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基幹システムのクラウド化とは?メリットや形態、注意点なども解説

基幹システムのクラウド化は、セキュリティの観点から躊躇する企業が少なくありません。しかし、近年ではクラウドのセキュリティも向上しており、堅牢なシステム環境が求められる金融業界や政府機関などでも、クラウド化が進んでいます。そこで本記事では、基幹システムをクラウド移行するメリットや注意点について解説します。

基幹システムのクラウド化とは?メリットや形態、注意点なども解説

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基幹システムのクラウド化が進む背景

クラウドファーストという概念が一般化しつつあるなか、多くの企業がシステム環境のクラウド移行を進めています。しかし、クラウドはパブリック環境でほかのユーザーとリソースを共有するという性質上、セキュリティリスクを懸念する声が少なくありません。そのため、情報システムのクラウド化は進展しても、セキュリティリスクの観点から基幹システムのクラウド移行は敬遠されていました。

ところが近年、そんな基幹システムをクラウド環境へと移行する企業が増加傾向にあります。一体なぜ、これまでハードルが高いと考えられてきた基幹システムのクラウド化が進んでいるのでしょうか。その理由として考えられるのが、「クラウドのセキュリティレベル向上」と「基幹システムのレガシー化」です。以下では、基幹システムのクラウド化が進展している背景について見ていきましょう。

クラウドのセキュリティレベルが向上した

堅牢なセキュリティが求められる基幹システムの領域において、クラウド化が進んでいる理由のひとつが、クラウドサービスのセキュリティレベルの向上です。たとえば、Microsoftの「Azure」やAmazonの「AWS」などは、クラウドセキュリティに関する「ISO/IEC 27017:2015」や、情報セキュリティに関わる「ISO/IEC 27701」、個人情報保護の規格「ISO/IEC 27018:2014」といった国際的なセキュリティ認証を得ています。

クラウドはオンプレミスのように独自のセキュリティ要件を定義できず、サービス事業者のセキュリティポリシーに依存するため、基幹システムのクラウド移行に踏み切れない企業が少なくありませんでした。しかし、近年では世界基準のセキュリティ認証を得ているクラウドサービスも増えており、金融機関のような厳格なセキュリティが求められる業界でも、クラウド活用が進みつつあります。

基幹システムの見直しが必要となった

近年、さまざまな業界で大きな課題となっているのが、レガシー化した基幹システムの運用管理です。とくに、10〜20年前に導入したメインフレームで今なお基幹システムを運用している組織や、2027年にメインストリームサポートが終了するSAP ERPを運用している企業にとって、基幹システムの刷新や移行は非常に重要な経営課題といえます。

しかし、オンプレミス環境での刷新・移行には、莫大な導入費用と長期にわたる開発期間が必要です。たとえば、SAP ERPからSAP S/4HANAへ移行する場合、システム規模によって変動するものの、数千万円~数億円のコストと年単位の開発期間が必要です。クラウド環境への移行であれば、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの導入が不要なため、導入費用と開発期間を大幅に削減できます。つまり、基幹システムの刷新・移行に伴い、導入費用や管理コストの削減を目的として、クラウド化を選択する企業が増加しているのです。

基幹システムのクラウド化のメリット・デメリット

ここからは、基幹システムをクラウド環境へ移行するメリットとデメリットについて解説します。

システム再構築の手間やシステム変更を簡単に可能

オンプレミス環境で基幹システムの機能を追加したり、容量を拡張したりするためには、ハードウェアの増設が必要です。クラウド型であれば、管理画面からプランの変更や容量の拡張を選択することで、ハードウェアを増設することなく基幹システムの再構築が完結します。

この拡張性の高さと容易さは、クラウド特有のメリットですが、オンプレミスのようにアドオン開発は行えないため、必ずしもシステム要件を満たせるとは限らない点がデメリットです。

人材不足解消や管理コスト削減につながる

クラウド環境で基幹システムを運用する場合、ハードウェアの物理的な保守・運用管理が不要になるため、人材不足の解消や管理コストの削減につながる点が大きなメリットです。また、すべての基幹データがパブリック環境に保管されているため、地震や火災といった有事の際に、事業継続性を確保できるものクラウドならではの利点です。

