近年、IoT、DXが様々な分野で進展しており、データ資産に注目が集まっています。企業でも日々膨大なデータが増え続けており、扱うデータ量は今後も加速的に増えると予想されています。しかし企業では、大量のデータを蓄積するだけで、有効活用できていないケースも多いのが現状です。データは活用することではじめて資産として価値のあるものに変わります。データ資産を活用するためには、データを活用する基盤の整備が必要です。
そこで本記事では、データ資産を活用するためのプロセス、データ資産の活用基盤に欠かせないデータレイク、データウェアハウスについて解説します。
データ資産とはなにか?
データ資産を一言で表すと、企業や組織が収集したデータのことです。顧客情報、事業計画、社内システムのソースコードなどがその一例です。
インターネット革命以前は、企業価値は多くの場合有形資産に基づいて評価されていました。例えば、石油やガスの備蓄量や所有している機械などの物理的なもが価値を創造するものでした。
しかし、ソーシャルメディア、検索エンジン、クラウドなどの台頭により、企業にとってデータが価値あるものに変化しました。
データが有形資産と異なる点は、恒久的に成長するという点にあります。全世界で日々膨大な量のデータが生成されており、今後もデータ量は加速的に増えると予想されています。中には無意味に思えるデータでも、それらのデータが蓄積されることで、新たな資産価値を生む可能性があります。
企業が持つデータがデータ資産となりえるのには、以下のような理由があります。
- 企業と顧客とのやりとりや、企業が持つデータは全て独自のものである
- 企業が収集するデータが多いほど、データの価値が高まる
- データは何度でも利用できる
- より多くのデータが使用されるほど、価値が高くなる
膨大なデータを確保し、データから利益を得る技術を活用すれば、企業にとって様々なデータが価値の高い資産となりえるでしょう。
データ資産を活用する重要性
ビジネスでデータ資産を活用することによって、以下のようなメリットがあります。
メリット1.事業拡大
収集した膨大なデータは、ビッグデータとなり、新規事業の立案や経営戦略の策定、事業拡大に役立ちます。例えば、小売業では、店舗や地域ごとの商品売上データを、マーケティング戦略や、ビジネス拡大に活用することが可能です。多様な観点から分析したデータに裏図けられた戦略は、個人の勘や経験よりも説得力を持ちます。
メリット2.売り上げの向上
データから顧客の傾向や趣向を理解し、需要に合った商品やサービスを提供することで売上の向上も期待できます。顧客からの問い合わせを受けるカスタマーサポート部門で、問い合わせ件数や、通話時間、要望などのデータを分析することで、顧客の傾向や趣向を理解し、需要に合った商品やサービスを提供することも可能です。
メリット3.業務効率化
データ資産は業務効率化にも役立ちます。例えば、ベテラン社員の勘や経験によって積み上げられた知識をデータに変換することで、他の社員がその知識を現場で活用できます。また、生産ラインの稼働状況をデータ化し、可視化することで、作業工程のボトルネックを探し出すことも可能です。
データ資産を活用するためのプロセス
膨大なデータは、単体ではただのデータでしかありません。
データ資産をビジネスで活用するためには、3つのプロセスが必要です。
プロセス1.データの収集・蓄積
1つ目のプロセスでは、様々なデータソースからデータを収集します。収集したデータを大容量の保管庫であるデータレイクに蓄積します。データ収集の際は、データを集める目的を明確にしておくことが重要です。
プロセス2.データの抽出・加工
2つ目のプロセスは、データの抽出と加工です。データレイクに保管されたデータから分析に使用するデータのみを取り出し、用途や目的に応じて使いやすい形に加工します。こうして加工された大量のデータは、データウェアハウスに蓄積します。
プロセス3.データの分析・可視化
加工されたデータは、数値の羅列に過ぎず、意思決定の材料としては使いにくい状態です。このデータを、グラフやチャートなど人が見て理解できるような形にBIツールなどの分析ツールを利用して、可視化します。
データ資産の活用基盤に欠かせないソリューション
データ資産の活用で重要となるのが、データ活用プロセスを実現する活用基盤の構築です。そしてこの活用基盤の構築に欠かせないのが、データレイクとデータウェアハウスです。
データレイク
データレイクは、データを保管する保管庫のことです。CSVやExcelなどの構造化データ、XMLのような半構造化データ、画像ファイルのような非構造化データなど、あらゆる形式のデータを加工せず、一元的に保管します。データを未加工で保管することで、構造化する手間がなく、コストをかけずに大量のデータを保存できる反面、データの検索や、抽出、分析に時間がかかるデメリットがあります。
データウェアハウス
データウェアハウスは、分析しやすいように抽出・加工された構造化データを保管する保管庫のことです。データレイクが未加工のデータをそのまま保存するのに対し、データウェアハウスは、使いやすい形に加工されたデータを蓄積します。
データウェアハウスでは、データはサブジェクト単位で分解・整理して格納されます。また、データは様々な観点から重複排除を行い、整合性のあるデータが格納されます。
データウェアハウスに蓄積されたデータはそのままでは分析できません。データを活用するには、データウェアハウスから必要なデータを検索、可視化するBIツールと連携が必要です。
データ資産の活用に役立つAzure Synapse Analytics
Azure Synapse Analyticsは、データウェアハウス、ビックデータ分析を一つに統合したプラットフォームです。
データ資産を活用するためには、いくつかのプロセスが必要です。従来、そのプロセスを実現するためには、データウェアハウスやBIツールなど独自のサービスを組み合わせる必要があり、手間がかかっていました。Azure Synapse Analyticは、このような手間を省き、ひとつのプラットフォームとしてサービスを提供しています。
収集されたデータは抽出・変換・加工・書き出し処理がされ、Azure Synapse Analyticsに結合されます。Azure Synapse Analyticsに機械学習の「Azure Machine Learning」とBIツールの「Power BI」を連携させれば、データ分析までもひとつのプラットフォームで実現可能です。
まとめ
大量のデータは活用することではじめて資産として価値のあるものに変わります。中には無意味に思えるデータでも、それらのデータが蓄積されることで、新たな資産価値を生む可能性があります。それらのデータ資産を最大限活用するためには、データ活用のプロセス、データを活用する基盤の整備が必要不可欠です。
データウェアハウス、ビックデータ分析を一つに統合したプラットフォームであるAzure Synapse Analyticsは、データ資産の活用基盤となるソリューションです。データ分析ツールの分散でかかる手間を省き、効率的なデータ資産の活用を実現します。データ資産を効率的に活用したい、データ分析に手間がかかって困っているという方におすすめです。