仮想デスクトップ

CitrixのVirtual AppsとVirtual Desktopsの違いとは?さらに統合のメリットも解説

Citrix Virtual Apps and Desktopsは、仮想化技術を活用して先端のワークスペースを実現するソリューションです。

仮想化ソフトウェアXen(ゼン)はCitrix Systemsが買収した企業のソフトウェアであり、かつてCitrix Virtual AppsはXenApp、Virtual DesktopsはXenDesktopという名称で提供されていました。しかしバージョン7.0以降、名称が変更され、現在ではCitrix Virtual Apps and Desktopsとして統合されています。

リモートワークの急増によって、デスクトップ仮想化(VDI)やDaaSが注目されるようになりました。システムの最適化を考慮すると、アプリケーションだけを仮想化して、ストリーミングで配信して利用したほうがよいケースもあります。デスクトップの仮想化とアプリケーションの仮想化は混乱することが多く、分かりにくいのではないでしょうか。

ここでは、Citrix SystemsのVirtual AppsとVirtual Desktopsの違いを取り上げるとともに、2つが統合されることによってどのようなメリットがあるかを解説します。

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Citrix WorkplaceのVirtual Apps and Desktops

Citrix Systemsのソリューションは、デジタルトランスフォーメーション推進を支援する先進的なワークスペースからネットワーク機器の販売など広範囲に渡ります。Virtual Apps and DesktopsはCitrix Workplaceというソリューション群のひとつに位置付けられ、その構成は以下になります。

アプリケーションとデスクトップの仮想化

・Citrix Virtual Apps and Desktops

あらゆるデバイスに、クラウドからアプリケーションとデスクトップを配信。

・Citrix Managed Desktops

Azure経由でアプリケーションを配信。

分析とレポーティング

・Citrix Analytics for Security

ユーザーの行動から内部的なデジタルリスクを予測および検知。

・Citrix Analytics for Performance

機械学習によるユーザーエクスペリエンスの向上と健全性の維持。

セキュアなコンテンツ管理

・Citrix Content Collaboration

ファイルアクセスの統合管理とコラボレーションを実現。

・Citrix ShareFile

大容量のファイルに対するアクセス、利用、保存を支援。

統合エンドポイント管理

・Citrix Endpoint Management

アプリケーションとエンドポイントを単一のビューにまとめて提供。

仮想化されたデスクトップやアプリケーションでワークスペースを構築する場合、作成したファイルや端末のアクセス管理が必要になります。また、リモート環境においてセキュリティは重要であり、不正なアクセスや情報漏えいがないように監視に留意しなければなりません。

運用管理まで含めて仮想化された環境を考えると、Citrix Systemsによる包括的なソリューションのメリットが理解できるのではないでしょうか。このメリットを前提として、Virtual AppsとVirtual Desktopsの違いを解説します。

Virtual AppsとVirtual Desktopsの違い

仮想化する領域は多岐に渡りますが、リモートワークの環境を構築する場合は、デスクトップとアプリケーションの仮想化の違いについて理解しておく必要があります。一般的な基礎知識を整理した上で、Citrix Systemsの製品を解説します。

アプリケーション仮想化は、アプリごとに仮想化する

従業員の膨大な端末にアプリケーションをインストールする作業は煩雑です。さらにハードディスクなど記憶媒体の容量を圧迫します。

このような煩雑さと端末の負荷を軽減するためのソリューションが、アプリケーション仮想化です。利用する個別のアプリごとに仮想化を行い、ユーザーは物理的端末とOSとネットワーク環境があれば、どこからでも必要なアプリだけを利用できます。

仮想化されたアプリケーションを端末に配信するには、次の2つの方式があります。

SBC(Server Based Computing)方式

サーバー上にあるアプリケーションを複数のユーザーで共有します。マルチユーザー対応であること、利用中はネットワークに接続してオンライン状態であることが条件になります。

ストリーミング方式

ネットワーク経由でサーバーからユーザーの端末にアプリケーションを配信して、利用できるようにします。端末の種類やOSに関わらず利用可能です。他のユーザーと競合しないこと、オフラインでも作業できることがメリットです。

