現代ではSNSの普及により、誰でも簡単にさまざまな情報が手に入れられるようになりました。その分、SNSによる企業の情報漏えい管理などに課題を感じている、経営者・管理者の方も多いかもしれません。一従業員の何気ない投稿が拡散されることで、企業の信頼を失う恐れへの危惧もあるでしょう。
そのため、SNSモニタリング(いち早く危険を察知して企業側にアラートを通知するなど)を行い、ソーシャルリスクへ対応する必要があります。
今回はソーシャルリスクを回避するためのSNSモニタリングを導入することで、どのように課題を解決できるのかを解説します。
SNS普及におけるソーシャルリスク
現代の日本では、SNSを利用する人がほとんどです。主にLINE、Twitter、Instagram、Facebookなどが挙げられます。ICT総研のSNS利用動向に関する調査によると、スマートフォンの普及により現在の日本のSNS利用者は7,975万人、2022年末には8,241万人へ拡大されるというデータが出ています。そして、2020年の年間純増者数は約189万人となっており、1ヶ月あたり平均して約16万人ずつ増加している計算になります。
またICT総研のアンケート調査で、SNSを利用する目的として「知人の近況を知りたい」という人が43%、「人とつながっていたい」という人が33%もいるとも述べられています。
さらに、最近ではzoomやSkypeなどのオンラインミーティングツールの影響により、スマートフォンやパソコンでほとんどのコミュニケーションが完遂してしまいます。これにより孤独感を紛らわすためにも「人とつながっていたい」という欲求はさらに加速し、SNSの利用拡大もさらに発展していくことでしょう。
どのようなソーシャルリスクが潜んでいるか?
ソーシャルリスクとは「SNSリスク」とも言いますが、Twitterやブログなどをはじめとするソーシャルメディア上で発生するリスクのことを指します。例えば以下で紹介する4つのリスクが潜んでいます。
従業員の不適切投稿
自社の従業員が不適切な投稿をする可能性はゼロとは言えません。以前にも、コンビニのアルバイト店員が冷凍食品の保存ケースに入ったり、販売されている商品を踏みつけたりする姿を撮影し、その動画をSNS上にアップして大炎上したという事例がありました。
プロモーション批判
企業が実施する宣伝活動に対して、SNS上で批判が殺到してしまうケースも発生しています。以前、とある企業のCMが父の日を記念して放送されましたが「上から目線」「女尊男卑」などといったネガティブな意見により炎上ニュースとして取り上げられました。これにより従業員はもちろん、社名検索時のトップページにも表示されたことにより、多くの消費者の目にも留まってしまいました。
内部告発
従業員やその関係者から、労働環境などに関する内部告発がSNS上で投稿されるケースも発生しています。組織内部の人間がこの企業は「劣悪な労働環境である」「不正を犯している」などといった情報をSNS上で投稿してしまうというものです。
顧客クレーム
企業の製品やサービスに対して、顧客からのクレームがSNS上で投稿されるというケースも発生しています。「この製品はすぐに壊れる」「このサービスの対応はいい加減」などといった根拠もないデマ情報が流れてしまうといったものです。
SNSリスクは企業にどのような影響を与えるか?
先ほど解説したソーシャルリスクは企業にどのような影響を与えるのでしょうか。
特に知っておきたい3つの影響について解説していきます。
コンプライアンス面
組織内の内部告発などにより、企業の内部情報がネット上で明るみに出てしまったり、従業員のTwitter上での発言が周囲からパワハラだと捉えられてしまい「本当にこの企業は大丈夫なのか」と思われてしまったりする可能性があります。これらによって、周囲からの信頼を失ってしまうのです。
採用・労務面
ソーシャルリスクの影響により、就活生からの信頼を失い内定を出しても辞退をされてしまう可能性が高まります。また、その企業に転職したいという人も減ってしまうでしょう。そのような状況に陥ると、採用活動は極めて困難な状態になります。
さらに嫌がらせ電話やクレーム対応などにも追われるようになり、業務どころではなくなる恐れもあるでしょう。
営業面
ネット上の口コミサイトやSNSで根拠のないデマ情報を流されてしまうと、顧客からの問い合わせやクレームなどが増加します。それが原因で今後販売した商品やサービスに対しても顧客からネガティブな印象を持たれてしまうことも避けられないでしょう。
このようにSNSリスクは企業のブランドイメージや経営に悪影響を及ぼすため、安易に考えるのではなく、真剣に対策を考える必要があると言えます。
SNSリスクが炎上するまでの流れ
このように企業に対し悪影響を及ぼすSNSリスク。これらはどのようにして炎上という状態につながるのでしょうか。そのプロセスを例示してみましょう。
まず、少数の人が企業の不祥事などを自身のSNSやブログなどで発信します。これが炎上の「火種」と言われる段階です。そしてその発信をインフルエンサーなどが取り上げ、SNSの垣根を超えインターネット上の匿名掲示板にも広がっていきます。そこから情報はメディアにも掲載され、さまざまな議論が繰り広げられていき、何が真実なのかわからない状態になってしまいます。最悪の場合、SNSやブログでの発信という小さなコミュニティから始まったものが、テレビや新聞記事などに大きく取り上げられる可能性もあります。
このような流れで火種から炎上まで大きく広がってしまい、メディアなどに一度取り上げられてしまえば、その話題は簡単に取り消すことは困難となります。
早期で炎上リスクを検知するメリットとは
仮にSNSリスクに晒されてしまったとしても、そこからの炎上リスクを早期に検知することにはメリットがあります。そのメリットには一体どのようなものがあるのでしょうか。
