発生したデータをもとにモデルの再トレーニングを行うことが、AI性能の継続的な向上につながります。

PythonでAIを作る方法

PythonでAIを作る方法

AI開発の初心者から上級者まで幅広く使用されているPythonは、豊富なライブラリや使いやすい記述方法により、AI開発の主要なプログラミング言語として知られています。

また、PythonはAIだけでなくさまざまな用途で利用できるプログラミング言語であるため、Pythonを使うことで、AIモデルの作成からデータ処理、モデルの実装まで一貫して効率的に進めることが可能です。

ここでは、Pythonを使ってAIを作る方法を解説します。

Pythonを使ったAI開発環境を構築する

PythonでAIを作成するためには、まず開発環境を整えることから始めます。

AnacondaやJupyter Notebookなどのツールをインストールすると、データの管理やコードの実行が簡単になり、AI開発の効率が上がります。また、機械学習のライブラリとして広く使われているTensorFlowやPyTorch、データ分析に便利なPandasやNumPyをあわせてセットアップして利用することになります。

手軽に環境構築をするのであれば、クラウド型のAI構築サービスを活用するとよいでしょう。クラウド環境は従量課金制のため、初期投資を抑えつつ、計算リソースが不足することなく、大規模なデータを扱うことも可能です。

初心者でも簡単にできるAI作成方法

PythonでAIを作成する場合、最低限のプログラミングの知識が必要となります。そのため、初心者にとってAI作成は複雑に感じるかもしれません。

特に、AI作成でつまずきやすいのが「モデルの作成」です。Pythonの簡便なライブラリを利用することで比較的簡単にAIを構築できるため、そこからチャレンジするとよいでしょう。

初心者がAIを作成するには、OpenAIなどが提供している「完成されたモデル」を利用してAIを作成するのがおすすめです。各社が公開しているモデルに対してAPIを経由してアクセスすることで、容易にAIが作成できます。どのようにAIを作るのかを学んだ上で、独自のモデル作成にステップアップしていくことをおすすめします。

対話型AIの作り方

対話型AIの作り方

対話型AIは、ユーザーと自然な対話を通じて情報を提供したり、サポートを行ったりするAI技術の1つです。チャットボットや音声アシスタントに広く活用され、ビジネスから日常生活まで様々な場面でその便利さが注目されています。

ここでは、対話型AIの概要とPythonを使った開発方法について解説します。

対話型AIとは

対話型AIは、テキストや音声でユーザーと双方向のコミュニケーションを行うシステムです。ユーザーの入力に対して適切な応答を生成するため、自然言語処理(NLP)技術を活用し、文脈を理解することで自然な会話の流れを実現します

例えば、顧客サポートでよく利用されるチャットボットは、FAQの自動応答や注文状況の確認などをリアルタイムで行い、業務効率の向上に寄与します。さらに、対話型AIはユーザーの過去の行動や好みを学習することで、よりパーソナライズされた体験を提供できる点も大きなメリットです。

Pythonで対話型AIを作成する方法

Pythonを活用することで、対話型AIを比較的容易に開発できます。

自然言語処理に特化したNLTKjanomeなどのライブラリが充実しており、文脈を理解するための準備が容易に実現できます。また、GPTやBERTのような大規模言語モデルも利用可能ですので、これらを活用して高精度な応答が生成できます。

チャットボットの構築にもライブラリが存在しており、ChatterBotといったライブラリを利用することで、容易に自社サイトへチャットボットを導入できるようになります。その他、LINEやX(旧Twitter)、Facebookなどにチャットボットとして導入するのもよいでしょう。

自律型AIの作り方

自律型AIの作り方

自律型AIは、人間の指示を必要とせずに自ら判断し、行動する能力を備えたAIの一種です。自律型ドローンや自動運転車など、さまざまな産業で活用され始めており、日常生活における利便性や安全性を高める技術として注目されています。

自律型AIとは

自律型AIは、周囲の環境や状況を理解し、その情報をもとに独自の意思決定を行うAIです。ロボット工学やIoTの分野で広く利用され、リアルタイムでのデータ処理や反応が求められるような分野で活用されています。

例えば、自律型ドローンは、目的地への経路を自ら設定し、障害物を避けながら飛行します。このようなAIには、センサーやカメラから得られる膨大なデータを即座に処理し、判断するという高度なアルゴリズムが必要です。自律型AIは、予測不能な状況にも対応する柔軟性が求められるため、継続的な学習と最適化も重要な要素です。

