Webアプリケーションを開発する際は、公開用に使うサーバーを決め、手順に従い作業を進めることが必要です。本記事では、Webアプリケーション公開時に選べるサーバーの種類や、大まかな開発手順について解説します。開発言語やフレームワークの種類も併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Webアプリケーション開発に必要なサーバーは自社制作かレンタルか
開発したWebアプリケーションは、自社構築のWebサーバーかレンタルサーバーで公開することが可能です。前者の場合、Microsoft社の「Visual Studio Code」のようなIDEにアクセスし、必要な設定を行います。
自社でサーバーを構築することから、スペックなどを自社の希望通りに決められる点がメリットです。その反面、専門知識をもった担当者でないと、Webサーバーの構築や管理が難しい点には注意が必要です。
自社でWebサーバーを構築する場合、ドメインは専門会社から取得するケースが多くなります。この場合、複雑なドメインの設定も自社で行わなくてはなりません。一方、ドメイン価格はレンタルサーバーと比較すると、多くの場合で安く済みます。
少ない負担で公開したいならレンタルサーバーがおすすめ
Webアプリケーションの公開方法として、レンタルサーバーを活用する方法もあります。レンタルサーバーであれば、サーバーの構築・運用を自社で行う必要がなく、手間がかかりません。専門知識をもった担当者も不要なため、人件費の節約にも寄与します。なるべく負荷をかけずにWebアプリケーションを公開したいときは、レンタルサーバーの利用をおすすめします。
そもそもWebアプリケーションとは?
Webアプリケーションの開発手順に触れる前に、まずWebアプリケーションについておさらいしておきましょう。概要や仕組みを正しく理解しておかないと、目的に沿わないアプリケーションを開発してしまうことも考えられます。
Webアプリケーションの正しい理解をしよう
そもそも「Webアプリケーション」とは、ホームページと同じようにインターネット、すなわちWebにアクセスして利用するタイプのアプリケーションのことです。Webページ作成に用いられるWeb技術を応用して開発され、Webサーバー上にて稼働します。
PC・スマートフォン・タブレットなどのデバイスにインストールして使う「ネイティブアプリ」に対し、Webアプリケーションはインストールが不要で、PCのブラウザでアクセスし利用できます。
Webアプリケーション・Webサイト・スマホアプリケーション 3つの違い
「Webアプリケーションと、Webサイト・スマホアプリケーション(スマホアプリ)の違いがわかりづらい」という方も多いでしょう。Webアプリケーションについて深く知りたいときは、これらの違いも併せて把握しておきたいところです。
「Webサイト」とは一般的に、企業の公式サイトのように、情報収集がメインとなるサイトを指します。あくまで必要な情報を表示することに特化しており、訪問者はそれらを参照する以外のことはできません。
一方、Webアプリケーションでは訪問者の操作により、何かしらのアクションが行われます。たとえば、コメントの投稿や商品の購入などが挙げられます。Webアプリケーションの代表例としては、ブラウザ上で操作が可能な「Twitter」「Instagram」「Amazonショッピング」などがあります。
次に「スマホアプリ」とは、スマートフォンにインストールして使うアプリ(=ネイティブアプリ)のことです。たとえばTwitterやInstagramは、スマートフォンのブラウザ上で使うことも、専用のスマホアプリをインストールして使うことも可能です。この場合、ブラウザ上で使うのがWebアプリケーション、スマートフォンにインストールして使うのがスマホアプリに分類されます。
Webアプリケーションの考え方:CRUD
「CRUD」とは、Webアプリケーションを開発する際に覚えておくべき基本的な知識のことです。CRUDという言葉は、Webアプリケーションの基本的な以下機能の頭文字から成り立っています。
- Create:データの登録を行う機能
- Read:データの読み出しを行う機能
- Update:データの更新を行う機能
- Delete:データの削除を行う機能
Webアプリケーションはさまざまな種類の複雑な処理を行いますが、そのすべてが上記4つのいずれかに分類されます。たとえば、Twitter上で行われる処理は、以下のように分類できます。
- Create:メッセージを投稿する
- Read:メッセージを読み込む
- Update:メッセージを修正する
- Delete:メッセージを削除する
Webアプリケーションの開発から公開までの手順
