「ワークフローシステム」は、経費精算や有給申請などの申請・承認をはじめ、それらの書類の保管に至るまで、すべてシステム上で完結するものです。承認作業の自動化が実現するほか、申請書類は電子化されているため、ペーパーレス化も進められます。本記事では、ワークフローシステムを選定するタイミングやポイントについて紹介します。
ワークフローシステムを選定するタイミング
ワークフローシステムを選定するタイミングとしては、初めて自社に導入するときと、それまで使用していた製品から新調するときの2つが考えられます。まずは、この選定のタイミングについて詳しく解説します。
初めてワークフローシステムを導入するとき
タイミングの1つ目としては、もともと紙で行っていたワークフローの業務を電子化するために、初めて自社に導入するケースが挙げられます。
従来、各種申請や報告書提出などのワークフロー業務は紙ベースで行われてきました。しかし、「書類紛失の恐れ」「申請から決裁までに時間がかかりすぎる」「複数人を経由する場合、どこに書類があるのか可視化できない」などの問題も抱えていたのです。それらの問題を解決するために、システム導入を検討する企業は少なくありません。
システムを導入すれば、これまで紙ベースだった申請書が電子化されるため、書類紛失の心配がなくなるほか、管理スペースを確保する必要もありません。必要書類を探したり、取り出したりする手間もなくなるでしょう。
また、複数の承認者が必要な場合も、自動で次の承認者のもとへ書類を送ることが可能です。そのため、渡し忘れの防止だけでなく、担当者が留守でも書類の引き渡しをスムーズに進められるメリットがあります。
さらに、誰の手元に書類があるのかを確認することも可能なため、承認作業が滞るリスクも減らせるでしょう。このように、業務の可視化や効率化が期待できるため、それらの効果を得たい企業が新たに導入を進める傾向にあります。
新しいワークフローシステムに乗り換えるとき
もう1つは、すでに自社でワークフローシステムを取り入れているものの、別のシステムに乗り換える場合が挙げられます。この場合、使っているシステムに問題や改善したい点があり、それを解決・実現するために新しいものへ乗り換えることが想定されるでしょう。
具体的な例としては、既存システムが限定的な業務にのみ適していて、その業務に携わっている人以外には使いにくい場合が挙げられます。いくら便利なシステムでも、使う人が限られてしまうと、全体の業務効率化は難しいかもしれません。
また、コストが気になる場合もあるでしょう。システムの種類や機能性などにより、かかる費用は異なります。経営状況を鑑みて管理費を削減したい場合や、社内の組織編成により従来ほどの製品規模は不要だと感じられた場合などは、これまでの製品ではなく、新しいものに乗り換える好機と言えます。
他方、削減ではなく、用途を拡大したい企業もあるかもしれません。導入当初から状況が変わり、その変化に既存システムでは対応しきれない場合も考えられます。事業の発展に伴って、より自社のニーズに適った設定ができるものに変えることも、業務効率化のためには必要な判断です。
ワークフローシステムの選定前にしておくこと
導入する製品を選ぶ前に、新しくワークフローシステムを導入、もしくは乗り換える目的を明確にしておくことが大切です。どのような業務フローを改善したいのか、何のために取り入れるのかを明確にすることで、数ある製品の中から、それぞれの特徴を考慮して適切なものを選べるようになります。事前にその点をはっきりさせていないと、検討する中で意見がまとまらなかったり、企業としての導入目標が揺らいでしまったりする恐れもあるのです。
なお、目的を決めるには、今抱えている課題を確認することも重要です。どのような課題があるかを確認し、その課題解決に役立つ特徴を備えた製品を選ぶようにしましょう。スペックが高ければよいというわけではなく、自社の問題が解決できる製品であれば、スペックの高さは特に気にする必要はありません。製品を導入するための目的が複数ある場合は、優先順位を決めておくことも効果的でしょう。
ちなみに、ワークフローシステムは大きく分けて「ワークフロー専門型」「基幹システム型」「グループウェア型」の3タイプがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
- ワークフロー専門型:申請から決裁に至るまでの承認機能に特化し、業務拡張性に優れている点が特徴です。
- 基幹システム型:基幹システムとのリアルタイムでのデータ連携ができる一方、ワークフロー機能や業務拡張性については機能がシンプルなので、導入前に必要な機能が備わっているかどうかを確認する必要があります。
- グループウェア型:グループウェアの一部機能として、ワークフロー機能が提供されているタイプです。導入費用が安く、短期間で取り入れられる点がメリットですが、拡張性が限定的な点に留意が必要です。