自律型AIの作成手順

まず、AIが環境を認識するためのセンサーとデータ収集システムを準備し、状況把握の基礎を構築します。

次に、収集したデータをリアルタイムで処理するためのアルゴリズムを設計し、機械学習や強化学習を用いてAIの意思決定能力を高めます。強化学習とは、データの追加によりAIが試行錯誤を繰り返して精度を高めていく方法です。AIが試行錯誤を通じて最適な行動を選択できるように自ら成長していく、と考えるとよいでしょう。

最後に、テスト環境でAIを試験し、さまざまな状況に対応できるかどうかを検証します。必要に応じて調整と再学習を行い、実運用に向けた準備を進めましょう。特にドローンや自動車など移動物を取り扱うAIを開発する場合、AIの判断が原因で人に危害を加えないように細心の注意を払う必要があります。

画像生成AIの作り方

画像生成AIは、与えられた入力にもとづいて新しい画像を生成する技術で、アートやデザイン、広告、ゲーム業界など多くの分野で利用されています。この技術は、ディープラーニングの発展により急速に進化し、従来の画像処理技術では実現できなかった高度なビジュアル表現が可能になりました。

画像生成AIとは

画像生成AIは、ニューラルネットワークの力を活用して新しい画像を生成するAIです。画像生成AIの利用により、文章(プロンプト)から新しい画像を生成することはもちろんのこと、写真加工やイラスト・写真を違う画風に変換するといったことも可能です。画像生成AIの活用で、さまざまなクリエイティブ活動が実現できます。

一方で、画像生成AIによる問題も起きています。例えば、リアルなフェイク画像が生成されたことで社会問題になった事例もあります。

画像生成AIを作るための技術とツール

画像生成AIにはいくつもの手法が存在しますが、ここではいくつかの例を紹介します。

VAE(変分オートエンコーダ)

学習データによく似たデータを生成できるモデルで、例えば特定の画家の作品を学習させることで、その画風に似た絵を出力できます。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

生成モデルと識別モデルが競い合うことで、リアルな画像を生成する仕組みで、実在しないデータや、実在するデータの特徴に沿って画像の変換が可能になります。

DALL・E

OpenAI社が開発したモデルで、ChatGPTから利用できます。GPTの自然言語処理と組み合わせて利用することで文章を解釈し、それに沿った画像が生成されます。

AI作成に使えるサービス

AI作成に使えるサービス

AI開発は、高度な技術とリソースが必要ですが、クラウドサービスの登場により、初心者から専門家まで、幅広い層が手軽にAIを作成・活用できるようになりました。ここでは、AI開発に利用できる代表的なサービスを3つ紹介します。

Azure Machine Learning Studio

Azure Machine Learning Studioは、Microsoftが提供するクラウドベースのAI開発環境で、データの準備、モデルのトレーニング、デプロイメントを一貫して行える包括的なサービスです。このプラットフォームは、PythonやRのコードを書かずにドラッグ&ドロップでモデルを構築できるため、初心者にも利用しやすく、プロフェッショナルにとっても迅速なAI開発が可能です。

さらに、Azureの他のサービスやMicrosoft 365の各サービスと連携することも容易であるため、Azureを基盤としたサービス開発に効果的である他、社内のデータ処理の自動化やリアルタイムなパフォーマンス監視といった、社内の業務効率化にも大きく貢献できます

Amazon SageMaker Canvas

Amazon SageMaker Canvasは、Amazonの提供する機械学習モデル作成ツールで、ノーコードでAIモデルを作成できる点が特徴です。機械学習の専門知識がなくても、データをアップロードしてモデルをトレーニングするだけで予測を得られます。また、SageMakerの他の機能と組み合わせることで、より高度なカスタマイズができ、業界固有の要件に合わせたモデル作成も実現します。

特に、AWSの各サービスとの連携が強力であるため、AWS上で稼働するクラウドサービスを提供しているのであれば、SageMaker Canvasを利用してAIを作成するとよいでしょう

DataRobot

DataRobotは、AIと機械学習の自動化を支援するプラットフォームで、企業全体でAIを活用するための強力な機能を有しています。データをインポートするだけで、自動的に複数のモデルを生成し、精度や性能にもとづいた最適なモデルを提案します。そのため、機械学習の知識がなくても容易に自社に特化したAIが作成できます。

DataRobotは、特にビジネス分析に強みを持ち、企業の経営判断をサポートする機能が特徴です。ユーザーが予測モデルの精度や信頼性を直感的に評価できるインターフェースが提供されており、生産管理や販売計画といった分野で特に活躍が期待できます。

