クラウド移行(インフラ・DB)

クラウドサービスの選び方。これだけは抑えておきたい5つのポイント

近年に急速に普及が進むクラウドサービス。導入を検討していても、サービスが豊富で何を基準に選んだらいいのかわからない方も多いでしょう。この記事では、クラウドサービス選びで抑えておきたいポイントや代表的なサービスを紹介します。

クラウドサービスの選び方。これだけは抑えておきたい5つのポイント

クラウド移行 まるわかりガイド

クラウドサービスとは?

そもそもクラウドサービスとは、ネットワークを経由して提供されるITサービスのことです。ベンダーが提供するデータベースやストレージ、アプリケーションなどをオンデマンドで利用できます。

これまでデータベースやストレージを利用する際は、自社内にハードウェアを用意し、システムを構築して管理運用することがほとんどでした。これを「オンプレミス」と呼びます。一方、近年台頭してきたクラウドサービスは、サーバーやハードウェアなどを自社内に保持しません。ハードウェアを導入するための初期投資やシステム構築、メンテナンスなどの作業及び人的リソースを減らせるという点で評価されています。

またクラウドでは、サービスを使用した分だけ料金を払う従量課金制が一般的です。月々のランニングコストも最小限に抑えられます。業務が拡大・縮小した際には、それに合わせてサービス内容を調節可能です。さらに、働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、近年推奨されているテレワークにも対応できるのが大きなメリットです。クラウドサービスは、通常アカウントを作成しログインして使用するため、ネットワーク環境さえあれば、社外でもサービスを利用できます。このようにクラウドサービスにはさまざまなメリットがあるため、多くの企業が導入しています。

クラウドサービスの種類と特徴

クラウドサービスは、その特徴によって「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類に分かれます。ここでは、これらの違いを説明します。

SaaS(Software as a Service/サース)

「SaaS」は、サービスとして提供されるソフトウェア(Software as a Service)です。顧客や財務管理などのソフトウェアをネットワーク経由で利用します。以前はASP(Application Service Provider)とも呼ばれていました。ソフトウェアのインストールやアップデートなどはベンダーが行うため、運用に手間がかからないのがメリットです。代表的なサービスとしては、メールやカレンダーアプリ、Microsoft Office 365などがあります。

PaaS(Platform as a Service/パース)

「PaaS」とは、とは、サービスとして提供されるプラットフォーム(Platform as a Service)です。SaaSで提供されるソフトウェアの開発環境を提供するサービスといえます。開発言語や管理システム、OSなどのプラットフォームを利用できます。ソフトウェアそのものが提供されるわけではないため自社で設計する必要がありますが、コストは抑えられます。代表的なサービスとしては、Google App Engine やWindows Azureなどがあります。

IaaS(Infrastructure as a Service/イアース)

「IaaS」とは、サービスとして提供されるインフラ(Infrastructure as a Service)です。仮想サーバーをはじめとした機材やネットワークなどのインフラを提供するサービスです。PaaSと同様にシステム構築に利用します。IaaSを利用することで、ネットワークやサーバーなどのインフラを自社で行う必要がなくなります。PaaSよりカスタマイズの自由度が高い代わりに、運用・保守の管理は自社で行う必要があります。またデータベースの構築や仮想サーバーの設定も必要です。代表的なサービスとしては、AWS(Amazon Web Services)、GCP(Google Cloud Platform)などがあります。

クラウドサービスの選び方

では、クラウドサービスを導入する場合、どのようにして自社に合うサービスを選べばよいのでしょうか。ここではクラウドサービスを選ぶときのポイントを解説します。

サポート体制の充実

クラウドサービス選びで必ずチェックしておきたいポイントの1つが「サポート体制」です。導入前にサービスについての相談をできるか、導入やシステム構築を依頼できるか、運用中にエラーが起こったときすぐに相談できるかなどがチェック項目として挙げられます。サポート体制が整っていれば、クラウドサービスに詳しくないユーザーでも安心して利用できます。