デスクトップ仮想化は、OSを仮想化する

アプリケーション仮想化をさらに進めると、デスクトップ仮想化になります。OS全体を仮想化し、ユーザーは物理的な端末からサーバーにアクセスして仮想化されたデスクトップを利用します。OSがWindowsであれば、利用する端末がLinuxやMacOSであってもWindowsの仮想化されたデスクトップを利用することになります。

仮想化されたデスクトップを端末に配信するには、次の2つの方式があります。

SBC(Server Based Computing)方式

アプリケーション仮想化のSBC方式と同様に、サーバー上のOSとアプリケーションを複数の端末で共有します。端末側にOSがないことがポイントです。ユーザーごとに個別の環境を用意しないので、消費するリソースを最小限に抑えることが可能です。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式

ユーザーごとの仮想化されたデスクトップをサーバー上に構築します。ユーザーはネットワーク経由でサーバー上にある個別のデスクトップにアクセスします。SBC方式では同一のOSを共有するためカスタマイズできませんが、VDI方式ではユーザーに合わせてOSのカスタマイズが可能です。

Citrixが提供したシンクライアント

端的にまとめてしまうと、デスクトップ仮想化のソリューションがVirtual Desktopsで、アプリケーション仮想化のソリューションがVirtual Appsです。いずれにしてもサーバー上でOSやアプリケーションの処理を行い、クライアント端末の負荷を軽減します。

Citrix Systemsはシンクライアントの技術を提供する企業として実績がありました。シンクライアントのシン(Thin)は「薄い」という意味で、ユーザーの端末には最小限の機能だけを搭載して、サーバー側でアプリケーションの実行やデータの保存を行う仕組みです。端末からハードディスクなどの記憶装置を省き、アプリケーションのインストールも行いません。

1990年代にOracleのNC(Network Computer)、Sun Microsystems(現在はOracleに吸収合併されて消滅)のJava Stationとともに、CitrixのMetaFrameによってシンクライアントのブームが起こりました。CitrixはMicrosoftとパートナー関係にあり、技術の供与などを行っていました。

その後、ブロードバンドやクラウドが普及し、先進的な働き方とセキュリティの重要性が高まることによって、シンクライアントはVDIやDaaSとともに重要な技術基盤になっています。

Virtual AppsとVirtual Desktops統合のメリット

Citrixの仮想化アプリケーションのXenAppと仮想化デスクトップのXenDesktopは、バージョン7.0からVirtual AppsとVirtual Desktopsに名称が変更されました。さらにVirtual Apps and Desktopsとして統合されています。

バージョン7.0以前にはXenAppとXenDesktopは、異なるアーキテクチャを採用していました。管理コンソールは別々で、それぞれに合わせてデータベースを構築しなければならない構成でした。しかし、バージョン7.0のAvalonプラットフォームで、複数のWindowsサーバーのOSやアプリケーションを1台のコントローラーで管理および配信できるようになりました。

このことによってもたらされたメリットは、管理工数の削減と負荷軽減です。さらにアプリケーション単体を仮想化するより、VDIやDaaSによる統合的な環境を導入するケースの増加が予測されます。業務形態と仮想化に何を求めるかによっても異なりますが、包括的な導入のほうが効率的だからです。

VDIやDaaSの導入では、ネットワークやマシンのレスポンスはもちろん、開発工程や運用面におけるコストが障壁になります。しかし、技術の進歩や統合によって導入費用は下がりつつあります。

デバイス管理や不正の検知などが重視されていることから、効率化だけではなくセキュアな環境を構築するために、アプリケーションおよびデスクトップの仮想化が重要なテクノロジーになっていくと予想されます。

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まとめ

シンクライアントは時代を先取りした技術でしたが、時代が追いつくとともに仮想化によって概念と目的を実現できるようになりました。

アプリケーションとデスクトップの仮想化は、現在のところ、業務形態と必要性に合わせて導入を検討しなければなりません。VDI方式あるいはSBC方式にするか、アプリケーションであればストリーミング方式にするかなど、コストに合わせた選択があります。

しかし、今後はCitrix Virtual Apps and Desktopsのように、包括的なソリューションとしてとらえることが重要になるでしょう。

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