ワークフローシステムの選定におけるポイント
ここからは、システム選定の際の具体的なポイントを紹介します。初めて導入する場合も、既存のものから乗り換える場合も、等しく確認しておきましょう。
操作性
まずは、利用する社員が使いやすいかどうかを確認します。初めてシステムを導入する場合は、システム操作が苦手な人もいる点を考慮しましょう。新しいものに乗り換える場合も、前のものと比べて操作が難しすぎないかどうかを確認することが大切です。せっかく業務効率化のために導入しても、操作が複雑だったり、システムに苦手意識のある人が使いにくい仕様だったりする場合は、よい結果につながりません。
操作が難しい場合、書類の申請・承認プロセスで、紙ベースよりも時間がかかってしまう恐れがあります。つまり、課題を解決するために導入したものが、かえって業務効率を下げる可能性もあるのです。そのため、社員誰もが直感的に使えて、操作の複雑すぎないものが適しています。
コスト
導入費用はもちろんのこと、中長期的に使うため、運用コストも必要です。また、メンテナンスなどに必要な人的コストや、サポート費用なども考慮する必要があります。これらの費用は、製品の導入形態によっても変わります。各システムの詳細は後述しますが、クラウド型であればユーザー数に応じた料金体系を採用しているものが多く、1ユーザーあたり月額300〜500円ほどになるでしょう。
一方、オンプレミス型の場合は、サービスの種類やユーザーライセンス数で変動します。多機能のものは、その分値段も高くなります。しかし、自社で使わない機能も含まれているようでは、支払う費用が無駄になってしまうでしょう。かといって、安さのみにこだわると必要な機能が含まれておらず、使い勝手が悪くなりかねません。そのため、機能と費用のバランスを考えることが大切です。
機能
システムは数多くあるため、機能の種類や豊富さなどをチェックしましょう。基本的な機能としては、大きく分けると「申請書作成機能」「ワークフロー設定機能」「承認・決裁機能」「管理機能」の4つです。それらを基準に、既存の申請書類の流用や承認経路だけでなく、承認条件設定の可否はもちろん、「スマートフォンやタブレット端末でも利用可能か」さらには「権限設定の範囲やデータ集計に対応しているかどうか」などもチェックしましょう。
自社の課題によって求める機能は異なるため、課題や目的に見合った機能が備わっているものを選ぶことが大切です。また、基本機能だけでなく、外部システムやツールとの連携機能にも着目しましょう。具体的にはグループウェアとの連携機能や、データベース連携機能などが挙げられます。
外部システムやツールと連携させることで、より一層の業務効率化につながることが期待できます。もちろん、これらの機能も企業によって必要性が異なるため、自社の業務効率化や生産性向上に役立つ機能があれば、それらが備わった製品を選ぶとよいでしょう。
導入形態
導入形態には「クラウド型」と「オンプレミス型」があります。
クラウド型は初期費用を安く抑えられ、導入にも時間がかかりません。また、インターネット環境があれば、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末など、さまざまな端末から接続可能です。さらに、システム運用や保守はベンダーに一任できるため、社内にIT要員がいなくても導入可能な点は大きなメリットでしょう。一方、長期的な目で見ると運用コストがかかってしまう点や、オンプレミス型よりセキュリティ面のリスクが高い点がデメリットと言えます。
オンプレミス型は、自社にシステムを構築するタイプのため、初期費用が高くなるうえ、運用までに時間がかかります。また、システム運用や保守を自社で行う必要があるので、その分野に詳しい人材も必要です。運用費や人件費を考えると高くつきやすい点が課題でしょう。しかし、カスタマイズ性に優れるため使いやすく、社内運用ゆえセキュリティ性が高い点というメリットもあります。
ワークフローシステム「AgileWorks」は、高い拡張性をもつほか、複雑なワークフロー業務にも対応でき、500名以上の社員がいる中堅企業や大企業での利用に適しています。グループウェアや人事システムなどとの連携も可能です。また、組織改編の際もすぐに対応できるなど、業務効率化に役立つでしょう。直感的な操作で簡単に行えるうえ、書類も紙のイメージのまま電子帳票化可能。パソコン操作が苦手な社員でも使いやすい点が特徴です。
まとめ
ワークフローシステムは、業務効率化や生産性向上のために重要な役割を果たします。製品の種類はさまざまあるため、企業の課題や導入目的を明確にし、紹介したポイントを踏まえて検討することが大切です。製品選びに迷われた際は、業務効率化や運用コスト削減もできる「AgileWorks」の導入を検討してみてください。