ビジネスにおいてデータは欠かせないものとなり、多くの企業がデータ分析をもとにマーケティング活動や経営判断をするようになりました。その一方でデータ分析の重要性は理解しつつも、適切に活用できていない企業があることも事実です。本記事では社内に眠るデータを活用するための分析手法と必要なツールについて紹介します。
データ分析とは
データ分析とは、何かしらの目的を持つ情報(文字、数値など)を収集し、必要なデータの抽出、分類、整理、処理まで行うことを指します。
問題の発見や課題解決に向けた意思決定の判断材料として価値を持たせることが、データ分析をする意義となります。
分析されて初めてデータは価値を発揮することができるため、昨今では企業が保有する大量のデータを活用するための分析環境へ投資が進み、データ活用がビジネスシーンにおいて重要なテーマとなっています。
データ分析はなぜ必要?
企業はビジネス活動の中で顧客情報や購買履歴、行動履歴などさまざまなデータを企業内外から蓄積します。この巨大で膨大なデータの塊である「ビックデータ」を管理し、有効的に活用する動きが重要視されています。
運営方針や経営判断においてデータ分析を行うことで、現状把握と未来予測を可能にし、より確実性のある意思決定が可能になることが大きな要因です。また、ビックデータの管理には組織内で別々に管理しているデータを一元化するため、業務内の問題点や顧客の求めているニーズの発見なども行えるようになります。
さらに、データ分析をすることで「直感」に対する裏付けを行います。ビジネスは闇雲に行っても成果には結びつきません。
確かな意思決定をするためにもデータ分析は欠かせない要素となっています
データ分析を行う3つの方法
データ分析を行うには収集したデータを整理し、必要に応じて処理を行う必要があります。データを分析する方法は大きく分類して「Excel」「BIツール」「機械学習」の3種類に分けられ、それぞれ強みや特徴があります。
ここでは、それぞれの分析方法について解説します。
Excel
Excelは数値データを扱う表計算ソフトのことで、表内に入力された数値を元に計算、表の作成、数値のグラフ化などの処理を行うことが可能です。
ビジネスにおいて代表的なツールのため、多くのシーンで利用されています。短期間で少量、形式が多岐にわたらないデータの分析を得意としており、低コストでデータの可視化や計算を行える点が特徴です。
ただし、長期間で大量のデータを分析する場合、Excelではファイルが重くなってしまい、スムーズな処理を行うことができません。また、異なる形式のデータを扱う場合は、集計する際に長い時間を必要とします。
単一の表やグラフの作成、個人単位で必要とするデータ分析、データ量が少なく単純作業なもの、データ更新が不要なものに関してはExcelを扱う方が低コストで分析を行うことができます。
BIツール
大量のデータや異なる形式のデータを同時に扱うのであればBI(Business Intelligence)ツールの利用をオススメします。
BIツールでは基幹系・情報系システムに保有されている企業内データや、社外で蓄積されるビックデータなどを共通のプラットフォーム上で分析・集計・処理を行うことができます。クラウドサービスやソーシャルメディアの情報まで取得可能なため、大容量のデータを活用したい時はBIツールの得意分野です。
他のシステムと連携して大規模な分析やレポーティングが得意な点も、分析後のデータ活用のしやすさに大きく寄与しています。
機械学習
AI(人工知能)の一分野である機械学習をシステムに組み込むことで、自動的にデータ分析を行うシステムも登場しています。
機械学習とはデータを反復的に学習し、データ内に潜む特徴やパターンを見つけ出すことを指します。新たなデータにも学習したパターンを当てはめることで、将来を予測することができ、大量のデータであっても自動的に計算処理を行い、洞察結果を導き出せます。
大量で複雑なデータを手動で処理している時間がない中でも、機械学習を活用すればプログラムが自動的に結論を提示してくれます。それにより、大幅なコスト削減を実現し、素早い意思決定を行うことが可能になる点がポイントです。
データ分析の流れ
データ分析を行う際、いきなり数値を見ても意味はありません。しっかりと分析する目的を定め、課題に対する仮説を元に数値を絞り込んでいく必要があります。ここでは分析に至るまでの行程を一つずつ解説していきます。
- 目的の設定
分析を行う前に、データ分析によって得たい結果を明確にし、目的を定めることが重要です。目的を決めなければデータの母集団から何を収集し、分析すれば良いのか不明確なため、分析を行うことができません。また、目的の設定をするには現状の課題を洗い出し、把握することが大切です。 - 仮説の洗い出し
設定した目的をもとに自社の課題に対する仮説を立てましょう。「課題が発生している要因は何か」、「どのような条件の時に問題が発生しているのか」のような仮説を立てることで、データ分析が行いやすくなります。 - データの収集・整理
仮説を立てたら、次に仮説を検証するために必要なデータを収集し、分析しやすい形に整理を行います。分析に必要なデータを集める際は、企業内に保有されているデータが一元管理されていると収集が簡易的であり、スムーズに分析を行うことができます。 - 分析
仮説検証をするのに適した分析手法を選択し、集めた数値を加工しながら分析を行います。分析結果をもとに次のアクションを決め、課題改善のための施策を行います。ビジネスを成長させるためには、データに基づいた打ち手の決定が重要になるため、「分析して終わり」にならないように注意しましょう。
データ分析の手法
データ分析を行う手法は数多く存在し、それぞれ得意不得意があります。適切な手法を選択することで、価値のある分析を行うことができるため、データ活用を実現するにあたって分析手法の理解は不可欠となります。
ここでは主な分析手法について解説します。
クロス集計分析
クロス集計分析はExcelにも標準搭載されている最も基本的な分析手法で、世論調査やマーケティングリサーチなどのアンケート調査で使われることが多い分析手法です。収集したデータを2つ以上の分析軸から集計を行い、アンケート回答者の属性(年代・職業・性別など)ごとの傾向を抽出します。データの傾向を確認して回答内容(品質や使い心地など)を軸に傾向値を調べることができます。
クラスター分析
クラスター分析は、大きなデータの塊の中から、類似する属性や傾向を集めてグループに分ける統計的な手法です。店舗が取り扱う商品構成の分析や、商圏の特性の分析、ブランドのポジショニングの分析などで活用されています。顧客個人の細かな情報がなくとも、商品やグループで分類することができます。外的基準が明確でなくとも、傾向値を抽出することが可能です。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は購買情報や顧客行動、外的要因など一見関連性がなさそうなデータの中にある相関関係を分析する手法です。データマイニングにおける「もし〇〇だったら、△△だろう」という関連性を導き出します。例えば「商品Aを購入するユーザーは、同時にBも合わせて購入する傾向にある」という関係を見つけた場合、双方の商品を側に置く事で購入率が上がるという施策を行うことができます。ECサイトでは「〇〇を購入した人はこちらも購入しています」と表示するレコメンドエンジンで利用されている手法です。
まとめ
データ分析を行う際は、目的を定め、仮説を元に適切な手法を選択する必要があります。また、扱うデータによってはExcelではなく専用ツールの導入が必要になることもあるでしょう。特にビックデータの統合や蓄積が必要な場合はAzure Synapse AnalyticsのようなBIと機械学習機能があるツールはオススメです。