データ分析の手法はさまざまですが、近年ではBIツールを用いるケースが増えてきました。BIツールを導入すれば、簡単な操作でデータを可視化でき、ビジネスに活かせます。本記事では、無料でデータ分析を行えるBIツールを6つピックアップし比較します。併せて、導入時における注意点も解説しましょう。
無料BIツールには2種類ある
無料で利用できるBIツールには、オープンソースとして提供されているものと、有料ツールの無料版があります。どちらも無料で利用できますが、特徴やメリット、デメリットがあるため注意が必要です。まずは、それぞれにどのような違いがあるのかを把握しておきましょう。
オープンソース(OSS)
オープンソースとは、ソースコードが公開されているソフトウェアを指します。人気のCMSであるWordPressもオープンソースとしてよく知られています。
公開されているソースコードは無料で利用でき、カスタマイズも可能です。そのため、機能の追加や削除なども行え、より使いやすいツールに進化させられるのが魅力です。
一方で、利用は自己責任となるケースが多く、導入や運用もすべて自社で対応しなくてはなりません。自社にエンジニアが在籍しており、カスタマイズも視野に入れている企業におすすめです。
有料ツールの無料版
多くのBIツールは、無料版を提供しています。ユーザーが、あらかじめ機能面や操作性を確認して導入できるよう、無料版を提供しているのです。
ドラッグ&ドロップによる直感的な操作やデータの可視化、レポーティングなど、有料BIツールの基本的な機能を使用できるのが魅力です。ただ、分析データを共有できる人数や使用容量など、さまざまな部分に制限が設けられているケースも少なくありません。
【オープンソース】おすすめBIツール3つの比較
オープンソースのBIツールなら、コストをかけずに導入できます。技術者がいないと難しいですが、なるべくコストを抑えたいのなら、検討してみる価値はあるでしょう。以下、オープンソースでおすすめのBIツールを3つピックアップしました。
Pentaho
Pentahoは、データ収集や分析、活用まで可能な環境を構築できるオープンソースです。規模の大きなデータも短時間で処理でき、収集したデータの統合や分析をひとつのツールで完結できます。
ドラッグ&ドロップによる簡単な操作で使用でき、分析した結果はレポートとして出力可能です。ダッシュボードの自由度も高く、視認性のよい画面に整理したうえで分析内容をチェックできます。ひとつの環境だけでデータ収集から分析、活用までこなしたい、といった企業におすすめです。
Kibana
Kibanaは、ビッグデータの解析に定評のある、Elasticsearch社が開発したBIツールです。円グラフや棒グラフ、線グラフ、ヒストグラムなど、多彩なグラフを使用できるため、データの可視化に役立ちます。
こちらのツールも、ドラッグ&ドロップで操作できるため、導入から運用まで比較的時間がかかりません。可視化したデータの共有も容易です。同社が提供しているElasticsearchでの利用を想定したツールであるため、組み合わせての使用がベストです。
Re:dash
Re:dash社によって提供されているツールです。50以上におよぶ、さまざまなデータソースに対応しているため、幅広いデータ分析が可能です。
もともと、海外で誕生したツールであるため、ツール内では英語が使用されています。日本語に対応していないため、使いづらさを感じるかもしれません。また、使いこなすには、コンテナ型仮想化に関する知識と環境が必要です。
【無料版BIツール】おすすめBIツール3つの比較
ここで紹介するのは、有料ツールとしてリリースされているものの、無料版を提供している製品です。それぞれのツールで特徴が異なるため、比較しつつ検討してみましょう。
Power BI
Microsoft社が提供しているツールで、100以上のデータソースと連携してデータ収集を行えるのが特徴です。Microsoft社提供のBIツールだけあり、ExcelやWordといった、同社製品との連携が得意です。
基本的な操作は、ドラッグ&ドロップとクリックだけなので、誰でも簡単に使えます。有料プランも1ユーザーあたり、1,090円/月額とリーズナブルです。Microsoft製品と連携させた利用を考えている、簡単に扱えるツールを求める企業に適しています。
Qlick Sense Desktop
スマートフォンやタブレット端末にも対応した、セルフサービスタイプのBIツールです。連想エンジンと呼ばれる独自の機能が実装されており、収集したデータをツール内で自動的に関連づけられ、より高度なデータ分析を行えます。
データ分析に関する、専門知識や技術がなくても扱えるため、導入後すぐ運用、活用したい企業におすすめです。また、モバイル機器を用いて、外出先などでデータの分析を行いたい企業にも適しているでしょう。有料プランは、1ユーザーあたり30ドル/月額(参考価格)です。
Zoho Analytics
収集したさまざまなデータを集約させ、多角的な分析を実施できるツールです。世界で13,000社以上が導入している実績があり、大手企業も活用しています。
Googleドキュメントやアナリティクス、YouTube、Twitterなど、500を超えるアプリやツールと連携可能なのが特徴です。スマートフォンやタブレット端末用に無料アプリも提供しているため、外出先で分析を行いたい、リモートワークに移行している、といった企業におすすめです。
有料プランは24ドル/月額~で、オンプレミス版を個人で利用するのなら、期間の定めなくいつまでも無料で使えます。
無料BIツール導入時の注意点
コストを抑えて、本格的なデータ収集、分析を行える無料BIツールですが、導入にあたってはいくつか注意点があります。今後、無料BIツールを導入しようと考えているのなら、以下の注意点を踏まえておきましょう。
運用されなくなるおそれがある
BIツールは、適切に運用することで、分析したデータの結果をビジネスに活かせます。そのため、BIツールは継続的に運用するのが大前提なのです。
オープンソースのBIツールは、特に注意が必要です。プログラミングやコーディングの知識、技術がないと扱えないことが多く、分析環境を構築している途中で挫折してしまうかもしれません。エンジニアがいない、確保できないといった企業であれば、継続的な運用は難しいでしょう。
機能制限がある
有料ツールとして提供されている製品の無料版は、多くの場合機能が制限されています。あくまで、お試しとして提供されているため、すべての機能を使用できず、結局有料版を使う羽目になるでしょう。
使用できるデータの容量が制限されているケースも、少なくありません。このような場合、いずれ有料ツールへ切り替えることになるため、データを移管しなくてはならず、余計な手間が増えてしまいます。
希望のカスタマイズができないこともある
オンプレミスなら、自社内に環境を構築するため、自由度の高いカスタマイズが可能です。一方、クラウドで提供されているツールは、カスタマイズできる範囲が限定的であり、希望にマッチしたツールとならない可能性があります。
オープンソースなら、エンジニアがいればカスタマイズ可能なものが多いですが、すべてができるとは限りません。中には、カスタマイズが難しい、できないものもあるため、注意が必要です。
そのため、ツール選定においては、自社にどのような機能が必要なのかを理解しておく必要があります。また、検討しているツールに、必要な機能が実装されているか、拡張性があるかといった部分も確認しなくてはなりません。
まとめ
無料BIツールには、オープンソースと有料ツールの無料版があり、いずれもコストを抑えて利用できます。ただ、無料版の導入には注意点もあるため、慎重な検討が求められます。
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