アジャイル開発とは、ソフトウェアやアプリケーション開発の際に用いられる手法です。
作業を小さな単位で繰り返して開発を進めるスタイルで、これまでの開発手法にはないさまざまな違いがあります。
アジャイル開発を導入することが、自社の開発環境の改善やプロジェクトの進行を効率化させるでしょう。
本記事では、アジャイル開発の基本的概要と、代表的な3つの手法について解説します。メリット・デメリットについても解説するので、この機会にアジャイル開発の魅力をチェックしてみましょう。
アジャイル開発とは?特徴や背景を紹介
アジャイル開発とは、ソフトウェアやアプリ開発の現場で使用される開発手法です。
作業を小規模単位でまとめて繰り返し、全体を完了まで進めていく開発スタイルとして使用されています。
小規模の単位は、例えば以下のような流れが基本です。
- 計画
- 設計
- 実装
- テスト
基本的には上記の流れで進められ、1つの単位(イテレーション)として完結させます。その後も同様のサイクルを繰り返し、少しずつ全体を完成まで進めていく開発手法です。イテレーションを何度も実施することで、現状を見直しつつ事業計画を進行させられるでしょう。
アジャイルには「はやい」「機敏」といった意味を持っており、スピーディに開発を進めることを目指し2001年に提言されました。以来、現在まで多くの企業が開発に活用し、事業の効率化を図っています。
アジャイル開発の根源は、2001年にアメリカのユタ州で17人の当時のプログラマーたちによって話し合いをしたのがはじまりです。よりよい開発手法を話し合った結果である「アジャイルソフトウェア開発宣言」は今でも残っていて、12の原則をまとめた公式文書として確認できます。
アジャイル開発の代表的な3つの手法
アジャイル開発は基本的に小規模単位のサイクルを繰り返す手法ですが、その方法には大きく3つのやり方があります。
以下からは、現在も使用されている代表的な3つの手法を解説します。
スクラム
アジャイル開発のなかでもっとも使用されているのが、「スクラム」です。
ラグビー用語が基になっていて、「チームが1つにまとまって開発を進めていく手法」として知られています。チーム内でのコミュニケーションを重視し、メンバー同士で意見を出し合ったり解決策を模索し合ったりするのがポイントです。
進行状況に問題はないか、テストは上手くいっているのかといった点もチームで判断を行うため、スムーズな連携を行って積極的な協力体制を確立していく必要があります。
エクストリーム・プログラミング(XP)
「エクストリーム・プログラミング(XP)」は、技術的な要素を重視した手法です。
柔軟に仕様変更が行えるため、アドリブがしやすい点が魅力になります。エクストリーム・プログラミングには4つの価値が設定されていて、それぞれのポイントを踏まえて進めるのが重要です。
4つのポイントには「関係者とのコミュニケーション」「必要最低限な設定だけをシンプルに実施する」「イテレーションを繰り返して次に活かす」「設計を途中で変えていく勇気」が含まれます。
上記のポイントをそれぞれ確認し、すべての価値基準をクリアすることが重要です。
ユーザー機能駆動開発(FDD)
顧客の視点で機能価値を意識しながら進めるのが、「ユーザー機能駆動開発(FOD)」です。
顧客に需要のある機能などを提案し、その案や考え方を中心に開発を行います。大規模な案件に用いられやすく、ヒアリングを行って機能の選定や開発の流れを決めます。そのため顧客とのコミュニケーションが重要となり、綿密な関係性の構築が求められるでしょう。
アジャイル開発とウォーターフォール開発との違い
「ウォーターフォール開発」とは、工程ごとに完成させてから次の段階に進んでいくスタイルです。
滝が落下するように開発が流れていく様子を表現した言葉で、基本的に開発をはじめる段階ですべての工程の進行方向や役割が決まっています。顧客としっかりと話し合いを行うことが前提で、決まった内容をその通りに進めていくのが基本です。
一方で、急な仕様変更などが起きると対応が難しく、場合によっては工程を巻き戻して作業をやり直さなければなりません。エンドユーザーと接する機会も少なく、イメージと齟齬が発生する可能性も違いになります。
途中で仕様変更が起こり得る可能性が低いのならウォーターフォール開発を、変更のケースも考慮するのならアジャイル開発を実施するなど、ケースバイケースで使い分けるのがポイントです。
アジャイル開発のメリット
アジャイル開発には、いくつかのメリットがあります。その1つが、臨機応変な対応力です。
仮に突然の仕様変更を要求されたり、技術の発展によって新しい機能を導入することになったりしても、比較的ローコストで済むのが魅力です。
また、万が一開発途中にトラブルが起きても、引き返す工数が少ないのも魅力です。すぐに元の開発レベルにまで戻れるので、時間をかけずに問題解決が行えます。
開発しながらリアルタイムで状況を反映していけるので、顧客ニーズの変化にも応えやすいです。そのため、顧客の要望を可能な限り実装し、最終的に求められる完成品を構築できるでしょう。
そのほか、成果物の納品スピードにおける速さも魅力です。最初に綿密な話し合いをせずに事業をスタートできるので、順調であればそのままスピーディに完成まで進められるでしょう。
こうした理由により、事業にスピード感を求めるのなら、アジャイル開発の積極的な導入がおすすめです。
アジャイル開発のデメリット
アジャイル開発は多くの利点を持つ一方で、デメリットになる部分もあります。
例えば開発過程における進捗管理の難易度が高く、正確なスケジューリングは困難となるでしょう。これは仕様変更やイテレーションの結果がその後の作業を左右するため、事前にスケジュールに組み込めないことが要因です。スケジュールの変更が相次ぐと、納期に間に合わない可能性も出てきます。
これを回避するには、細かくチーム内で情報を共有し、適宜スケジュールの変更や修正を伝えていくのがポイントです。
また、何度も開発とテストを繰り返すため、当初は思いつかなかった課題や問題を発見することもあります。その結果、最初に定めた開発の方向性が安定せず、ときには全体像を見直す必要も求められるでしょう。
アジャイル開発が最適なシーン
アジャイル開発には独自の有用性があるため、業務のシーン次第で向き不向きがあります。
例えば開発の最中に仕様変更が起きるケースや、長期間の業務が予想されるシーンに向いているでしょう。具体的には「アプリケーション」「Web関連サービス」「ゲーム」関係の開発などが向いています。実際に進行してから仕様変更や機能の追加・修正があっても、アジャイル開発なら柔軟に対応できるでしょう。
そのほか、アプリやゲームは頻繁に新機能が構築されたり、トレンドの流行り廃りも早かったりするため、途中で開発の流れやニーズが変わることも珍しくありません。そのためスピーディな改善が可能なアジャイル開発が、最適な手法となるでしょう。
逆に企業の基幹システムや医療関連の機能などは、綿密に内容を設定するその性質ゆえに不向きとなります。
まとめ
アジャイル開発は、アプリケーションやWeb関連サービスの開発に使用される手法です。
小さなサイクルで作業を回していくその機能性から、開発状況の確認や修正が容易となり、スムーズに計画を進行できます。
この機会にアジャイル開発の基本を把握し、開発環境を見直してみてはいかがでしょうか。アジャイル開発の環境構築を行う際には、Microsoftの「Azure」が便利に利用できます。
開発チームと運用チームを効率良く結びつける「DevOps」のシステムなどを活用することで、アジャイル開発に必要な環境をスムーズに作り上げられるでしょう。アジャイル開発に挑戦する際には、ぜひAzureの利用も検討してみてください。