クラウド移行(インフラ・DB)

NAS・ファイルサーバーをクラウド移行するメリットとは

ITインフラの合理化を目的として、多くの企業で基幹系システムや情報系システムのクラウド移行が加速しています。なかでもクラウド化が加速しているのが、NASやファイルサーバーなどのファイル共有基盤です。本記事はNAS・ファイルサーバーをクラウド環境へ移行することで得られる具体的なメリットについて解説します。

NAS・ファイルサーバーをクラウド移行するメリットとは

クラウド移行 まるわかりガイド

NAS・ファイルサーバーとは

NASとファイルサーバーは、LANやWANなどのネットワーク上でデータやファイルを保管・共有するためのシステムです。NASやファイルサーバーを用いて社内ネットワークを構築することで、PCやHDDなどに個別管理されているデータを組織全体で共有し、全社横断的な情報共有が可能になります。そのため、NASやファイルサーバーは組織のファイル共有基盤やデータバックアップ基盤として用いられるのが一般的です。

NASとファイルサーバーは、どちらもファイル共有基盤として活用されるシステムですが、それぞれ異なる特長を備えています。NASはネットワーク接続が可能なHDDのようなシステムであり、ファイルサーバーと比較すると簡単に導入できるものの、カスタマイズ性やセキュリティ機能に劣ります。ファイルサーバーはOSやファイル共有ソフトウェアをインストールしたコンピュータであり、NASと比較すると導入に費用と手間を要しますが自由度や柔軟性が高く、高度なアクセス権限設定が可能です。

NASとファイルサーバーは厳密には異なるシステムですが、本記事では「NAS・ファイルサーバー=ファイル共有基盤」という認識で読み進めていただければと思います。

NAS・ファイルサーバーをクラウド移行するメリット

時代の潮流がクラウドファーストへ加速するなかで、最もクラウド化が進展しているのがファイル共有基盤の領域です。総務省の調査によると、国内企業におけるクラウドコンピューティングサービスの導入率は68.7%で、クラウド化している領域として最も多かった回答が「ファイル保管・データ共有」で59.4%となっています。

NAS・ファイルサーバーのクラウド化が加速している理由として挙げられるのが以下の5つです。これらはオンプレミスにはないクラウド特有のメリットであり、多くの企業がNAS・ファイルサーバーをクラウド環境に構築する理由であると考えられます。

  • ランニングコスト削減につながる
  • システム部門のリソース削減につながる
  • セキュリティを担保できる
  • 防災やBCP対策につながる
  • ストレージ拡張も気軽に行える

ランニングコスト削減につながる

NAS・ファイルサーバーをクラウド化する最大のメリットはランニングコストの削減です。冒頭で述べたように、NAS・ファイルサーバーは社内ネットワークを構築するためのコンピュータであり、継続的かつ安定的に稼働するためにはシステムの運用・保守が必要です。たとえば、CPUの負荷やメモリのリソース状況などを定期的に監視し、システムに異常が発生した場合は適切に対処しなくてはなりません。

NAS・ファイルサーバーをクラウド環境へ移行することで、こうしたラッキングやケーブリングなどの物理的な運用・保守業務が不要になり、情報システム管理部門の業務負担軽減と人件費削減につながります。サーバーやネットワーク機器を設置するデータセンターの管理費用や電気代、セキュリティコストなども不要になるため、システムの運用・保守におけるランニングコストの大幅な削減に貢献します。

システム部門のリソース削減につながる

先述したように、NAS・ファイルサーバーをクラウド環境へ移行することで運用・保守業務が不要になるため、情報システム管理部門の業務負担が大幅に軽減されます。それによって得られる最大のメリットは運用・保守における人件費削減ではなく、情報システム管理部門のリソース削減につながる点です。

