データ分析、データベース

システムのパフォーマンス問題を早期発見・解決するための方法を解説!

ITシステムのパフォーマンス低下は、業務進行を妨げるだけではなく、サービス品質や信頼性の低下といったリスクにもつながります。一方、近年は物理マシンに加えて仮想マシンを活用することも多く、パフォーマンスの問題を特定する労力が増しています。このことから、効率よくパフォーマンスをチェックし、早期に問題箇所を特定する仕組みが必要です。ここでは、システムのパフォーマンス問題を発見、解決するための方法を解説します。

システムのパフォーマンス問題を早期発見・解決するための方法を解説!

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システムのパフォーマンス問題が引き起こすリスク

ITシステムのパフォーマンス低下は、次のようなリスクにつながります。

業務遅滞の発生、従業員満足度の低下

業務時間中にシステムのパフォーマンスが低下し、帳票入力や転記処理、受付システムへの入力といったオンライン処理が滞ることで、業務遅滞が発生します。また、システムの動作が遅くなることで従業員のストレスが増加し、働き甲斐やモチベーションの低下につながる可能性もあります。さらにこれらは、従業員満足度の低下を招きがちです。従業員満足度は、生産性や離職率に深い関係があり、長期的に企業の成長を左右する要因として注目されています。日常的に従業員が触れる社内システムを少しでも快適な状態に保つことができれば、従業員満足度の低下を防ぐことができるのです。

顧客離れ・信用の低下

社外に向けてWebサービスを提供している場合、システムパフォーマンスの低下で発生する数秒の表示遅れが、顧客満足度の低下につながる可能性もあります。また、アクセスが多い時間帯にパフォーマンス低下が発生すると、顧客離れや企業の信用力低下につながる恐れもあります。

サービスレベルの低下で契約上の問題になることも

ITシステムを利用して顧客に何らかのサービスを提供する場合、あらかじめサービス品質に関しての合意形成を行います。具体的には「SLA(Service Level Agreement=サービスレベル合意)」を作成し、提供されるべき品質を定量化する方法が採られます。パフォーマンスの低下によってSLAで定められたラインを下回ると、途中解約や違約金の発生につながる可能性も否定できません。

パフォーマンスの問題が発生するポイント

このようにさまざまなリスクの温床になるパフォーマンス低下は、ポイントを絞って監視することで、ある程度は防止することができます。以下は、パフォーマンス低下の原因とされるポイントの一覧です。

パフォーマンス低下のポイント

データベース

データベースのパフォーマンスが低下すると、データ入出力に時間がかかり、アプリケーションやWebサイト応答時間が長くなります。データベースのパフォーマンスが低下する原因としては、不適切なSQL文やオブジェクトロックが解放されていないこと、クエリ応答時間の長さなどが挙げられます。

ネットワーク

ネットワーク上の問題から、システムのパフォーマンスが低下することも珍しくありません。トラフィック(帯域)の使用率、スイッチやハブなどネットワーク機器の稼働状況、ネットワークループの有無などをチェックしていきましょう。

OSおよびプロセス

サーバーOSやその中で稼働しているプロセスが正常に動作していないと、サーバーのパフォーマンスが低下します。ポートへの接続可否やHTTPd、mysqldといった常駐プログラム(デーモン)の応答状況などをチェックしていきましょう。

ハードウェアリソース

サーバーのCPU負荷、メモリ使用率、ディスク使用率、ディスクIOなどが閾値を超えていると、システム全体のパフォーマンスに悪影響を与える恐れがあります。

パフォーマンス低下の問題をどう防ぐか

このように、パフォーマンスのチェックポイントは多岐にわたります。また、物理マシンから複数の仮想マシンを構築している場合は、仮想マシンの数だけ監視対象項目が増えていきます。したがって、パフォーマンス問題を早期に解決するためには、あらかじめ監視項目の状況が一目でわかるような仕組みが必要です。一般的には、監視サーバーの構築や監視ツールの設定、監視エージェントのインストールなどを経て可視化を行うことが多いでしょう。ただし、こうした仕組みをオンプレミスで構築する場合は、専任の人員と時間、コストが必要になります。

そこで、クラウドプラットフォームのパフォーマンスチェックツールを活用してみましょう。クラウドプラットフォームのパフォーマンスチェックツールには、複数の仮想マシンを一括で監視し、問題個所の特定を迅速に行うための機能があります。また、オンプレミスのように監視サーバーの構築が不要なことから、コストパフォーマンスにも優れています。

「Azure Monitor」でパフォーマンスの問題を早期に特定

Azureのパフォーマンスチェックツール「Azure Monitor」には、アプリケーション、ITインフラ、ネットワークのパフォーマンスをチェックする機能が含まれています。

アプリケーション監視

Azure とオンプレミス環境双方のWeb アプリケーションについて、パフォーマンス、使用状況を監視することができます。また、応答時間やイベントの監視にも対応しています。

インフラ監視

インフラ監視では、仮想マシン およびコンテナ・ストレージ・データベースといったITインフラのパフォーマンスを分析し、最適化することができます。また、LinuxとWindowsの仮想マシンが混在する環境にも使用可能です。

ネットワーク監視

ネットワーク監視では、パケットキャプチャの制御やルーティングの診断、ログ分析、Azure ネットワークの可視化と制御などが可能です。こうした機能は、仮想マシンにログインすることなく使用することができます。

VM insightsによる仮想環境のグラフ化

Azure Monitorでは、仮想環境の分析ツールである「VM insights」が使用できます。VM insightsには、仮想マシンの稼働状況を評価するためのKPIとして「CPU」「メモリ」「ネットワーク」「ディスク」の使用率が設定されています。また、これら定量的な指標を用いてグラフを作成するため、ITシステムのパフォーマンスをリアルタイムに可視化することができます。また、グラフには任意の期間の稼働状況が表示されるため、パフォーマンスの問題が生じていればすぐに発見できるでしょう。

まとめ

ここでは、ITシステムのパフォーマンス問題に潜むリスクや監視すべきポイント、パフォーマンス問題の発見に役立つツールを紹介しました。システムパフォーマンスの問題は、どの領域で発生するか予測しにくいため、統合的な監視ツールによって可視化する方法がおすすめです。また、複数の仮想マシンを監視する場合は、Azure Monitorの活用も視野に入れてみてください。

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