特に知っておきたい3つのメリットについて解説します。
対応の時間を確保することができる
SNSの力というのは怖いもので、数分、影響力のある人であれば数秒の時間が経つだけでも情報がたくさんの人に拡散してしまいます。
それを解決するのがSNSモニタリングの早期検知です。
早期検知することで現在どういった状況なのかを把握し、適切な情報をどう伝えるかを正確に判断するための時間を確保することができます。
炎上してしまった場合、適切な媒体で、的確に情報を伝えることがとても重要になるので、対応の時間の確保は必須だと言えるでしょう。
早期対応でポジティブな評判を獲得しうる
大々的に報道される前に早い段階で適切な対応ができれば、世間の評判を落とすどころかきちんとしている印象を企業イメージとして得ることも可能です。
大事にまで発展してしまうと情報もさまざまな場所に伝わることで尾ひれが付き、何が真実なのかわからなくなってしまうため、早期の段階で終息させる必要があります。
周囲から「この会社は危機管理にしっかりと対応している」と感じてもらえることができれば、会社の信用もより高まりポジティブな評価を受けることへつながるでしょう。
炎上につながる前に削除できる可能性がある
誤って投稿してしまった場合や、従業員などの特定できる人物が投稿した場合などに、速やかに投稿内容を削除してもらうように依頼することで解決したという事例もあります。
これも早期に検知できなければ、何が真実なのかわからなくなってしまい大事になる可能性が高いと言えます。
早期の段階で投稿内容を見つけ出し、炎上を未然に防ぐことができるのは大きなメリットです。
SNSモニタリングを実施する方法
SNSモニタリングを実施する方法として、自社内製型と外部委託型の2種類があります。それぞれを詳しく解説していきます。
自社内製型(自社の担当者がチェックする)
自社内製型では、自社の従業員が決まったとき刻に検索エンジンを利用して確認する方法と、ツールを導入して自社の従業員が監視する方法があります。
自社の従業員が検索エンジンを利用する場合は、主にYahooリアルタイム速報やGoogleアラートなどを活用して情報を収集します。自社で行うため費用は一切かかることなく、自社固有の情報も理解したうえで確認できるのは大きなメリットです。
しかし、従業員が休暇を取る土日祝祭日の対応や、何か問題点が発生した際にスピーディーにリスク判断ができていないとあまり効果を発揮しません。
どのレベルでリスクが顕在化しているのか、不適切な投稿を発見した際にどう対応するのかを明確にしておく必要があるでしょう。
ツールを導入して自社の従業員が監視する場合は、そのツールについてしっかりと理解し、設定や運用をできる担当者がいる場合はとても有効です。特に自社の公式のSNSアカウントが存在し、かつ毎日の投稿量が多い企業ではツール管理は適切な方法です。
しかし運用・設定方法がわからない場合や、先ほど同様に問題が発生した際にリスク判断をきちんと行わないとあまり効果は期待できません。そのためツールをしっかりと使いこなせるように社内で研修を導入して、従業員のリテラシーを高めておけばスムーズに対応することができるようになるでしょう。
外部委託型(外部の専門企業に依頼)
外部委託型は、SNS上にある投稿のリスク判断なども含めてすべてを外部の専門企業に依頼する方法です。リスク投稿があった際には、速やかにメールなどでアラートを受け取ることができます。
外部に依頼することで従業員管理の負担が減ることや、専門性の高い観点からの問題対応方法までをサポートしてもらえるのは大きなメリットであると言えます。しかし、自社内政型と比べて費用がかかってしまうのが懸念点です。
自社のリソースとノウハウをしっかりと考慮して、どちらの管理方法が自社に合っているのかを検討する必要があるでしょう。
「SNSモニタリング」でエルテスができる支援
SNSモニタリングにおいて、エルテスができる支援を自社内製型と外部委託型に分けてそれぞれ解説していきます。
自社内製型の場合にエルテスができることは「研修サービスの提供」「体制整備支援の提供」です。
先述しましたが、自社でSNSモニタリングを行う際にはどのレベルでリスクが顕在化するのかということと、ツールの運用・設定方法をしっかりと理解していないと、効果を期待することができません。その点、エルテスが提供する研修の導入や体制整備環境の支援を受けることで、SNSモニタリングに関するリテラシーや導入方法などをしっかりと学ぶことができます。
外部委託型の場合にエルテスができることは「24時間365日の投稿モニタリング」です。自社の従業員がSNSモニタリングを行うとなると、一人ひとりへ負担もかかってしまい、土日祝祭日の対応もできないでしょう。
しかし、エルテスのサービスはクライアントごとに主担当とサブ担当が付いているほか、常に投稿情報のチェックをAIと目視による監視をしているので、安心して任せられます。
どちらのモニタリング方法が自社にとってふさわしいかの相談も可能なので、SNSモニタリングの導入を考えている方は一度エルテスのサービスをご検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は企業におけるソーシャルリスクを回避するために、SNSモニタリングを実施する方法を解説しました。今はさまざまな媒体で誰もが情報発信をできる時代なので、ソーシャルリスクに対しても真剣に向き合う必要があります。SNSモニタリングを自社に合う形で導入することができれば、リスクの早期検知によってソーシャルリスクを回避し、企業の信頼や地位、ブランド価値を守ることにつながるでしょう。
どのSNSモニタリングサービスが適しているかお悩みの方は、一度エルテスの相談を受けてみてはいかがでしょうか。