BIツールのダッシュボードとは、グラフや表などを一画面にまとめて配置したものです。生産や経営の全体像、個人の進捗状況などをリアルタイムに確認できるため、より適切な行動を促すことができます。本記事では、BIツールのダッシュボードの概要と例・メリットや機能・利用時の注意点について解説していきます。
BIツールのダッシュボードとは
BIツールのダッシュボードの概要と、BIツールのレポートとの違いについて説明します。
BIツールのダッシュボードとは
BIツールとは、「ビジネスインテリジェンスツール」の略で、企業にある膨大なデータを分析・可視化し、業務や経営に役立てるツールです。ダッシュボードとは、もともと自動車もしくは飛行機などの走行・操縦に必要な計器類が搭載された画面(ボード)のことです。
つまりBIツールのダッシュボードとは、企業にあるデータを可視化したグラフや表・チャートなどの各担当者に必要な情報を、ボードとして一画面にまとめて配置したものを意味します。
Iツールのダッシュボードでは、作成したグラフ・表の配置や組み換えを容易に行えます。そのためグラフ同士の比較をする際、必要なデータのみをユーザーがカスタマイズすることが可能です。BIツールのダッシュボードを使うことで、生産や経営の全体像の表示から、個人の進捗状況表示まで、幅広いサポートを行えます。
BIツールのレポートとダッシュボードの違い
BIツールのレポート機能とは、定まった項目を定まった形式で定期的に出力する機能をいいます。上司や取引先など、誰かに報告するために使われる機能です。
一方、BIツールのダッシュボードは、各担当者が状況を画面上で把握するための機能です。誰かへの定期的な報告というよりは、各個人が日々リアルタイムに作業状況を把握し、より適切に行動するためのツールと言えます。
BIツールのダッシュボードの例
BIツールのダッシュボードの例として、小売店や病院ではどのような項目を表示できるかを紹介します。BIツールのダッシュボードは、目標に対する状況の表示と、なぜその状況になっているかの仮説を立てやすい構成にすると、使いやすくなります。
小売店
小売店の場合、以下のようなグラフや表を集めたダッシュボードが想定されます。
- 目標に対する売上状況
- 時系列的、カテゴリごとの売上状況
- 地域別の売上状況
- 同じ地域内での店舗ごとの売上状況
- 配送に費やしている時間
このような表示ができると、想定外の売上や傾向があるかの確認ができます。地域ごとの状況も把握でき、同じ地域内でも差がある店舗の発見や、理由となる仮説を立てやすくなります。
病院
病院の場合、基幹システムとBIツールのダッシュボードを連携させることで、さまざまな項目が視覚化できるようになります。
経営分析の場合、以下のようなグラフや表を集めたダッシュボードが想定されます。
- 診療部門別の収益、患者数、職員数
- 手術室の稼働状況
- 入院期間別の在院日数
- 来院患者地域
このような項目を表示できると、現状課題の把握から対策を立て、業務の効率化を図れます。経営分析以外にも、どのような患者に何の治療を行ったかを記録する臨床指標や、アクシデントレポート、病院全体・診療科毎の業務量などを表示するダッシュボードもあると、より詳細な分析ができるようになるでしょう。
BIツールのダッシュボードを活用するメリット3選
BIツールのダッシュボードを活用し、グラフや表を一画面に表示することで得られるメリットを、3つ紹介します。
メリット1.状況の把握
BIツールのダッシュボード最大のメリットは、データを直感的に把握できることです。文字の情報のみでは複雑ですぐに理解できない内容も、表やグラフがあると、大量の数字の状況を一目で理解できます。
関連する表やグラフを隣接して配置すると、画面の移動を必要とせずに、知りたい情報を一画面で把握することが可能です。
メリット2.リアルタイムでの分析
保存されたレポートへの参照は、過去の特定時点のデータを見ることになるため、リアルタイムな状況の把握ができません。BIツールのダッシュボードでは常にリアルタイムなデータの表示ができ、最新の状況を把握できます。また、過去のデータも保管して参照することで、時系列の変化を追えるため、状況の変化や異常のすばやい察知が可能です。また、画面上に通知を出すアラート機能を使うと、異常やチャンスを見逃すことがありません。
メリット3.チーム内での情報共有
担当者や管理者が作成したダッシュボードは、チームメンバー全員で共有することが可能です。共有されたメンバーは、チーム内で統一された形式の、リアルタイムなデータの参照ができます。
共有されたダッシュボードは、チームごとの目標に対する進捗管理を容易にします。状況がわかることで全員の意識が高まり、進捗が滞っている箇所にメンバーをアサインする際も、メンバー全員が状況を把握した状態で実施できるため、アサインの説明がよりスムーズになるでしょう。作成したダッシュボードはアクセス権限の付与もできるため、特定のメンバーだけに共有することもできます。
BIツールのダッシュボードの主な機能
BIツールのダッシュボードの主な機能を3つご紹介します。
機能1.データの選択・絞り込み
特定の項目だけ表示する絞り込み(フィルタリング)ができます。絞り込みにより、期間を特定したグラフの表示や、条件を満たした項目だけ表示するなど、見たい期間や項目のみを確認できます。
機能2.グラフや表の作成・表示
さまざまなグラフや表を作成の上、ダッシュボードとして一画面に表示できます。グラフの代表例としては、売上などでよく使われる棒グラフや、時間の経過と集計値を表現する折れ線グラフ、全体に対する割合を表す円グラフ、全体的なバランスを表すレーダーチャートなどが挙げられます。
ツールによって幅広いグラフや表が用意されているため、部門目標と状況に合わせ、仮説・検証を行えるように選択し、ダッシュボード上に配置できます。
機能3.表示項目の詳細表示
表示している項目をさらに詳細に表示できます。
例えば、月別のグラフ上で数値項目をクリックすると、日別のグラフが表示されます。エリア別データの数値から店舗別のデータ表示なども可能です。このような、項目の段階を掘り下げて表示する機能をドリルタウン機能といいます。
BIツールのダッシュボード利用時の注意点
BIツールのダッシュボードは状況を一目で理解できる大変便利なものですが、利用する際の注意点もあります。
グラフや図の作成にSQLやプログラミングの知識を必要とする場合がある
項目のみを表示する場合、ボタンクリックのみで表示ができます。ただ、複数のデータから複雑な条件でのグラフ作成を行う場合は、専門的な知識を必要とするケースがあります。
例えば、グラフや表の作成に、データベースへの問合せであるクエリなどのSQLの知識やPythonといったプログラミング知識を必要とする場合があります。
BIツールを使いはじめるまでに時間がかかる
BIツールを使うには、社内の膨大なデータに対し、どの項目を何の目的で使うかの決定が必要です。次に、決めた項目に対し、データ修正や加工といったデータクレンジング作業を行い、はじめてBIツールが使える状態になります。
データクレンジングは、データの項目や計算が大量に発生するため、多くの場合プログラミングで実施されます。このようにBIツールの導入までには時間がかかるため、社内の状況を把握し、協力を得る必要があります。
まとめ
BIツールのダッシュボードの機能やメリット・注意点について紹介しました。
一画面で必要な情報を視覚的に把握できるダッシュボードは、課題を見極め解決につなげる強力なツールです。経営や業務状況の情報共有ツールとして、チームで活用できると作業効率の向上に繋がるでしょう。
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