ただし、サービス事業者側にサーバーダウンやシステム障害が発生する可能性もあり、その場合は復旧を待つしかないというデメリットがあります。

在宅ワークにも対応できる

働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響から、テレワーク制度を導入する企業が増加しています。オンプレミス環境の基幹システムに対し、社外ネットワークからアクセスするのは非常に危険であり、セキュリティを担保できません。機密度の高いファイルはオンプレミス環境で管理し、共有データはクラウド環境に保管する、といった運用をすることで、テレワーク環境でもセキュアな情報共有や業務連携が可能です。

しかし、クラウドサービスはオンライン接続が必須のため、常に不正アクセスやマルウェアの脅威に晒されているというデメリットもあります。

基幹システムのクラウド化の形態

クラウド環境で基幹システムを運用する方法は、主に2つあります。ひとつは、アプリケーションとして提供されるSaaS型のクラウドERPを利用する方法です。一例としては、SaaS型のクラウドERPである「Dynamics 365」を導入・運用する方法が挙げられます。

もうひとつは、IaaSPaaS型のクラウドサービスを利用し、クラウド環境のITインフラやITプラットフォームにERPシステムを構築する方法です。たとえば、AzureやAWSといったクラウド上のITインフラに、SAP S/4HANAやOracle ERPなどを構築して運用する手法が該当します。

主要なインフラサービス

クラウド環境で基幹システムの運用を検討している場合、おすすめしたいのが「Azure」「AWS」「Google Cloud」の3つです。この3つは「世界3大クラウドサービス」と呼ばれており、世界中の企業がクラウド上のシステム運用基盤として活用しています。以下では、Azure・AWS・Google Cloudの特長について簡単に解説します。

Azure

Azureは、Microsoftが提供するクラウドサービスです。複数ソリューションによって構成されているサービスであり、AIによる機械学習やIoTの運用基盤、ブロックチェーンの実装やVDIサービス、ビッグデータ分析や多要素認証基盤の構築など、幅広い事業領域で活用できます。また、ほかのMicrosoft製品との連携性に優れるというメリットもあります。

AWS

世界3大クラウドサービスのうち最も高い市場シェアを誇っているのが、AmazonのAWSです。MicrosoftやGoogle、OracleやIBMなどの競合を押しのけて圧倒的なシェアを占めており、国内でもソニー銀行株式会社やPayPay株式会社、任天堂株式会社など、名だたる大企業がクラウド上のITインフラ・ITプラットフォームとして活用しています。さまざまなセキュリティ規格に対応し、さらに世界中の顧客ニーズに応えるべく200以上ものサービスを提供していることが、これほどまでに支持されている理由といえます。

Google Cloud

Google Cloudは、Googleが提供するクラウドサービスです。Googleは検索エンジンやWeb解析ソリューション、動画配信サービスなどを提供している企業であり、その開発・運用で培ったノウハウをさまざまな事業領域で展開してきました。Google Cloudの市場シェアは、AWS・Azureに次いで第3位となっていますが、Googleの知見を活かしたデータ分析や機械学習などの領域で、非常に高い支持を得ています。

基幹システムをクラウドサービスに導入する際の注意点

基幹システムをオンプレミス環境からクラウド環境へ移行することで、導入費用や開発期間の削減、拡張性や可用性の向上、テレワーク環境の最適化など、さまざまなメリットを享受できます。

しかし、クラウドも決してメリットばかりではありません。カスタマイズ性や自由度の低さから、自社の要件を満たせるとは限らず、セキュリティポリシーもサービス事業者に依存します。クラウド型のERPを導入する際は、機能やサポート内容、セキュリティポリシーなどを確認し、自社の事業形態や組織体制に適したソリューションを選定することが大切です。

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まとめ

クラウドサービスの高品質化やセキュリティ向上に伴い、基幹システムをクラウド移行する企業が増加しています。今回ご紹介したサービスは、いずれも高い人気を誇りますが、中でもAzureは機能面・コストパフォーマンスともに優れており、初めてのクラウド移行にもおすすめです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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