企業が大きく発展していくためには、限りある経営資源を効率的に活用しなくてはなりません。運用・保守の業務負担が軽減されることで、情報システム管理部門のリソース削減につながり、空いた人的資源を業績向上に直結するコア業務に集中できます。製品やサービスの企画・開発やマーケティング戦略の立案といったコア業務に人的資源を投入することで、企業の業績向上や収益性の改善などの成果が期待できます。

セキュリティを担保できる

クラウドコンピューティングサービスの懸念点として挙げられるのがセキュリティの脆弱性です。クラウドはインターネット環境さえ整っていれば時間や場所を問わずにアクセス可能というメリットがあります。しかし、それは裏を返せばサイバー攻撃によってIDやパスワードを窃取された場合、第三者が情報にアクセスできてしまう危険性を孕んでいます。

とくに複数のユーザーがリソースを共有するパブリッククラウドの場合、利用者側がコントロールできる範囲は限られており、独自のセキュリティ要件を設定できません。そのため、セキュリティリスクの観点からクラウド移行を躊躇する企業が多い傾向にあります。しかし、近年は高度なセキュリティ機能を備えたサービスも多く、堅牢なシステム環境が求められる金融業界や官公庁でも、一定のセキュリティ水準を担保できるとしてクラウド化が進んでいます。

防災やBCP対策につながる

クラウドコンピューティングサービスの長所のひとつがBCP対策として機能する点です。地震大国と呼ばれる日本で事業を展開していくのなら、事業の継続性を確保するBCP対策は避けては通れません。たとえば、地震による停電や火災の影響でNAS・ファイルサーバーに障害が発生した場合、事業活動にさまざまな影響を及ぼします。

オンプレミス環境にNAS・ファイルサーバーを構築している場合、システムの可用性を確保するために予備サーバーを構築する必要があり、運用・保守おけるコストが増大します。自社にITインフラを管理しないクラウドコンピューティングサービスであれば、こうしたリスクマネジメントを実施する必要がありません。そのため、ファイル共有基盤の運用コストを削減しつつ、BCP対策につながります。

ストレージ拡張も気軽に行える

クラウドコンピューティングサービスの優れている点は拡張性の高さと容易さです。たとえば、NAS・ファイルサーバーの容量を拡張する場合、オンプレミスであればハードウェアを増設しなくてはなりません。容量が大きくなるほど大規模なIT投資が必要になり、多くのリソースをシステムの拡張に投じる必要があります。そのため、システムの拡張は容易に実行できるものではありません。

クラウド型のNAS・ファイルサーバーであれば、基本的にプランの変更や容量の拡張オプションを選択するだけで完結するため、ハードウェアの増設やシステムの再設計といったプロセスが不要です。また、反対に事業領域やシステム環境を縮小する際も迅速に対応できます。自社の経営体制に適したシステム環境を柔軟に整備できるのは、クラウドならではのメリットです。

NAS・ファイルサーバーをクラウド移行する注意点

NAS・ファイルサーバーをクラウド環境へ移行する際の注意点として挙げられるのが、セキュリティ機能です。先述したように、クラウドコンピューティングサービスは独自のセキュリティ要件を設定できません。そのため、外部機関による第三者認証を受けているサービスを選択する必要があります。

たとえば、個人情報保護に関わる規格「ISO/IEC 27018:2014」や、情報セキュリティに関する規格「ISO/IEC 27017:2015」などの認証を得ているサービスを選ぶことで、セキュアなファイル共有基盤の構築が可能です。また、Active Directoryと連携してID管理やパスワード管理、アクセス権限設定などを紐付ける必要があるため、相応の知見が求められます。

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まとめ

オンプレミス環境にファイル共有基盤を構築するためには、サーバーやネットワーク機器などを導入しなくてはなりません。クラウドは物理的なITインフラを構築せずとも、コストを削減しつつ自社に適したファイル共有基盤を整備できます。ぜひ、本記事を参考にしてNAS・ファイルサーバーのクラウド化に取り組んでみてください。

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