近年のビジネスシーンでは、CADをクラウド化して使う方法が普及しつつあります。CADとクラウドを組み合わせると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。当記事では、CADをクラウド化するメリットを解説した上で、中でもおすすめの「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)」の特徴についてご紹介します。
CADをクラウド化するメリット
働き方改革によって労働環境や労働の多様性が見直される中、クラウド化したCADを導入する企業が増えてきています。インターネットを介して、さまざまなリソースへアクセスできるクラウドが登場したことで、CADの利用の仕方にも大きな変化が現れました。実際のところ、CADをクラウド化することで、いったいどのようなメリットが期待できるのでしょうか。一つずつ詳しく見ていきましょう。
ミーティングの効率化
従来では、オフィスの自席から離れた場所でミーティングを行う場合、CADの画面を開いて参加者に見てもらうことはできませんでした。
しかし、クラウド化したCADを導入することで、ネットワークにさえつながっていれば、会議室でもCADの画面を開けるようになりました。Web会議やテレビ電話などを利用し、リモートからミーティングに参加する社員とCADの画面を共有することも可能です。
そのため、会議中にCADの画面をモニタに表示しながら議論したり、会議で上がったアイデアをすぐにCADに反映させたり、ミーティングで提出されたアイデアをメモしたりするなど、ミーティング中におけるCADの同時並行的な活用方法が見出されるようになりました。
その結果、ミーティングの効率化が図れるとともに、設計がスムーズに進められるようになったのです。
多様なワークスタイル
CADをクラウド化することによって、インターネットに接続できる環境であれば、いつでもどこでもCADの画面へアクセスできるようになります。リモートワーク中の社員と、CADの画面を共有して一緒に作業することも難しくはありません。
さらにクラウドであれば、データは共有フォルダに保存されるため、インターネットを経由してどこからでも必要なデータにアクセスできるというメリットもあります。
これらのことから、CADをクラウドと組み合わせることで、場所にとらわれることなく職場と変わらない仕事をすることも可能です。また、育児や介護で自宅にいなくてはならないCADオペレーターでも、仕事場や時間に縛られることなく、自分の家庭の都合に合わせて仕事ができるようになります。
処理時間の短縮
CADは扱うべきデータの量が膨大であるため、パソコンに大変な負担がかかり、処理時間が長くなってしまうのが悩みでした。中でも3D(立体)で設計を視覚化できる「3D CAD」を使い、設計データから完成図を生成する演算処理(レンダリング)を行う際などは、ハイスペックの最新パソコンでも、その処理に長い時間を要することもありました。実際、CADの処理に時間がかかって、イライラしたり画面が止まったりした経験を持つオペレーターの方は多いのではないでしょうか。
その点、CADをクラウド化すれば、潤沢なインターネット上のリソースを処理に充てられるため、処理時間を大幅に短縮することが可能です。演算処理をさせている間に、同じパソコンで他の作業を並行することもできるため、効率化も図れるようになります。CADオペレーターのストレスも大幅に減ることでしょう。
また、インターネット上のリソースでCADの処理をすることから、パソコンと比べて非力なスマートフォンやタブレットからでも、CADの操作ができるようになるのもポイントです。CADをクラウド化すれば、利用する端末のスペックは問われません。たとえば、建設現場でタブレットやスマートフォンを取り出してCADの画面を確認したり、図面を編集したりといったことも可能になるのです。
クラウド導入の注意点
自社用にソフトウェアを用意する際、自社の運用に合わせた細かいカスタマイズをすることがあります。一方クラウドサービスは、導入してすぐに使えるメリットがある反面、必要なサービスが基本的にあらかじめパッケージ化されており、カスタマイズしにくい面があります。そのため、自社向けにソフトウェアを用意する場合と比べて、煩わしさや不便を感じる可能性は否めません。その場合、使い方を工夫してクラウド上のソフトに合わせる必要が出てくるでしょう。
クラウドを利用する際は、セキュリティ面でも注意が必要です。クラウド上には、多くの企業が重要な機密情報や個人情報を保管しているため、悪意ある第三者の攻撃対象となりやすいのです。
また、インターネットを介して社内外の多くのユーザーがデータにアクセスできるようになる点にも要注意です。場合によっては、アクセス権を持つユーザーの不注意などにより、情報が漏えいしてしまう可能性もあります。データの暗号化やユーザーごとのアクセス制限など、セキュリティ対策が必要です。
クラウドのセキュリティ対策は提供元によってまちまちであり、十分な対策が施されているもあれば、そうでないものもあります。こうしたセキュリティ面の問題をよく理解した上で、安心して利用できるサービスを選ばなくてはなりません。
最適な仮想デスクトップ
CADをクラウド化する方法の一つとして、仮想デスクトップの利用が挙げられます。仮想デスクトップなら、インターネットに接続さえされていれば、いつでもどこからでもクラウド上にあるデスクトップ環境を利用することが可能です。仮想デスクトップは、テレワークを実現する手段としても注目されています。
従来、CADやCAEのような重い処理を必要とする作業は、仮想デスクトップには不向きといわれてきました。しかしGPUという処理能力の高いプロセッサを仮想化する技術の登場により、仮想デスクトップでのCAD利用が現実的なものとなったのです。
中でもおすすめなのが「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)」です。Windows10の仮想デスクトップ環境を唯一マルチセッション(1台の仮想マシンに対して複数のユーザーが同時に利用できる機能のこと。マルチセッションに対応していないと、一人1台の仮想マシンを用意しなくてはならないためコストがかかる)で利用できる、Microsoft社純正の仮想デスクトップサービスです。
Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)は、Windows PCはもちろんのこと、Mac OS・iOS・Androidからでもアクセスできます。社内でOffice 365 ProPlusを利用している場合は、サービスを最適化して利用できるのもWindows Virtual Desktopのメリットです。
Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)であれば、いつものWindows10環境をクラウド上にそのまま移して快適に利用することができます。普段、会社で使っているWindows10のデスクトップ環境を、自宅やカフェなどからでも使うことができるわけです。
なおMicrosoft社は、サイバーセキュリティに年間10億米ドルを超える投資を行い、3,500人以上にも及ぶセキュリティエキスパートを抱えています。
このことから、クラウドの課題であったセキュリティ面にも期待が持てるでしょう。Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)は、従来のクラウドにおけるセキュリティ面のデメリットを解消した、非常に高いセキュリティ水準を誇るサービスといえます。
まとめ
クラウド化することで、オフィスの自席で使っていたCADが、いつでもどこでも使えるようになります。会議中のCAD画面のモニタリングや、在宅でのCADを使った業務なども可能となります。インターネット上の豊富なリソースを使うため、従来のような長い処理時間に悩まされることもありません。ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。