クラウドネイティブは、近年のクラウド型サービス普及に伴って出てきた考え方です。クラウドは利便性の高さが魅力として挙げられますが、その分セキュリティ対策の面ではさまざまな課題が伴うのも事実です。
ネット接続をした状態で重要なデータのやり取りを行うため、より閉じられた環境であるオンプレミス型と比較すると、どうしても情報漏えいなどのリスクは高まります。そこで今回は、クラウドネイティブにおけるセキュリティ対策のポイントを、課題とともに紹介していきます。
クラウドネイティブとは
近年のIT環境を考える際には、クラウドについて幅広い知識を持つことは欠かせないポイントになります。それだけ現在はクラウド型で提供されるサービスが増えており、クラウドで社内のあらゆるシステムを運用している企業は少なくありません。
そんな状況のなかで生まれたのがクラウドネイティブという考え方・概念です。これは、アプリケーションの開発にあたってクラウド運用を前提とするかたちで設計・構築を行う考え方を指します。
似たような言葉にクラウドファーストという言葉がありますが、これは利益の最大化を目指して、できるだけサービスのクラウド利用を優先させるという考え方です。
これに対してクラウドネイティブはもとよりクラウドですべて運用していくという考え方なので、クラウドが持つ利点を最大限利用し、ビジネスの可能性を広げることを目指す考え方になります。
クラウド運用であらゆるアプリケーションを利用することができれば、導入スピードも速く、例えば事業スタートも十分に機敏性のあるかたちで行えます。このように、「クラウド利用を前提として、ビジネスの可能性を広げていくこと」をクラウドネイティブと呼ぶのです。
クラウドネイティブセキュリティの課題
普及の著しいクラウドサービスにはよい点がさまざまあることがわかります。しかしその一方で、課題として指摘されていることもたくさんあります。そのためクラウドネイティブの考え方にも課題は少なくなく、特にセキュリティに関する課題は頻繁に指摘される問題の一つです。
クラウドサービスのサーバーには、社外からもユーザーがアクセスできる状態にあります。そのためセキュリティ対策はあらかじめ徹底しておかなければ、第三者から不正アクセスを受けることで、データの改ざんや情報漏えいなどのセキュリティ事故につながる恐れもあるのです。
これはクラウドというサービスが持つ脆弱性の一つです。こういったリスクを抑えるためにはサーバーやデバイス、ソフトウェアなどのセキュリティ設定を強化することが必要不可欠と言えます。
しかし実際のところ外部のクラウドサービスを利用する場合は、サービス提供会社のセキュリティ品質次第でリスクの大小が変わってしまう部分もあります。いわば自社の大事なデータのセキュリティを他社に任せるような状態になってしまうため、これは課題として直面しなければならないポイントと言えます。
クラウドネイティブにおけるセキュリティ対策
ここからは、クラウドネイティブでどのようなセキュリティ対策が取られるのか、具体的な方法を解説していきます。セキュリティ対策のレイヤーは主に4つのものが挙げられます。
- クラウドプロバイダー
- インフラ
- コード
- クラスター
この4つの階層を作ることで対策を強化し、多重防御によるリスクマネージメントを行っていく仕組みです。
また、アプリケーションレベルでの対策も必要不可欠です。ソフトウェアにとって脅威になりうることをピックアップし、それに対するもっとも有効な対処を行うことで、開発段階から脆弱性をなくしていくという脅威モデリングなどが重要になってくるでしょう。
このようにクラウドネイティブにおける課題をクリアしていくためには、さまざまなレイヤーで対策を強化していくことが重要となります。以下からは、階層ごとに具体的な対策の内容を紹介していきます。
クラウドプロバイダーセキュリティ
クラウドプロバイダーでは、脅威の自動検知などのさまざまなセキュリティ対策が重要となります。データ送受信の際の暗号化や、アクセスコントロールなどの設定も大切です。また、サイバー攻撃を受けたときの対策として、自動修復機能を設けておくことも、クラウドプロバイダーセキュリティとしては欠かせません。
インフラセキュリティ
クラウドサーバー運用を安心して行っていくためには、サーバーを含むインフラセキュリティの強化が重要となります。「インフラ構築・運用の際にはどのような脅威があるのか」あらかじめモデリングしたうえで、適切な技術を持った人材を配置して対策し、インフラの徹底した保護につなげていく必要があります。
コードセキュリティ
アプリケーションコードのセキュリティにも、あらゆる制御を行って保護を徹底することが大切です。SQLインジェクション、XSSといった代表的なサイバー攻撃に備えるためには、脅威の検知・解析ツールなどを用いて対策していくことも重要です。基本的には、コードベースで詳しい解析を行い、セキュリティエラーを見つけていく対処が欠かせません。
クラスターセキュリティ
クラスター化された状態のコンピューター群を安全に管理するには、不正アクセスなどによって一斉にシステムやアプリケーションが停止に陥らないためにも、クラスターセキュリティとして有効な対処を徹底することも不可欠です。
クラウドネイティブにおけるセキュリティ対策の例
クラウドネイティブの考え方のなかでセキュリティ対策を強化していくためには、クラウドならではの脆弱性に適切に対応するためにも、具体的な事例などを参考にしておくことが大切です。
クラウドネイティブにおけるセキュリティインシデント防止のためには、IaC手法導入などの方法を取ることで体制強化につなげるのが望ましいでしょう。
ほかには、MicrosoftのAzure活用によるセキュリティレベルの底上げを図ることも効果的です。AzureはMicrosoft提供の安全なクラウド基盤となっており、脆弱性排除につなげる安全性の確保と、コスト・対策作業の手間の軽減につなげることができます。
Azureには多層のレイヤーによる組み込みセキュリティ体制が敷かれているため、何重もの防御基盤でクラウド運用でもセキュリティリスクは最小限に抑えられるでしょう。IT業界を築いてきたMicrosoftだからこそ、大量のデータの分析を行い、脅威検出・対策につなげているのもポイントです。
まとめ
クラウドネイティブの考え方は、今後のビジネス環境にますます根付いていくものと考えられます。それほどクラウドサービスの需要は急拡大しており、今後もその勢いは続くとみられているのです。
しかしクラウドネイティブの価値観でビジネス環境を形成していくには、セキュリティリスクに適切に対処する必要があるという課題も忘れてはなりません。具体的な手法や対策サービスを理解したうえで、クラウドネイティブの考え方によるビジネスの最適化を目指しましょう。
Azureは、脅威の自動検知といった組み込みによりセキュリティで安心して利用できるのが強みのクラウドサービスです。クラウドネイティブな基盤を築く際には、Azureの導入をぜひご検討ください。