ITの進化に伴い、さまざまなデータの蓄積が容易にできるようになりました。しかし、これらのデータはきちんと活用しなければ意味がありません。集めたデータを分析し、業務成績をアップするには、どのような方法があるのでしょうか。本記事では、データ分析の重要性や調査目的の事例など、データ分析をビジネスに役立てる秘訣をご紹介します。
データ分析とは
「データ分析」とは、さまざまなデータが含まれた膨大なファイルから、それぞれの調査目的に合う情報を抽出する作業のことです。多くの企業ではITツールを活用して、顧客の属性や商品の売れ行き、従業員の勤務状況など、さまざまなデータを記録していることでしょう。しかし、いくらそれらのデータを蓄積しても、統計や傾向を分析し、企業活動に活用しなければ意味がありません。実際に、せっかく集めた膨大なデータを有効活用できていないケースも多く、さまざまな企業でデータ分析のやり方や仕組みづくりなどが見直されているようです。
とはいえ、日々蓄積されるデータは、共通する特徴や関連性などによって整理されているわけではありません。これらは性質によって分類したり、不要な側面を選別したりすることで、初めて活用できる可能性を見出せるのです。収集するデータが多いほど、それらの整理に時間や手間がかかるため、状況に応じてデータ分析に特化した適切なサービスを導入する必要があります。
データ分析が重要視されている背景
データ分析が重要視されるようになった第一の理由は、データドリブン経営が普及したことです。「データドリブン経営」とは、蓄積したデータをもとに事業経営を行う方法を指します。スマートフォンやタブレットなどの普及によって、消費者は瞬時にさまざまな情報をキャッチできるようになりました。それに伴い消費者のニーズも多様化し、消費行動が大きく変化したことから、データを用いて合理的に事業計画を立てる方法が一般的になったのです。
第二の理由は、ビジネスシーンでのDX化が進んだことです。「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、「データやデジタル技術を活用して社会全体を変革する」という意味があります。2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表したことから、より多くの企業がデータやデジタル技術の活用に重きを置くようになりました。
そして第三の理由が、働き方改革により業務のデジタル化が進んだことです。近年、新型コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する企業が急増しました。従業員の勤怠管理やデータ集計業務など、これまで手作業で行っていた業務のデジタル化が進んだことで、より多くのデータを集取できるようになったのです。これらを活用することで、これまで見えてこなかった課題が見えるようになり、業務プロセスが見直されるなど、社内の取り組みにもいっそうデータ分析が用いられるようになりました。
データ分析する調査目的の例
データ分析を行う際に大切なのは、調査を行う目的を明確にすることです。ここでは、データ分析を行う調査目的の事例を3つピックアップしてご紹介します。
売上アップを目指す傾向対策
売上アップを目指す場合は、マーケティング施策・ターゲティング効果などの分析や、顧客分析などを行うとよいでしょう。新規顧客の獲得にコストがかかりやすい現代では、既存顧客のリピート率や購入単価を、いかにアップさせるかが重要です。顧客の属性や購入頻度、どのような成功体験が得られたかなどのデータ分析を行うことにより、既存顧客のクロスセル・アップセルが期待できます。
コストダウンを目指す傾向対策
コストダウンを目指す場合は、業務プロセスや業務効率の分析を行うとよいでしょう。業務のデジタル化を進めると、それまでわからなかった従業員の仕事ぶりなども可視化できるようになります。業務を定型化してルールを定めたり、状況に応じて新たなツールや機械などを導入したりするなど、より快適に業務が行えるようになれば、オフィス環境の改善にもつながるでしょう。
事業戦略の検討
刻々と変化する市場や消費者のニーズに対応するためには、データ分析を用いた事業戦略の検討が不可欠です。売上や在庫、購買プロセスなど分析すべきデータは多岐にわたり、状況などによっても必要なデータは異なるので注意しましょう。また、新しい事業を創造する場合や、既存のサービスを見直す場合など、目的に合った適切なデータを分析することが大切です。
データ分析に必要なプロセスとは
データ分析で最も大切なのは、結果をビジネスに活用するまでのプロセスです。いくら高性能のデータ分析基盤を導入したところで、正しい手順を踏んでデータを活用しなければ意味がありません。以下、データ分析のプロセスについて解説します。
分析の目的を明確化する
第一のプロセスは、データ分析の目的を明確に決定することです。目的が定まっていないまま分析を実施すると、思うような結果が得られないこともあります。まずは、現在の状況を整理したうえで、「何を達成したいのか」「何が目的なのか」などを決定しましょう。
分析課題と収集するデータを定める
第二のプロセスは、分析課題の決定と収集するデータの選定です。「分析課題」とは、仮説を立ててデータ分析で知りたいことを指します。「新商品の売れ行きが悪いのは、ターゲット層に届く広告が足りないからではないか」「パッケージのデザインを見直すべきではないか」などの予想をもとに、必要なデータを整理・検討するとよいでしょう。
データの可視化・分析を行う
第三のプロセスでは、整理したデータを可視化し、データ分析を行います。ポイントは、本格的な分析を行う前に、データの全体像を把握しておくことです。収集したデータをグラフや数値などにまとめ、傾向や問題点などを確認したうえでデータ分析を行うことで、分析結果をビジネスに活用しやすくなります。
分析結果を意思決定に活用する
最後に、データ分析の結果を受けて、意思決定を行います。最初に設定したデータ分析の目的に立ち返り、「課題解決につながる結果が得られたか」「本当に問題が解決するのか」などを改めて確認しましょう。
場合によっては、さらなる仮説が生まれたり、新たなデータが必要になったりと、予想とは異なる結果になることもあります。その場合は第二のプロセスに戻り、改めて必要なデータを絞り込むとよいでしょう。
理想的なデータ活用はハイブリッドな仕組み
めまぐるしく変化する市場に対応するために、多くの企業で導入されているデータ分析。しかし、企業の規模が大きくなるほど扱う情報の数も増えるため、これらをきちんと収集・分析できるデータに加工するだけでも、多くの労力や時間がかかります。
また、社内に適切な人材がいる場合はまだしも、データを正しく扱える従業員がおらず、なかなか収集したデータを活用できない企業も少なくありません。現に多くの企業では、データ分析のスキルを持った人材の採用や育成が重要視されています。そのような場合は、データ分析に特化したツールを導入するとよいでしょう。
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まとめ
データ分析とは、企業が収集したさまざまな情報を整理し、調査目的に合うものを抽出する作業のことです。問題解決や事業戦略の決定など、幅広い用途に活用できることから、多くの企業で導入されています。ぜひ、データ分析に役立つクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」を導入してみてはいかがでしょうか。