近年、システム環境のクラウド移行が進んでいます。なかでも多くの企業から高い支持を得ているのが「Microsoft Azure」です。しかし、クラウド型のITインフラは、セキュリティの脆弱性を懸念する声が少なくありません。そこで本記事では、Azureのセキュリティ課題や押さえるべきポイントについて詳しく解説します。
Azureセキュリティの押さえておくべき5つのポイント
「Azure」とは、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングサービスです。Amazonの「Amazon Web Services」や、Googleの「Google Cloud Platform」とともに世界3大クラウドと呼ばれています。AzureはMicrosoftのソリューションとの親和性に優れるため、WindowsやOffice製品を業務利用している企業にとって、非常に扱いやすいサービスと言えるでしょう。
またAzureは、Microsoft製品との連携性や拡張性に優れるだけでなく、堅牢なセキュリティ基盤を備えているのも大きな特徴です。企業にとってセキュリティ管理の最適化は、もっとも重要な経営課題の1つと言えます。
今や情報は、ヒト・モノ・カネに次ぐ第4の経営資源と呼ばれ、日々その重要性を増しています。しかし、情報通信技術の発展に伴い、サイバーテロの脅威も多角化かつ高度化しているのが実情です。情報漏えいインシデントは、企業の社会的信用の失墜を招きます。個人情報や顧客情報の漏えいによって訴訟問題に発展し、多額の経済的損失を被る可能性もあるでしょう。
企業の情報資産をサイバーテロの脅威から守るためには、堅牢なセキュリティによって保護されたシステム環境を構築しなければなりません。もしも、システム環境の刷新やクラウド移行を検討しているのであれば、Azureの導入を視野に入れてみてはいかがでしょうか。Azureはその高いセキュリティから、一般法人だけでなく医療法人や金融機関などでも導入が進んでいるソリューションです。
Azureがセキュリティ管理に優れている理由として、5つの要素が挙げられます。ここからは、Azureが誇る5つのセキュリティ機能について見ていきましょう。
国際基準を満たした強固なセキュリティ
システム環境の刷新や移行において、「会社が定める規格や基準要件を満たしているか」という点は非常に重要な課題です。その基準の1つとして、「第三者認証を受けているサービス」が挙げられます。
「第三者認証」とは、第三者の外部機関による公正かつ公平な審査を受けて、その承認を得た証です。近年では不正アクセスやマルウェアによる情報漏えいインシデントが増加している影響もあり、IT分野においても数多くの認証制度が存在しています。とくにクラウドサービスにおける情報セキュリティ規格の「ISO規格」は、その高い信頼性から大きな注目を集めている認証制度です。
Azureは情報セキュリティに関する規格「ISO/IEC 27017:2015」や、個人情報保護に関わる規格「ISO/IEC 27018:2014」など、ISO規格の認証数で業界トップを誇っています。そのほかにも、米国の「NIST CSF」や日本の「CS ゴールド マーク」など、数々の規格に準拠しているのが大きな特徴です。このことからAzureは、数々の国際的な規格やガイドラインに準拠した堅牢なセキュリティによって、高い信頼性を確保するソリューションと言えるでしょう。
ハードウェアとオペレーションの管理を分ける体制
Azureはハードウェアとオペレーションに関して、分散管理の組織体制を構築しているのが大きな特徴です。Microsoftのデータセンターは、「GFS(Global Foundation Services)」という部門によってワールドワイドで管理されています。GFS部門の権限はハードウェア面のみとなっており、運用面では世界に3箇所あるオペレーションセンターによってリモート管理されています。このハードウェアとオペレーションの管理を分けることで、情報漏えいインシデントの発生を軽減するセキュリティ体制を構築しているのです。
国内2箇所のデータセンター利用
Azureが多くの企業に支持される理由の1つとして、Microsoftの巨大かつ高速なネットワークを利用できる点が挙げられます。Microsoftは世界各国に「リージョン」と呼ばれるデータセンターを構築しており、日本国内にも東京と大阪それぞれに設置されています。このリージョンとの物理的な距離が近いほど、高速なネットワーク通信が可能です。
また、リージョンが東京と大阪それぞれに設置されていることで、BCP対策にも貢献します。複数のリージョンにデータが保存されているため、自然災害やサイバーテロといった危機的状況化に陥った場合でも、迅速なバックアップやリカバリが可能です。そのため、コンプライアンス対策やセキュリティインシデント対策に優れる堅牢なセキュリティ環境を構築できます。
Express Routeでプライベート接続が可能
「Express Route」とは、Azureのリージョンと自社のデータセンターやサーバーを接続し、専用線を介してプライベートネットワークを構築するサービスです。クラウドサービスは常時インターネット回線に接続されているため、セキュリティの脆弱性を懸念する声が少なくありません。Express Routeにより、インターネット回線を経由しないプライベートネットワークを構築できるため、人事情報や顧客情報といった機密情報の安全かつ高速な通信が可能です。
Azure Key Vaultでパスワード管理、証明書の一元管理
「Azure Key Vault」とは、パスワードや証明書、APIキーなど、保管した機密情報に安全にアクセスする仕組みを備えたセキュリティサービスです。暗号化キーをオンプレミスではなくクラウドに格納することで、クラウドアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与します。機密情報の統合的な管理が可能となるため、組織外部からの脅威だけでなく、内部からの情報漏えいリスクも最小限に抑えられます。
まとめ
近年、情報通信技術の進歩に伴い、サイバー攻撃の脅威も多様化かつ高度化しています。このような社会背景のなかで、企業の情報資産を保護するためには、セキュリティ管理に優れたITインフラの構築が不可欠です。企業の根幹となる経営データをさまざまな脅威から守るためにも、Azureの導入を検討してみてはいかがでしょうか。