ここからは、Webアプリケーションの開発~公開までの大まかな流れや、それぞれの工程で必要なものをご紹介します。この流れをしっかり理解したうえで、Webアプリケーションの開発を行いましょう。
STEP1:Webアプリケーションの仕組み理解
開発にあたっては、まずWebアプリケーションの基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。Webアプリケーションは大きく分けて、以下の3要素で成り立っています。
フロントエンド
ユーザーがWebアプリケーションにアクセスした際、ユーザーの目に見えて直接操作できる部分のことです。たとえばTwitterであれば、メッセージの投稿画面(入力スペース・投稿ボタン)や参照画面などが挙げられます。
バックエンド
Webアプリケーションの中でもユーザーが目視できない部分、直接操作できない部分を指します。たとえばTwitterであれば、ユーザーがツイートを検索した際、検索内容を抽出してフロントエンドに表示させるのがバックエンドの役割です。
データベース
複数のユーザーが共有・加工・利用しやすいよう、データを収集・管理する仕組みです。データベースには膨大なデータが登録され、必要に応じて検索・抽出・加工できるようになっています。たとえばTwitterでは、世界中のユーザーが投稿したメッセージをデータベースが管理しています。
STEP2:作りたいアプリの決定及び全体設計
作りたいWebアプリケーションの内容を決めて、全体的な設計を行う工程です。どんなWebアプリケーションを作るか決めたら、そのアプリに必要なページをサイトマップにまとめましょう。
次に、ページの設計図にあたるワイヤーフレームを決定します。ページにどのようなメニューやリンク・ボタンを設置するかなど、全体的なレイアウト(=ワイヤーフレーム)を決めてください。
STEP3:開発言語・フレームワークの策定
この工程では、どの開発言語を使うかを決めます。フロントエンド・バックエンドそれぞれでよく使われる開発言語は、以下の通りです。
- フロントエンド:HTML/CSS/JavaScript
- バックエンド:PHP/Ruby/Python/Java
そのうえでフレームワークを活用すれば、記述方法が統一化されてプログラミングしやすくなり、プログラミングの効率化を実現できます。開発言語ごとに使えるフレームワークとしては、主に以下が挙げられます。
- CSS:Foundation/Bootstrap/UIkit
- JavaScript:Vue.js/React/AngularJS/Express.js
- PHP:CakePHP/FuelPHP/Laravel
- Ruby:Sinatra/Ruby on Rails/Padrino
- Python:Flask/Django
- Java:Spring Framework/Play Framework/JSF
そのほか、採用するデータベースの種類についても決める必要があります。たとえば、開発環境にMicrosoft Azureを採用するのであれば、以下のデータベースが利用可能です。
- Azure SQL Database
- Azure Database for PostgreSQL
- Azure Database for MySQL
- Azure Database for MariaDB
- Azure Cosmos DB
STEP3:開発ツールの策定
Webアプリケーションを開発する際は多くの場合、作業を効率的に行うために開発ツールが用いられます。なかでもよく使われるのが、バージョン管理システム「Git」です。
Webアプリケーションの開発は通常、複数のプログラマが共同で行います。そこでGitを活用すれば、作業内容がバッティングしてバグが発生したり、作業内容が無効になったりする事態を防止できます。また、Gitをウェブ上でほかのプログラマと共有しやすいようにした、「GitHub」などもよく使われています。
公開
Webアプリケーションの開発が終わったら、いよいよ公開の段階です。冒頭で述べたようにレンタルサーバーを借りるなどして、開発したWebアプリケーションを公開します。その際、ドメインの取得やDNSの設定も必要です。また、AzureやAWSのようなPaaSを利用すれば、構築済のアプリケーション実行環境をすぐに利用できます。
まとめ
Webアプリケーションを開発する際は、全体の設計をしたあとに開発言語やフレームワークを決め、それから作業に取り掛かります。また、Webアプリケーションの開発環境や公開サーバーの選定も必要です。Microsoft社提供の「Microsoft Azure」なら、構築済の開発環境をすぐに利用できるためおすすめです。