データ容量

クラウドサービスで欠かせないのが、ストレージの「データ容量」です。業務内容によって必要な容量は異なるため、どの程度必要か把握しておくとよいでしょう。例えば、テキストファイルを使用するのか、画像や動画を使用するのかで、必要な容量は大幅に異なります。また必要なデータ容量は、会社の規模が大きくなるにつれて増えることが予想されます。今後も同じサービスを使い続けられるよう、データ容量を増やせるタイプを選ぶのがおすすめです。

充実した機能

サービスによって「機能性」も異なります。業務に必要な機能を兼ね備えたサービスを選びましょう。とくに便利なのが、パソコン(ブラウザ)とスマホ(主にアプリ)どちらからもサービスを利用できる機能です。テレワークなど、社外から利用するためには、場所やデバイスの制限を受けないサービスがおすすめです。また、アクセス権限の設定や各種サービスとの連携など、汎用性の高い機能があれば、業務の効率化とセキュリティ強化も図れます。

コスト

クラウドサービスを新たに導入する際、つい安価なサービスに飛び付きがちです。「コスト」を抑えることは重要ですが、一番大事なのはパフォーマンスとのバランスです。コストを抑えることで十分な機能が利用できなければ、かえってトータルコストが高く付くこともあります。気になるサービスをいくつか選んだら、実際に使用する機能のトータルコストを洗い出して比較しましょう。

強固なセキュリティ

クラウドサービスを利用するということは、会社の大切な情報をインターネット上で保管するこということです。そのため、暗号化通信やIPアドレス制限、端末認証など、「セキュリティ対策」がしっかりなされているかもよく確かめましょう。セキュリティが不十分なサービスを選んでしまうと、不正アクセスや情報漏洩のリスクも高まります。国際基準などに則っているかなどが安全性の目安になります。

クラウドサービスの代表的なサービス3選

最後に、多くの企業が導入している代表的なクラウドサービスを紹介します。

Microsoft Azure

「Microsoft Azure」は、Microsoft社が提供しているクラウドサービスです。クラウドだけでなく、オンプレミスやエッジにも対応しているハイブリッドなサービスで、Microsoft製品との親和性が高いのが特徴です。また、政府機関からも利用されるほど、堅牢なセキュリティを保持しています。高機能・高性能なため、特に中~大企業で利用されています。利用料金は、利用状況に応じた従量課金制です。

AWS(Amazon Web Services)

「AWS(Amazon Web Services)」は、Amazonが提供しているクラウドサービスです。もとは、Amazon自身のインフラを整備するために作られた自社サービスで、それを他社向けにクラウド展開しました。サーバー環境構築やデータベース利用、IoTに至るまで、100を超える豊富なサービスを提供しており、世界でもトップシェアを誇ります。カスタマイズ性に優れているため、エンジニアなどスキルを持った従業員がいる企業におすすめです。利用料金は、Microsoft Azureと同じ従量課金制です。

IBM Cloud

IBM社が提供している「IBM Cloud」は、業界第3位のクラウドサービスです。IBM製品・VMWare製品・SAP製品との親和性が高く、カスタマイズ性に富んでいるのが特徴です。SaaSからIaaSまで幅広い種類のサービスを取り扱っており、大企業でも採用されるレベルの機能を利用できます。また、世界各地にデータセンターを持ち、安定性・可動性への対策がしっかりしているのもポイント。こちらも利用した分だけ料金を支払う従量課金制です。

まとめ

クラウドサービスは、その利便性の高さから近年急速に普及しています。効率的なビジネス展開のためにも、早めにクラウドサービスへの切り替えを進めましょう。選ぶときのポイントは、サポート体制・データ容量・機能性・コスト・セキュリティの5つが挙げられます。この基準をもとに、自社の課題解決や効率化につながるサービスを探すとよいでしょう。

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