データ解析とは?
近年は、多くの分野においてデータを活用することで、さまざまな業務の円滑化・効率化が重要視されています。そこで理解を深めておきたいことの一つに「データ解析」があります。
ここではまず、データ解析の意味や概要を整理したうえで、データ解析によって得られることを整理していきましょう。
データ解析は統計手法のひとつ
簡単にいえば、データ解析は統計を取るうえで用いられる手法の一つです。
データ分析と同様の意味で扱われることもありますが、データ解析では、データ分析の結果をもとに分析結果に帰結する理由や仕組みを研究し、理屈や答えを解明していきます。
そのうえで法則性や体系、構造などを見出していくのもデータ解析における重要なプロセスの一つです。
今まで気づかなかったことを発見する役割
データ解析には、「これまで気づかなかったことを発見する」という大きな役割があります。
単純に統計を取ってその結果を眺めるだけでは、例えば売上が変化する時期の法則性は見えてきません。データ解析で分析結果を整理し、そこから見えることを解明していけば、徐々に法則の見極めや体系化が実現していきます。
すると売上が変動する時期の法則性が把握でき、他のデータと照らし合わせたときに変動の原因が論理的に導き出せるのが特徴です。
営業戦略・マーケティング戦略など、ビジネスにおけるあらゆる戦略を考えるうえでは、データ活用は欠かせません。今まで気づかなかったことにできる限り早く気づいて利益の最大化につなげられるよう、データ解析の行程は重要視されているのです。
データ解析とデータ分析の違いは?
同様の意味で扱われやすい言葉として、「データ分析」という用語もあります。データ活用の分野においては、データ分析とデータ解析は頻繁に取り沙汰される用語といえます。では、具体的にどのような点に相違があるのでしょうか。
ここからは、データ解析とデータ分析の違いを解説します。
データ解析:論理的な研究
さまざまなデータを材料として統計結果を出し、そこからビジネスの最適化案につなげていく意味では、いずれも同様の意味を持ちます。そのため、同じものとして扱われることは実際のところ珍しくありません。
違いがあるとすれば、データ解析は論理的な研究の側面が強いことが挙げられます。データ分析によって出た統計結果からどのような答えが導き出せるのか、論理的に解明していくのがデータ分析にあたります。分析結果を見て「このような結果が出たのは、〇〇が原因かもしれない」と、仮説を立てながら論理的な研究を行っていくのがデータ解析です。
データ分析:構造などを明らかにする
一方でデータ分析は、構造などをよりわかりやすく明らかにする行程といえます。単純な売上の数字の羅列から、例えば前年比〇%、市場における自社製品の売上順位といったような分析結果を出し、体系化・構造化していくのが特徴です。
このためデータ分析には、定義上、基本的にデータ解析のような論理的研究・解明の行程は含まれません。
ただ、分析の工程においても、解析とほぼ同じ工程を行うことはあります。これはデータ解析側から見ても同様のことがいえるでしょう。両者が混同して扱われることが多いのは、実態としてこのように線引きがあいまいだからなのです。
データ解析を行う3つのメリット
ではここからは、データ解析を行うメリットを整理していきましょう。主に挙げられるメリットは、次の3つです。
- 将来の予測が立てやすくなる
- 効率化や新たなチャンスを発見できる
- 意思決定が素早く行えるようになる
いずれのメリットも、ビジネスを効率的に進めるうえでは重要なものといえます。では、一つひとつのメリットを解説していきます。
1. 将来の予測が立てやすくなる
データ解析によって法則性などが見えてくれば、自然と未来の予測がしやすくなります。売上の数値でいえば、データ分析によって解析を行うことで、ある程度の売上の動向が年間を通してわかってくるでしょう。
すると、売上が伸びにくくなる時期も予測可能になるため、売上減少に困らないように対策を講じることが可能です。未来予測ができれば、課題に対して早急にアプローチができるのです。
