昨今では多くの企業でクラウド移行が見られます。こうしたなか、Azure VMware Solutionへの関心が高まっています。とはいえ、「名前は聞いたことがあるけどサービス内容まではよく知らない」という方もいるでしょう。そこでここでは、Azure VMware Solutionのサービス内容や長所について解説していきます。これから導入を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
Azure VMware Solutionとは?
Azure VMware Solutionは、Microsoft Azureに関連しているサービスの一つです。Microsoftが開発から運用までを行なっていて、ユーザーはVMware vSphere環境をさまざまなサービスを受けながら利用できます。
Azure VMware Solution導入が重要視されている背景
では、なぜ昨今ではこのツールの導入が重要視されているのでしょうか。その理由は、以下2つの背景があります。
1つ目は「クラウド移行の流行」です。昨今では自社でサーバーを構築して運用するといったオンプレミスから、クラウドへ移行する流れが多くの企業で見られます。クラウド移行とはつまり、「アプリケーションやデータをパブリッククラウドへ移すこと」です。またこのパブリッククラウドとは、「企業や個人に向けて、プロバイダーが提供しているオープンサーバー」のことです。
そして、クラウド移行には働き方のシフトも関係しています。昨今ではリモートワークが推奨されるようになっています。これまでオンプレミスでないと利用不可能だった社内ネットワークも、クラウド移行することで自宅からでもアクセスできるように変化しました。
本来であればセキュリティの問題から、自宅で個人のパソコンから社内のネットワークにアクセスすることはできません。しかしクラウド移行していれば、どこにいても会社支給のパソコンなどから社内ネットワークにアクセスできます。万が一パソコンがウイルスに感染してもサーバーは影響を受けないので、被害は最小限にとどめられるのです。
もちろんクラウドへ移行してもセキュリティ対策は積極的に行う必要はあります。例えば、「エンドポイントセキュリティ」と呼ばれる、使用するデバイスや端末のアンチウイルス対策は必須でしょう。また、支給されたデバイスを各従業員たちが自宅に持ち帰るため、盗難にあったり、紛失したりするリスクが高まります。こうした点について、企業側から、一定の注意を促しておく必要はあるでしょう。
2つ目の理由は、「オンプレミス環境におけるデメリット」です。クラウド移行が進むなか、最近ではオンプレミスの環境が見直されています。運用費用がかかることや、「サーバーに物理的な被害があったときに運用が止まってしまう」ということもデメリットとして考えられます。
オンプレミス環境では例えば、災害発生時に対応を自社で実施していく必要があります。物理的な損傷を受けてサーバーが停止した際には、多大なコストや修復時間がかかってしまいます。しかし、クラウド移行をしておくことでサービス提供者側がBCP対策などを行い、万が一、サーバーが故障したとしても復旧がサービス提供者側になるため、その点では安心できます。
確かにオンプレミス環境では、「セキュリティを自社で構築できる」といった大きなメリットがあります。しかし上記のリスクから、昨今リモートワークの普及や働き方改革推進とも同調して、クラウド移行へシフトする企業も増えているのです。
Azure VMware Solutionへ移行するメリット
Azure VMware Solutionへ移行すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。メリットは、以下のように3つあります。
- IPアドレスを変更しないでオンプレミスサーバーにクラウド化できる
- プライベートクラウドを利用できる
- 仮想マシンを「塩漬け」保管することが可能
ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説していきましょう。
IPアドレスを変更しないでオンプレミスサーバーにクラウド化できる
1つ目は、IPアドレスを変更しないでオンプレミスからクラウドへ移行できるというメリットです。サービスによっては、クラウド化の際にIPアドレスを変更しなければならないことがありました。IPアドレスの変更には工数がかかり、その間は運用を止めなくてはならなくなるでしょう。ところがAzure VMware Solutionなら、IPアドレスの変更は不要です。そのためスムーズにクラウド化ができます。
プライベートクラウドを利用できる
2つ目のメリットは、プライベートクラウドを利用できることです。これは、自社の中でクラウド環境を作り、社内でシステムを提供することです。クラウド環境を構築すれば、オンプレミスのようにシステムの設計や管理が可能となります。自社のサービスや商品、運用体系に合わせてシステムを構築できるので、より柔軟な対応が実現します。
プライベートクラウドはパブリッククラウドと比較して、閉域網の専用回線を使用するために、外部のネットワークから侵入されるリスクが大幅に削減できます。オンプレミスとプライベートクラウドが異なる点は、プライベートクラウドにはサービス提供者が存在することです。そのため障害発生時には自社で修復を対応することなく、提供者側を頼ることができます。
仮想マシンを「塩漬け」保管することが可能
そして3つ目のメリットは、仮想マシンを「塩漬け」保管することができることです。塩漬けで保管するという意味は、あるサービスやアプリケーションが構築されてから数十年が経過し、サポートも終了しているなか、いまだに使い続けている状態を言います。
この場合、塩漬けされたままになっているサービスがMicrosoft Azureでは利用できなくても、Azure VMware Solutionで稼働することがあります。そこでオンプレミス環境をやめてこういったサービスを活用してクラウド上で管理することで、リソースを確保できるのです。また管理コストもかからないので、余ったリソースやコストを別の事業に回すことが可能です。
【動画で解説】Azure VMware Solution導入時の3つのポイント
Azure VMware Solutionを利用する際にはどのようなポイントがあるのでしょうか?導入時にはまりやすいポイントは、主に以下の3つです。
- 計画策定
- アプリケーションの移行リスク
- セキュリティ面の不安
また、ツールの導入について弊社で作成しているコンテンツで詳しく解説しています。クラウド関連のプリセールス担当者が解説しています。動画ではサービスの特徴だけでなく、実際に企業がどのような点で困っていたかなど事例にも触れています。クラウド化を考えている企業の担当者の方は見ておいて損はないでしょう。
まとめ
本記事では、Azure VMware Solutionの概要やメリットについて解説していきました。昨今では多くの企業でクラウド移行が見られ、Azure VMware Solutionへの関心が高まっています。クラウドに移行すると、「IPアドレスを変更しないでクラウド化できる」「プライベートクラウドを利用できる」「仮想マシンを”塩漬け”して保管できる」といった利点があります。
AzureはMicrosoftから展開されていて、クラウド移行でもっとも心配となるセキュリティ面も安心できます。働き方改革や生産性向上が提唱される中で、企業のクラウド移行は進んでいます。クラウド移行のメリットは「業務効率化」だけに留まらず、「採用」や「働き方の多様化」といった観点でも有効となってきているのです。
クラウド移行ツールの利用を検討している方は、ぜひ「Azure VMware Solution」を導入してみてはいかがでしょうか。