AI作成の学び方

AI作成の学び方

AIは専門的な知識が必要と思われがちですが、学び方の選択肢が増えたことで、初心者でも独学やサポートを受けながら効果的に習得できるようになりました。

ここでは、1からAIを学ぶ方法について解説していきます。

スクールで学ぶ

特に、初心者からAIについて体系的に学びたい場合、AI専門のスクールに通うことは効果的な選択肢といえます。

AI特化のスクールであれば、実務経験を持つ講師から指導が受けられ、基礎から応用まで段階的にスキルを習得できます。また、リアルタイムでの質問が可能なため、疑問点をその場で解決できるのもスクールのメリットです。

AIエンジニア育成やデータサイエンティスト育成に特化したカリキュラムが提供されており、即戦力として活躍できる実践的なスキルが身につきます。また、ビジネス活用に特化したデータ分析のコースを提供しているスクールもあるので、自分の目的にあったスクールを選択するようにしましょう。

オンライン講座で学ぶ

オンライン講座は、場所や時間に制約なく学べるため、働きながらAIを学びたい方にも最適です。

Udemyをはじめとする動画プラットフォームでは、AIの基礎から高度な技術までカバーする講座が多数提供されています。特に、動画形式の講座は視覚的に学べるため、初心者にも理解しやすいことがメリットです。

また、各種オンライン講座は、実際のAIプロジェクトに沿った内容が多く、学んだ知識をすぐに実践に応用できる点も魅力といえるでしょう。

書籍で学ぶ

自分のペースで、体系的かつ深い知識を身につけるのであれば、書籍を利用するのがおすすめです。初心者向けの書籍はもちろんのこと、機械学習に関する深い知識が得られる書籍も多数出版されています。

特に、機械学習は数学を多く活用することになります。文章を読みながら理論的な理解を深めたい場合には、AIアルゴリズムや数理的な側面に焦点を当てた専門書が有用です。

書籍によってはサンプルコードが付属しているものも多く、実際に手を動かしながら理解を深められることも大きなメリットといえるでしょう。

Azure MLを使ったAI開発のすすめ

Azure MLを使ったAI開発のすすめ

Azure Machine Learning(Azure ML)は、Microsoftのクラウドプラットフォームを利用して、AIや機械学習モデルを構築・運用するための強力なツールです。ビジネスにおける迅速な意思決定を支援し、プロジェクトのスピードと効率を高めるために役立つ機能が豊富にそろっています。

ここでは、Azure MLの利点と、Azureを活用した簡単なAI作成方法について紹介します。

AzureのAI開発ツールのメリット

Azure MLの主な利点は、その柔軟性とスケーラビリティにあります。クラウド上で動作するため、リソース不足を気にすることなく、大規模なデータ処理や複雑なモデルのトレーニングが可能です。

Pythonを利用したAIの開発はもちろんのこと、ドラッグ&ドロップでモデルの作成ができるノーコード・ローコード機能も備わっているため、Pythonや機械学習ライブラリに関する専門知識がなくてもAIを構築できる点は大きなメリットです。

さらに、Azure MLはエンタープライズでの利用を前提としているため、セキュリティやコンプライアンス対策にも優れており、企業データを安全に保護しながらAI開発を進められます。組織におけるスムーズなAI運用を実現し、業務の最適化を図るための信頼性が高いツールといえるでしょう。

Azureを活用してAIを簡単に作成する方法

Azure MLを使ってAIを作成するには、Azure ML Studioにアクセスし、手順に沿って画面を操作するだけで簡単にAIを作成できます。データをインポートして前処理を実施する必要がありますが、モデルの開発は非常に容易です。

Azure ML Studioには「AutoML」と呼ばれる機能が備わっており、データの傾向から適切なモデルを選択し、学習を実施してくれます

モデルが完成したら、AzureのAPIを利用してクラウド上にデプロイすることで、他のアプリケーションやシステムに簡単に統合できます。これにより迅速なサービスインが実現できますので、AIの導入効果を最大限に引き出すことが可能です。

まとめ

まとめ

AIの開発は多くのステップやツールを必要としますが、現在は豊富なリソースとクラウドサービスの発展により、初心者でも取り組みやすくなっています。AIの基礎を理解し、Pythonなどのプログラミング言語で実装することから始めるとよいでしょう。

AIは、ビジネスから日常生活に至るまで多方面で役立つ技術です。基礎をしっかりと学び、段階的にスキルを高めていくことで、より高度で効果的なAIソリューションを構築できるようになります。

Azure MLといったクラウドサービスを活用することで容易にAIを作成できますので、うまく活用して自社のビジネスに活かすとよいでしょう。

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