2. 効率化や新たなチャンスを発見できる
データ解析によって、論理的に「売れている理由」や「売れる商品の特徴」などを見出せれば、効率的に売上アップに貢献できる商品を開発できるでしょう。これは、業務効率化や新しいビジネスチャンスを見出すことにもつながります。
業務にあたっていくうえで、効率化は重要視すべきことの一つです。作業効率が悪いという課題に直面しているのであれば、データ解析によって効率を下げている要因を見極めることも可能になるでしょう。
3. 意思決定が素早く行えるようになる
データ解析は、ビジネスにおけるさまざまな意思決定の円滑化に貢献します。
例えば、今行っている事業について、ある取引先と業務提携を進めるべきか悩んでいるなら、データ解析の結果がその判断材料につながる可能性があります。さまざまなビジネスデータから分析・解析を行うことで、その業務提携にメリットがあるかどうかを論理的に導き出せるからです。
統計手法であるデータ解析は、感覚的な考えよりも正確性に期待ができます。
データ解析の手法は大きく8つ
ここからは、データ解析の手法を解説していきます。主にデータ解析を行う際には、以下のような8つの中のいずれかの手法を取ることになります。
- 決定木分析
- RFM分析
- 回帰分析
- クラスター分析
- アソシエーション分析
- バートレット検定
- ランダムフォレスト
- SVM(サポートベクターマシン)
では、それぞれの特徴と違いを解説していきます。
1.決定木分析
決定木分析は、ディシジョンツリーとも呼ばれる解析手法です。簡単にいうと、決定木分析では、「もしも〇〇だったら」という仮説のもとに検証を繰り返して解析を行います。
具体的には、分類木・回帰木と呼ばれる2つを組み合わせることで樹形図を作成し、分類を分けていくことで検証を重ねていきます。分類分けを行う場合は分類木を、数値予測を行いたい場合は回帰木を使って検証をするのが特徴です。
2. RFM分析
RFM分析は、さまざまあるデータ解析手法の中でも特に顧客解析に使われやすいのが特徴です。直近の購入日・購入頻度・購入累計額、この3つの指標をもとに、顧客のタイプをグループ分けしていきます。
これにより顧客のタイプを購買意欲の高さなどで分けることが可能となり、主にマーケティング施策を考える際に役立ちます。購買意欲の高さによってそれぞれに合った施策を打ち出せるからです。
3. 回帰分析
将来予測においてよく使われるのは、データ解析手法の中でも回帰分析と呼ばれる手法です。「〇〇という要因があると、△△という結果につながる」という要因と結果の見極めを、変数を活用することで解明していきます。
例えば、売上の変化に天候が関係している仮説があるなら、気温や天気からの売上予測が立てられます。売上予測が可能になれば、余分な在庫を抱えることなく、適した数の在庫を用意できるでしょう。
なお、回帰分析には、具体的には単回帰分析・重回帰分析・ロジスティック回帰など、いろいろな分析手法が見られます。どの手法を用いるかは、変数の種類などで変わってくるのが特徴です。
4. クラスター分析
クラスターとは、同じ属性を持つものとしてひとまとめにできる集団のことを指します。そのためクラスター分析では、さまざまな属性を持ったデータの中から、同類として括れるクラスターを作って解析に役立てていきます。
ただ、類似性の高いデータをまとめるとはいえ、このグルーピングは単純に性別や年齢といった属性では分類しません。主に活用されるのは「内的要因」で、例えば「お菓子をよく食べる人」、「ダイエットに高い興味関心がある」などの観点からクラスターを作るのが特徴です。
5. アソシエーション分析
数多く存在するデータの中から、関連性を見出す手法をアソシエーション分析といいます。まずは「〇〇が起これば、△△も起こる」といった仮説を立てるところからスタートし、その整合性をチェックしていきます。
アソシエーション分析における代表的なエピソードには、「オムツの購入とビールの購入に関連性があること」が挙げられます。一見するとまったく関係なさそうな事象でも、関連性を発見できる可能性があるのがアソシエーション分析の大きな特徴です。
6. バートレット検定
バートレット検定は、3つ以上の項目を持つデータのばらつきについて、そのばらつきが均一なものになっているのかを検定するのが特徴です。
母集団を形成しているデータの正規性がすでにわかっているときに、バートレット検定は適用可能になります。
7. ランダムフォレスト
ランダムフォレストは、まずビッグデータからサンプルをランダムに抽出します。そのうえで決定木分析を用いてサンプルの分析を行うのが特徴です。
ランダムフォレストを行う際には、サンプルの抽出と分析は複数パターン用意します。そのため分析結果はその数だけ出され、それらを組み合わせて最終的に検証を行っていくことで、高精度な分析につなげられる手法になります。
8. SVM(サポートベクターマシン)
高精度な分析のために使用される手法には、ランダムフォレストの他に、SVM(サポートベクターマシン)も挙げられます。これは主にデータ補正に役立つのが特徴です。
データを活用して予測の解析を行う際には、外れ値を入れて解析をスタートさせると、精度の高さにはあまり期待ができない場合があります。その際にSVMを用いて補正を行えば、外れ値をなくした状態で解析の精度を高められるのが特徴です。
この精度の高さから、機械学習モデルの一種としても知られています。
データ解析をする際の注意点
データ解析を行う際には、次のような点において注意が必要です。
- データが多すぎると活用されない情報が出てくる
- 情報漏洩などセキュリティ面の対策は必須
では、それぞれの注意点を解説していきます。
データが多すぎると活用されない情報が出てくる
データ解析は、数あるデータから論理的な答えを導き出すうえで非常に役立つプロセスですが、多種多様なデータが含まれるビッグデータを扱う場合は注意が必要です。
というのも、データの規模が大きく種類も雑多な状態になっていると、解析の目的にマッチしないデータが解析の邪魔になる可能性が出てくるからです。すると低い精度のデータ解析になり、結果として予測に役立たないことも考えられます。
とはいえ、解析には多くのデータの蓄積が必要なのは間違いありません。そのため解析前にはデータクレンジングを適切に行うことを意識しつつ、多くのデータを扱える基盤の構築が必要になります。その際には、Microsoft Azureのようなクラウドにデータ統合基盤を構築するのが効果的です。
情報漏洩などセキュリティ面の対策は必須
データ解析の際には、情報漏洩などのリスクに十分に注意を払う必要があります。顧客情報から重大な企業の機密情報まで、データの種類は多岐にわたります。これらの情報が何らかの原因で外部に流出することになれば、企業として莫大な損失につながるのは間違いありません。
データ活用には大きなメリットがあるのは明らかですが、膨大なデータを扱うことは、リスクや責任も伴うことをしっかりと認識する必要があります。そのため、セキュリティ対策には十分な体制を構築するようにしましょう。
正しくデータ解析・分析をするにはMicrosoft Azureがおすすめ
適切にデータ解析を行うには、膨大なデータを蓄積でき、かつセキュリティにも優れた統合基盤を用意するのが望ましいでしょう。
Microsoft Azureは膨大な規模のクラウドプラットフォームで、データ蓄積・解析の基盤構築には大きく役立ちます。なお、Microsoft Azureはセキュリティ性にも優れているため、重大なデータを扱う際にも安心できるでしょう。
まとめ
データ解析はデータ分析と混同されがちですが、実際には異なる部分があります。データ解析は、論理的な観点からデータ分析結果の要因などを解明していく過程にあたり、将来予測などに役立つのが特徴です。データ活用は、業務効率化やビジネスにおける意思決定に欠かせません。
Microsoft Azureのような、膨大なデータをスムーズに扱えるクラウドプラットフォームを積極的に活用し、安全かつスムーズにデータ解析を進めていきましょう。